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コラム:転職の技術

第844章

あなたの転職は社会貢献に繋がる

— 希望を叶えることは社会にとってもよいこと —

2018年5月18日

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転職が社会をダメにする?

『転職なんてものを一般的にした○○(某大手人材紹介会社)が日本の社会をダメにし、会社をダメにした諸悪の根元である』

これは、私が新卒入社した会社の社長の言葉です。

  1. せっかく育てた社員が簡単に転職してしまう世の中になると、会社がまともに社員教育をしなくなる
  2. 中途で社員が採用できると思うと、会社はますます教育をしなくなる
  3. 全ての企業が教育をしなくなるので、社会人のレベルがどんどん下がっていく
  4. 結果、社会全体がダメになっていく

というのがその理由でした。

当時は、「なるほど、その通りだ!」と思ったものですが、まさかその後に自分が人材紹介会社に入るとは思ってもみませんでした。

では、昔は転職を支援する会社なんてダメだ!と思っていた私がなぜ私が人材紹介会社に転職したかといいますと、転職がいまよりもっと一般化すれば、悪くなるどころか社会がもっと良くなると考えたことにあります。

前述の社長の言葉については、私は以下の通り結論づけています。

1.せっかく育てた社員が簡単に転職してしまう世の中になると、会社がまともに社員教育をしなくなる
⇒未経験者を教育せず現場に出すと事業に支障がでるため、新入社員の教育をまともにしなくなることはないでしょう。教育して貰える人とされない人がより分かれるという話もありますが、教育に濃淡がつくのは、会社の方針や社風、上司のパーソナリティーなどに依存するもので、転職とは関係ありません。

2.中途で社員が採用できると思うと、会社はますます教育をしなくなる
⇒確かにリーマンショック前などはそういう会社もちらほらありましたが、不景気になって人余りになったあと、中途社員こそ教育をしないといけないとどの会社も分かってきたため、いまは逆に中途社員に対する教育をしっかりやるところが増えています。そして、中途社員をうまく活用できている企業ほど、中途入社者への教育体制や現場への受け入れ体制がしっかりしており、離職率の改善ができています。

3.全ての企業が教育をしなくなるので、社会人のレベルがどんどん下がっていく

4.結果、社会全体がダメになっていく
⇒前述の通り、新卒入社社員への教育がおろそかになることはなりませんし、中途採用に本気で取り組む企業ほどきちんと教育をする傾向にあります。総合的に見て教育レベルは上がっているため、社会全体がむしろ良くなっているといえます。

もちろん、前出の社長の言葉も一理あり、実際に社長が言った様な考え方の企業もあるでしょう。しかし、社会には自浄作用があり、悪い企業には悪評が立ち、そのうち人が減り、事業が立ち行かなくなると思われます。

就職活動でのアンマッチはなくせない

ここまで、転職が一般的になることは社会にとってマイナスにはならない、という論調で話を進めましたが、ここからは、社会にとってプラスなのだ、という話をしたいと思います。

まず、学生時代の就職活動というのは、基本的に情報が限定された中での企業選択となります。これだけネットで情報が公開されているのに限定されているわけがない、と思われるかも知れませんが、情報が溢れている中で目に留まるのは、目立つもの、知っているもの、分かりやすいものに限られます。

そのため、実は就職活動ほどアンマッチが発生しやすく、アンマッチとなるとその人が本来持つ才能をフルに生かせないことから、社会的損失が発生している状態ということができます。

このアンマッチを解消し、社会的損失を減らす方法としては、転職以外にもあります。例えば部署異動や職種変更といった手段もあるわけで、そういった方法で社内でアンマッチを解消できるならば、それに越したことはありません。

しかし、そもそもその会社でどんなことをしても自分の思いが実現できないということであれば、自分が幸せにはなれませんし、企業としてもその人への教育のしがいがありません。結果、個人としても企業としても中途半端な状態に置かれることになり、最高にハッピーな状態にはなっていないといえます。

本来はもっと就職活動時にアンマッチにならないようにできればよいのですが、社会と学生の間には、その立場の違いから情報の非対称性がどうしても存在します。このアンマッチを解消することはなかなか難しいため、転職によりアンマッチを解消するのが現実的と思われます。

転職が企業の自然淘汰を促し、社会が良い方向に向かう

私は、決して猫も杓子も転職すべきとは思っていません。最初に入った会社が自分の理想の環境で、天職を得たと思われるのであれば、それに越したことはありません。

しかし、天職を得ていないなあと思ったら、それは自分にとっても会社にとっても社会にとっても良い状態ではありませんので、そのときは転職を考えてみてはと思っています。

そして、転職がより一般的になれば、良い会社ほどどんどん人が集まり、良くない会社ほどどんどん人が去って行くことになりますので、結果として、良い会社の方が良くない会社より多くなってきます。それはすなわち、社会がより暮らしやすい、成熟した社会に向かっているといえるのではないでしょうか。

転職は、基本的に個人の話と捉えられ、「自分のわがままだけで本当に転職していいのか?」と思うこともあるかも知れませんが、そんなときは今回の話を思い出して、自分のためだけではなく、ご家族や会社や社会にとっても良いことかも、という視点で、ご自身がこれからどうすべきかを考えてみて頂きたいと思います。

<田中 祐介>

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