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第1087章
2022/09/16

DRAGON QUEST – ダイの大冒険 – から リーダーとは 仕事とは 人生とは【前編:リーダーとは】

先日、ある方が面接後の感想として「ギガブレイクで黒焦げになりました!」と仰っていました。その方は無事に内定・入社となったのですが、まさかのダイの大冒険ネタが出たので、今回はこれを題材としてコラムを書くことにしました。

ジャンプ全盛期といえば、ドラゴンボール、キン肉マン、北斗の拳、魁!男塾、聖闘士星矢、ジョジョの奇妙な冒険、こち亀、スラムダンクなどがよく話題に上がりますが、私はこの「ドラゴンクエスト ダイの大冒険」が一番好きでした。マンガではありますが、いまの自分の礎となったマンガだと思っています。

このマンガの面白いところは、メインではないキャラクターの発言に重みがある点です。改めて覚えているものを挙げてみたのですが、ほとんどが脇役のものでした。でも、それがその後の私の人生に大きな影響を与えています。

それらがみなさんの役に立つかは分かりませんが、いろいろあるなかで、これは仕事にも通じるものがあるかな、と思ったものをいくつかご紹介したいと思います。めちゃめちゃネタバレな内容ですので、まだ読んでない・見てないという方は読まないでください(笑)

○登場人物
ダイ 勇者。物語の主人公。モンスターに育てられるが実は伝説の竜騎士。
ポップ 魔法使い。ダイの一番の仲間。もともと最弱キャラだが冒険を経て最強キャラに。
マアム 武闘家。父母は初代勇者アバンとともに初代魔王を倒したメンバー。
ヒュンケル 戦士。アバンに師事したのち、魔王軍へ。ダイとの闘いののちに仲間となる。
クロコダイン 獣王。魔王軍百獣魔団の軍団長。ダイとの戦いを経てダイの仲間になる。
アバン 大勇者。先代の勇者でありダイ・ポップ・マアム・ヒュンケルの先生。
マトリフ 大魔導士。アバンと共に初代魔王を倒したメンバー。鳥島編集長がモデル。
ハドラー 初代魔王。アバンたちに倒されたが大魔王バーンにより復活。
まぞっほ 魔法使い。にせ勇者御一行のメンバー。

まず前編として、今回はリーダー論にスポットを当てます。どのような物語においても、大体勇者はリーダーという位置付けです。勇者とリーダーに求められる資質は共通点が多いため、勇者とは?という話の中からリーダーとは?を導き出していきたいと思います。

勇者の武器は“勇気”(マトリフ)

仲間が修行で必殺技を身につけていく中で、メンタルトレーニングをしていたダイは焦りを感じ始めます。こんなことをしていていいのか、自分も何かを身につけた方がいいのではないか、とマトリフに言います。そんなダイに、マトリフは、そんなのは周りに任せればいい、と、話を続けます。

『なんでもできる反面、なんにもできないのが勇者って人種さ・・・。だが・・・勇者にもひとつだけ他の奴には真似できない最強の武器がある・・・。決まってんだろ 勇者の武器は“勇気”だよ!』

出典:集英社 ジャンプ・コミックス DRAGON QUEST -ダイの大冒険-
第8巻 マァム決意の巻 141ページ
著者:稲田 浩司 原作:三条 陸

リーダーを目指したり、実際にリーダーになったりすると、全部自分でできなければ、と思ってしまう方は少なくないと思います。私もリーダーを任されたときは、自分で何でもできるようにならねばと焦り、あれもこれも習得したいと思ったものです。

もちろん、リーダーとして何もかもできたほうがカッコいいです。ここでは、初代勇者であるアバンが、ダイにとってはなんでもできるリーダーに見え、自分もそうあらねばと思ったのかもしれません。

でも、マトリフが言うように、突出して一つの分野に長けている人には敵いません。凄くプログラミングができる人、提案がもの凄く上手な人、課題解決力がハイパーな人、資料をめちゃくちゃ上手に作る人・・・それぞれが強力な必殺技を持っていて、自分もそういうスキルを身に着けねばと思ってあれこれ手を出したこともあるのですが、結局、どれも中途半端でうまくいきませんでした。

そこで、自分ができることは何かと考えたときに、このマトリフの言葉を思い出しました。そうか、自分がリーダーとしてやるべきことは、何かのスペシャリティで頑張るのではなく、勇気を持って仕事に臨むことではないかと。お客様から抵抗があってもスコープをきちんと定義したり、お客様に怒られるかも知れないけども自分なりの案をひねり出して提案していくことであったり、どの選択肢にも失敗リスクがあるけれども腹を括って決断することなどが、リーダーである自分の責務であり、それを行う勇気こそが自分の武器であることに気付きました。

