COLUMN
コラム:転職の技術
第792章
2017/04/14

退職交渉のポイント

— 揉めないための準備をしてから退職交渉に臨もう —

転職先が決まり、さあこれで終わったぞ!と喜んだのも束の間、次は在籍企業との退職交渉が待ち構えています。

退職交渉は、面接と同等、もしくはそれ以上の難物です。
転職先が決まったのに退職交渉で揉めてしまい、次の会社への入社日が少し後ろ倒しになるくらいはまだましな方で、すぐに退職させられたり、転職先の企業に悪口を言うなどの嫌がらせをされたり、訴えるぞと脅されたり、退職日直前まで激しく働かされたり・・・、などなど、揉めるとろくなことがありません。そのため、退職交渉は慎重かつ入念に準備して進める必要があります。

退職交渉のポイント その1:仕事

退職交渉で一番揉めるのは、いま受け持っている仕事をどうするのか、という点です。

特に、その仕事があなた一人に集中している場合、退職交渉のハードルが俄然高くなります。

退職交渉では、まずは引き留めからスタートしますが、引き留めが無理だと分かった場合に次に話題になるのは仕事の引き継ぎです。

ここで、きちんと引き継ぎが出来ることを示して上司を安心させないと退職交渉が揉めますので、予め以下の準備を進めておくとベターです。

  • 自分の仕事のリストアップ
  • 業務・作業の可視化、手順化
  • ノウハウのまとめ
  • チームメンバーへのスキルトランスファー
  • 引き継ぎスケジュールの作成

引き継ぎとしてやって欲しいと言われるであろうことを予め資料化しておき、同じチームのメンバーにもノウハウを共有しておくことで、実質的に引き継ぎをスタートさせておきます。
そのうえで、残りの引き継ぎ分を、正式な引き継ぎ期間に引き継ぐということにし、予めそれもスケジュール化しておきます。

上司としては、そんなに前から準備をしていたのかといい気分にはなりませんが、少なくともしっかり引き継ぎが出来るという点については安心しますので、引き継ぎで揉めるのを回避することが出来ます。

退職交渉のポイント その2:顧客

退職交渉の2つ目のポイントは、対顧客です。

SIerなどに在籍していて、顧客先に常駐していたりする場合、契約期間やプロジェクト期間があり、その途中で辞めることを会社としては嫌がります。

特に、1人や2~3人など、顧客との関係を保つにあたって、1人の離脱に対するインパクトが大きい場合、今後の契約にも響く可能性があるため、契約満了までとか、プロジェクトの区切りまでなど、退職時期を大幅にずらすような提案を在籍企業から受けることがよくあります。

この場合の退職交渉の進め方としては、可能であれば、懸念の元である顧客を味方につけることです。

顧客との関係性によるとは思いますが、親しい顧客に事情を話し、現実的な引き継ぎのプランも話し、在籍企業から自分の退職の話がきたときに、オッケーを出して欲しいと依頼をしておきます。こうすることで、在籍企業から顧客に対してご自身の退職の話を切り出した時に、スムーズに話が進むようにすることができます。

ただし、この方法には注意点があります。それは、自分が顧客に根回ししたことを自社に悟られないことです。

そもそも今後の契約がどうなるかを気にしている在籍企業にとっては、どのタイミングで何をどう顧客に話すかは、営業戦略、時には事業戦略にもなる最重要課題であり、いち担当が現場レベルで顧客と話して良い話題ではないからです。

そのため、顧客への根回しは、出来れば避けたいところですが、在籍企業が顧客との関係性を盾にして退職をむやみに引き延ばそうとしている場合は、この方法を実践して頂ければと思います。

退職交渉のポイント その3:転職先

退職交渉のポイントの3点目は、転職先についてです。

退職交渉のときに上司が必ず聞いてくるのは、転職先です。

転職先を聞く理由としては、単純に興味があるという場合もあれば、知っている会社ならネガティブな情報を与えて引き留めようという場合や、腹いせに転職先に嫌がらせをしようという場合もあります。関係性の深い会社なら抗議も出来ますし、それにより実際に内定が取り消される場合もあります。

いずれにしても、転職先の会社名を告げて、プラスになることはほとんどありません。

もちろん、上司とあなたが気心の知れた間柄であれば、そうか、頑張れよ!と励ましやアドバイスを貰えることもありますが、そういうケースは余り多くはなさそうです。

そのため、転職先の会社名を聞かれたとしても、どういう業界であるとか、どういう仕事をするかといった、あくまで別の道を歩みたいから、という意思を伝えるのみに留めておいて頂ければと思います。

最後に

以上、今回は退職交渉のときのポイントとしてよくある3つのトピックをお伝えしました。ただ、実際の退職交渉では、これ以外にも様々な問題が発生します。もちろん、ご自身で解決できればベターですが、在籍企業の方が海千山千であり、一人で対処するには限界もありますので、困った時には迷わず担当のエージェントにご相談下さい。

筆者 田中 祐介
コンサルタント実績
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