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コラム:IT業界転職の技術
第939章

IT業界で食っていけるフリーランス、ジリ貧のフリーランス(第三回)

2019年11月22日

前回は、食っていけるフリーランスとはどういう人なのか、せっかくフリーランスになったのになぜ会社員に戻りたい方がいるのか、という話をしました。今回は第三回と第四回の二回に分けて、食っていけないジリ貧のフリーランスとはどういう方なのか、という話をします。

ジリ貧のフリーランス

成功するフリーランスは会社員の素地を残している

フリーランスをしていた方が、とある有名企業からお声が掛かり、社員になりました。という話を時々耳にします。そういうのを聞くと、一時期フリーランスをしていても、戻ろうと思えばいつでも会社員に戻れるんだな、とつい思ってしまいます。

しかし、長くフリーランスをしている方は、会社員として生きていくための素地がどんどん抜けていく傾向にあります。フリーランスになっても会社員に戻れる方というのは、実は会社員に戻れる素地が残っていたり、フリーランスになっても会社員としての考え方や振る舞いを続けていたりします。会社員の素地の多寡が運命の分かれ目なのです。

もちろん、フリーランスになってもいずれ会社員に戻るものだ、と言うつもりはありません。私の周りにもフリーランスで成功していて、会社員に戻る必要性がない方もたくさんいるからです。言いたいことは、会社員に戻る選択肢を残しておくことが重要、ということでして、結果だけ見ると、フリーランスで成功している人ほど、会社員に戻れる素地を持っているように思います。

なぜフリーランスで成功している人は会社員の素地があるのかを考えてみたのですが、よくよく考えると、フリーランスの方が相手にするのは大半が企業の人、即ち会社員の方なわけです。会社員には会社員の論理があり、仕事の仕方もあります。その土俵に乗ってくれるフリーランスの方のほうが企業としては話がしやすいですし、信頼もできます。

フリーランスであろうがなんだろうが、話ができる人にはいい仕事を任せたい、と思うのが人情というもの。いい人には良い仕事を任せようか、となりますので、結果的にフリーランスとして成功していると思われます。

戻れもしない、進めもしない

ジリ貧のフリーランスというのは、会社員に戻ることができず、でもフリーランスとしても行き詰まる方と私は考えています。会社員としての素地を失ってしまい、フリーランスの限界を感じている、でもいざ会社員に戻りたい、となった時にも戻ることができず、フリーランスを続けざるを得ない。そうするとますます会社員が遠ざかってしまう・・・。そんな、戻れもしない、進めもしない状態のフリーランスの方がジリ貧のフリーランスと考えています。

そのようなジリ貧のフリーランスにならないためには、なぜ会社員に戻れなくなるのかを知っておくことが重要です。

会社員に戻れない理由

私もこれまで、フリーランスを選んだけど会社員に戻りたい、という方をたくさんご支援してきました。ただ、正直なところ苦戦する方が多かったです。苦戦する方の主な傾向は以下の通りです。
※今回は主な2つをご紹介し、残りの5つは次回ご紹介します。

① 組織適性

フリーランスの大きなメリットの一つに、自分のやりたい仕事を選べる、という点があります。会社員をしていると、組織の目標を達成するために、希望しない仕事であっても我慢してしなければならない、といったことがたくさんありますが、フリーランスになれば、そのようなしがらみで苦しむことが少なくなります。限られた人生ですので、自分がやりたい仕事に全力を注げる状況というのはとても幸せなことと言えます。

ただ、やりたい仕事だけをやる、という状態が続くと、そのうち、やりたい仕事以外は絶対にやらない、という思考になりがちです。意志がはっきりしていていいじゃないか、と思われるかも知れませんが、絶対に妥協できない、となってしまうと問題です。

過去に、20代半ばにフリーランスとなり、10年ほどフリーランスを続けたのち、会社員に戻りたい、という方をご支援したことがあります。某大手企業から会いたいというお話しを頂けたので、面接に出向いて頂いたのですが、その面接中、面接官の方から、「ちょっと経験が足りないので、最初はこういう仕事からして貰って、数年後に希望する仕事をして貰おうと思うんだけど、どう?」という打診がありました。

確かにその方は、面接官の言う通り経験不足ではありましたので、企業側の提案ももっともな話しでした。普通はそのような打診もなく静かに見送りにするだけのところを、なんとか経験を生かせる道はないかと救おうとしてくださいましたので、大変有難いお話しだったと言えます。

ところがその方は、「私はこの仕事をしたくて応募したのです。それ以外の仕事はやる気はありません。」と即座に断ってしまったのです。面接後に企業からその話を聞き、びっくりしてお電話したのですが、本人は「えっ、何が悪いの?」という感じでした。「これまでもやりたくない仕事ははっきり断ってきました。だから今回も同じようにお断りしただけです。」ということでした。

