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第1077章
2022/06/24

龍馬伝の龍馬に学ぶコンサルティングスキル(後編)

前編からの続きです

トークストレート

龍馬は身分や立場に関係なく、考えたことを誰に対してもストレートに話します。吉田東洋、西郷隆盛、桂小五郎など、雲の上の存在とも言える各藩の参政に対して堂々と意見します。

もちろん、誰に対しても同じように話しをするわけではなく、相手の立場に応じた一定の配慮はしており、発言の仕方も変えていますが、内容については遠慮なく話をしているのが印象的です。

当時は、いまでは想像もつかないくらい身分がはっきりと分かれていて、身分の差がありすぎる場合、口をきくことはおろか、直接話をすることすら許されませんでした。

もちろん、西洋からの書籍や海外渡航経験者により四民平等の概念が日本にも入ってきていて、その影響から江戸時代末期はそれ以前に比べて直言する人が増えてきていたとは思います。また、龍馬は脱藩していて身分の縛りから解放されていたため、藩士の立場にいる人よりは目上の方々と話をしやすかったのは事実でしょう。

それでも、身分差別が他藩より激しい土佐において、身分の高い相手に対しても堂々と渡り合う胆力は見事です。

コンサルタントも、相手が誰であっても自らの考えを述べます。若かろうが経験が浅かろうが、話し方には気をつけるとしても、言うべきことははっきりと伝えます。これをトークストレートと言います。

トークストレートは、ただ言いたいことを言えばいい、という訳ではありません。

たまに、とにかく直言することが大事だと、言いたいことをひたすら言い続けるコンサルタントもいます。思考力が弱いお客様や他者依存性の高いお客様はそれでもなんとかなるのですが、知的レベルの高いお客様からは信頼が得られません。龍馬伝で言えば、武市半平太がその典型例です。教養の低い下士をまとめることはできても、知的レベルの高い吉田東洋には通用しません。

龍馬の言葉も、最初から耳を傾けて貰えた訳ではありませんでした。ストレートな物言いで相手を動かすことができるようになったのは、高次の目的を得てからのことです。

龍馬の言葉に説得力があったのは、日本が日本人として一つになり外国に侵略されないようにする、という高次の目的があったからといえます。

高次の目的を持ち、その上でストレートにトークしている点が優秀なコンサルタントと同じだなと思いました。

無私の心

高次の目的を持ち、ストレートにトークをしたとしても、それでも心は動かせない、ということがあります。そのような時、最後に人の心を動かすのは無私の心です。

龍馬は、ヒアリングスキルやプレゼンテーションスキル、ファシリテーションスキル、リーディングスキルといったコンサルティングスキルを持ち合わせていますが、それだけでは人を動かすことはできなかったと思います。

薩摩と長州を結びつけるべく奔走する龍馬に、薩摩も長州も、なぜ君は薩摩と長州を結びつけたいのか、これを成し遂げればいくら貰えるのか、取り立てて貰えるのか、など、何が見返りとして与えられるのかを何度も聞きます。

それに対して龍馬はその度に『なんちゃあございません』と即答します。世の中の仕組みを変えたい。上士も下士もない、そもそも身分の上下そのものがない世の中を作りたい。日本人同士が争うことなく、日本国として力をつけることで、日本という国を諸外国から守りたい。ただそれだけである。と龍馬は答えます。

もちろん最初は、嘘だろう、そんなはずはない、と誰もが疑います。しかし、脱藩して士分を捨て、独立組織である亀山社中を作り、あくまで中立の立場を貫くという言行一致を体現することで、徐々に龍馬は周りからの信頼を得ていきます。その結果、坂本の言うことなら聞こう、と誰もがその直言に耳を傾けるようになります。

コンサルティングの仕事は、あくまでビジネスです。フィーがないと仕事をすることはできませんので、完全なる無私の状態になることはできません。

ただ、コンサルティング契約が締結されたのち、案件がスタートしてからは、お客さまの成功のために、という無私の心で取り組むことは可能です。もちろん契約の範囲を超えてのサービス提供はできませんが、やりたくない仕事や見返りの少ない仕事であっても、お客様の成功のために自らそれらを買って出ることで、信頼を得ていくことができます。

明治以降、個人の生きがいが尊重される時代になりました。そして、インターネットが普及し、他人の生き方がリアルに分かるようになり、ますます仕事でのモチベーションや面白さ、自分にとってのメリットが重視される傾向が強くなりました。

人生は一度きりなのでそれは非常に良いことですが、そのために、自分視点の強い方が増えてきている気がします。それが強すぎると、言行のはしばしにそれが感じられてしまい、どんなに言葉を尽くしたとしてもお客さまの心に届きません。

コンサルティングの仕事というものは、これまでの仕組みを変える仕事ですので、仕事の仕方が変わる人たちからの抵抗は必至です。少しでも私心が見えたら彼らは協力してくれないため、結果として取り組みを成功に導くことができなくなります。

そのため、物事が始まった後は、龍馬のように『なんちゃあございません』と無私の心で、成功のために邁進するのが良いと思います。

コンサルティングマインドを鍛えよう

今回取り上げた以下のことは、スキルというよりはマインドの要素が強いものです。

  • ゼロベース思考
  • 高次の目的思考
  • トークストレート
  • 無私の心

実際の龍馬がどうだったかは分かりませんが、龍馬伝の龍馬はコンサルティングスキルとコンサルティングマインドの両方を兼ね備えた人物として描かれていました。

龍馬伝を見ていると、こうなりたいなという思いつつも、こんな超人になるのは無理!と思ってしまうのですが、龍馬が活躍しているのはなぜかと考え分析していくと、案外、修練すれば身につけられるものということが分かります。

コンサルタントを目指す方は、ぜひ一度龍馬伝を見てみてください。48話もありますが、テンポが速いので飽きずに見られると思います。

筆者 田中 祐介
コンサルタント実績

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