はじめてリーダーになった時というのは、大丈夫かなと自信が持てないものです。また、自分が他のメンバーより劣っている点に気が付きやすくなり、自分がリーダーで良いのかと悩んでしまうこともあります。

でも、何がリーダーの武器かといえば、勇気を持って目の前のことに立ち向かっていくことです。初めてリーダーを担当する時には、ぜひこのマトリフの言葉を思い出して頂きたいと思います。

真の勇気とは打算なきもの(まぞっほ)

にせ勇者御一行の魔法使い・まぞっほが、仲間のピンチから目を背け、逃げようとするポップに喝を入れるシーンです。

『勇者とは勇気あるものッ!! そして真の勇気とは打算なきものっ!! 相手の強さによって出したりひっこめたりするのは本当の勇気じゃなぁいっ!!!』

出典:集英社 ジャンプ・コミックス DRAGON QUEST -ダイの大冒険-
第3巻 ひとかけらの勇気!の巻 177-178ページ
著者:稲田 浩司 原作:三条 陸

怖い相手っていますよね。圧の強いお客様や上司などから強く言われると、おかしいなと思っても口に出して言えない、といったことは、誰しも経験のあることと思います。

何も言えず、そのせいで苦労しても、自分1人で責任を取れるならそれでも良いでしょう。でも、自分が発言をしないことで他の誰かが困ってしまうなら、相手がどれだけ怖くても「おかしい」「違う」とはっきりと勇気を出して言うべきです。

もちろん、それにより、相手から強烈なカウンターパンチを食らうこともあります。私も、これまでそれで何度も痛い思いをしてきました。でも、そのような大変さを乗り越えることで、人は強くなり、責任のある仕事を任せて貰えるようになるものと思います。

先ほど、リーダーの武器は勇気だとお伝えしました。リーダーといえども一人の人間なので、どうしても相手によって怯んでしまうこともあります。でも、リーダーから勇気を取ったらぶっちゃけ何も残りません。伝える勇気、決める勇気、叱る勇気、やめる勇気・・・リーディングスキルももちろん必要ですが、リーダーとメンバーとの一番の違いは勇気をもって行動できるかどうかです。

スキルの獲得には時間がかかりますが、勇気を出すことはいまからでもできます。勇気が未来を開き、キャリアを広げ、リーダーとしての資質を磨きます。勇気は、相手によっては引っ込めたくなるものではありますが、常に勇気を出していきましょう。

ちなみにこのセリフは、まぞっほのオリジナルではなく師匠のセリフだそうです。師匠はそう言っていたけど自分はダメだった、その結果、本物にはなれなかった、お前はそうなるなよ!と思ってポップに話したそうです。

真の勇者とは自らよりもみんなに勇気を湧きおこさせてくれる者(ノヴァ)

北の勇者と名乗るノヴァ。最初は自信過剰で自己中心的でしたが、ダイたちと出会い、共に戦う中でだんだん変わってきます。

そして、妖魔師団長ザボエラによる超魔ゾンビとの戦いで人類軍が危機に立たされたとき、生命を削りながら、決死の覚悟で超魔ゾンビに勝負に挑もうとします。

剣の達人ロン・ベルクは、ノヴァの攻撃は通用しないと見抜き、無駄だからと止めようとします。その時、ノヴァが、敵わなくてもいい、みなに勇気を与えられればいい、なぜならば、と話しはじめます。

『真の勇者とは自らよりもむしろ・・・みんなに勇気を湧きおこさせてくれる者なんだ と・・・・!!!』

出典:集英社 ジャンプ・コミックス DRAGON QUEST -ダイの大冒険-
第29巻 もうひとりの勇者の巻 93ページ
著者:稲田 浩司 原作:三条 陸

どんなに強い集団でも、危機に陥る時があります。そして、一度恐怖に駆られた集団は、どんなに強くても脆く崩れてしまいます。

試合で相手に大きな点差をつけられたとき、プロジェクトで遅延が広がっていったとき、会議で劣勢になったとき・・・。誰もがもうダメだと思い、だんだんメンバーも戦意を喪失していきます。

そんな時、まだいける!頑張ろう!勝負はこれからだ!と頑張る人を見て、私も頑張ろう、と思った経験はないでしょうか。そのように、不利な状況においても頑張ることで周囲を勇気付けられる人こそが、勇者でありリーダーであるといえます。

困難に負けずに戦う姿を見せることができる人なら、肩書がなくてもリーダーと言っていいでしょう。どのような立場であっても、周りに勇気と希望を与えられる、そんな存在になりたいですね。

(中編へ続く)

【出典】
DRAGON QUEST – ダイの大冒険 - 著者:稲田 浩司 原作:三条 陸 出版社:集英社

筆者 田中 祐介
コンサルタント実績
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