企業側からは面接中にきちんと、なぜいま希望する仕事ができないか、何が不足しているのか、それを補うためにはまず何をしなければならないか、ということを説明されていたようです。一方、本人としては、自分は希望する仕事をこれまでもやってきているのに、なぜ回り道をしなければならないのか、という心境だったようです。

ここには両社の認識ギャップがあって、同じ職務であっても、フリーランスの立場で求められる責任と会社員に求められる責任の認識に差がありました。その認識合わせが面接中に出来ていなかったようなのですが、そもそも話し合いの余地なし、という感じだったでしょうから、企業側も途中で話すのを諦めたものと思われます。

客観的に見れば企業側の申し出は至極妥当で、数年我慢するだけで会社員としての責任が果たせるレベルになり、晴れて希望する仕事に就くことができたと思います。しかし、仕事は選ぶものだ、希望する仕事だけやりたいんだ、となってしまうと、企業からはただのわがままな人にしか見えませんし、短期的視点でしか物事を考えられないんだなとも思っています。そのような人は入社しても話が通じないから要らないな、となるのは必然です。

前述の通り、会社員になるなら、組織の目標を達成するために、やりたくない仕事もしなければなりません。このケースに限らず、フリーランスが長い方は、組織に存在する制約や期待されることに応える、といった姿勢が失われていることが多いです。

今回の大手企業のように面接をしてくれればよいのですが、優良企業と呼ばれるところほど、フリーランスの方に対するこの手の懸念を持たれますので、書類選考時点で見送りの判断をすることの方が多く、実際この方についても、応募する企業のほとんどが書類選考落ちでした。

仕事を選ぶ、ということの他にも、自分の仕事しかしない、他メンバーを助けることがない、問題提起をしない、仕事が終わってなくてもさっさと帰る、そのくせ福利厚生だけは誰よりもきっちり使う・・・など、会社員としてどうかと思われてしまうことを悪気なくしてしまうフリーランスの方はたくさんいます。企業としては、「この人はわざわざ会社員として採用しなくても、フリーランスとしてきてくれればいいよね」と判断せざるを得ません。

この組織適性の有無が、フリーランスの方が会社員に戻れない最大の理由と思われます。

② 経験不足

仮に組織適性は大丈夫だね、となったとしても、次に経験という壁が立ちはだかります。企業がフリーランスに任せる仕事の多くは、「自社の社員にできない仕事」、と言えば聞こえはいいですが、別の言葉で言い換えると、「自社の社員にさせたくない仕事」となるのが一般的です。

よくあるケースとしては、詳細設計以降などの下流工程であったり、テスターであったり、ヘルプデスクであったりです。もちろん、それらの仕事は事業運営上、誰かがやらなければならない仕事ではあるのですが、会社員の方にずっとそれをさせるとモチベーションが下がることが多いため、派遣の方やフリーランスの方に任せることが多いものとなります。

一方、フリーランスの方の単価は、特定分野の経験が長いほど上がる傾向にあるため、ついつい同じような仕事を続けがちです。また、いろんな職場を転々とするのは骨が折れるため、ある現場の居心地がよく、仕事も認められ、単価も年々上げて貰える、となったら、敢えていろんなところで働くのではなく、同じ現場で契約継続が可能な年限までい続けよう、と思ってしまいます。

そして、企業側としても、フリーランスの方を取っ替え引っ替えし、その都度受け入れ教育をしたり慣れて貰うのは非常に大変なので、仕事に慣れて問題なく仕事をして貰えるな、と思ったら、感謝の意を伝えたり、褒めたり、単価を上げたりして、その現場で継続して働いて貰えるようにします。

双方、そのような思惑があるのですが、その思惑が合致した結果、フリーランスの方が、同じ現場で、同じような仕事を何年も続けることになってしまいます。

ただ、会社員に戻ろうと面接を受けるときには、当然ながら既存の社員と比較をされます。本人は、これまであれだけの評価を企業より得てきたんだから、会社員に戻るなんて簡単だろう、と思いがちです。しかし、フリーランスと会社員では評価基準が全く異なり、いきなり同年代の会社員と比較されることになるため、面接に行って面食らうことになります。

前述の通り、フリーランスに任せる仕事は「会社員にさせたくない仕事」、ともすると、「会社員にさせる価値のない仕事」になりがちです。そのような仕事を自社の社員に代わって頑張ってしてくれたなら、当然企業から感謝をされるでしょう。いろんな言葉で感謝されますが、要するに、「(社員がしたくない仕事をしてくれて)ありがとう。(社員の時間を無駄にしなくて済んだので)感謝しているよ」という話なわけです。お褒めの言葉を頂いて喜んでいる場合ではないのです。

社員がしないような仕事をずっとしてきた訳ですから、会社員になろうと思っても当然ギャップがあります。このような経験不足が、組織適性の次に会社員に戻るときの大きな壁になります。

長くなってしまいましたので、今回はここで一旦区切ります。残りの5つは次回のコラムでお伝えします。

筆者 田中 祐介
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