
「優秀な人と働きたい」への違和感
高校時代、友達のお母さんと話をしていた時のこと。その方は会社を経営している方だったのですが、「優秀な人と働くのは楽しい。優秀な人と仕事をしたい」と仰っていました。
学生時代の私は自分の思ったことをうまく言葉にできないタイプで、自分のバカさ加減が話せば話すほどバレて恥ずかしくなるので、優秀な人と働くなんてまっぴらごめんだと思っていました。
その思いは新卒入社した会社でも同じで、その会社で優秀と言われる人たちはいわゆる切れ者が多く、たくさんのお叱りを受けたので、優秀と言われる方々と仕事をするのは本当に苦痛でした。
優秀な方々に引き上げられる
しかし、前職のコンサルティングファームに転職して、私は考え方が変わりました。いわゆる切れ者キャラもたくさんいますが、それ以上に理知的で人格的にも優れている方が多く、一緒に働く中でたくさんの学びや刺激を受けることができました。
最初の会社の方が長く在籍し、働く時間も長かったはずなのですが、前職の方が何倍ものスピードでビジネスパーソンとしての成長ができ、高い視点・広い視野を得ることができた実感があります。
転職した直後は、周りが全員優秀な人に見えましたし、実際にアウトプットを出す速さや質が全然違ったため、周りと自分とのギャップに苛まれました。ただ、ヨタヨタしつつもなんとか喰らい付いていく中で、自然といろんなものが引き上げられたものと思っています。
部活でも同じだった
そういえばと思い出したのは、大学時代の部活です。関東のアーチェリーで当時最強だったのは日本体育大学だったのですが、同校には中高からの経験者だけでなく、大学からアーチェリーを始めた人も少なくありませんでした。
それが、彼らも私と同じ初心者であったはずなのに、一年生の後半くらいからメキメキと頭角をあらわし、同学年での成績上位を占めていました。また、最終学年になるころには、全国でも最上位に食い込むくらいの成長ぶりを見せていました。
もちろん、体育大学に入るくらいですから、運動へのセンスは普通の人よりもあるのでしょう。それでも、あの凄まじい成長ぶりはセンスがあるから、だけでは説明がつきません。
また、私の代はヘロヘロしながら一部リーグで戦っていた程度でしたが、3つ下の代にインターハイ経験者が入り、彼が当時の学生新記録を樹立するという大快挙を成し遂げました。すると、その代および後輩たちがメキメキと上達し、何人もインカレに出場、リーグ戦でも圧倒的王者だった日本体育大学に肉薄するに至りました。これもまた、たまたま才能が集まりましたという程度では説明がつきません。
優秀な人と一緒に働いたり活動したりすると、それに引っ張られて周りも成長していける、自分もそこに身を置くことで成長できる。会社でも部活でも、やっぱりそうなんだなと思い、いまは友達のお母さん(多分当時、その方は現在の私とだいたい同じくらいの年齢だったと思われます)が言いたかったことがよく分かるようになりました。
転職後の成長した姿を見て
この仕事を長年続けていると、過去にご支援した方が、更なるステップアップのために転職をするとか、ライフステージの変化に合わせたフィールドに身を置くため転職するとか、一定の経験が積めたのでキャリアチェンジをしたくなり転職したい、といったことで再びお会いし、ご支援させていただくことが少なくありません。
その時によく感じることは、ああ、凄く成長されたな、ということです。その理由の第一は、当然ながらその方が努力をされてきたからです。それは間違いありません。ただ、それと同時に、この企業に行ってよかったですね、ということも、心密かに思っています。
内定は、育てられると判断した結果
ちょっと背伸びした企業を受けたいと思い、頑張って選考を受けて内定が出たものの、あんな優秀な人たちに囲まれて私は生きていけるのかな、と不安に思う気持ちが出てくることもあると思います。特に、転職活動に苦戦して、心が傷つくような経験をした人ほど不安に思う気持ちは強いでしょう。
もちろん、ギャップが余りに大きすぎるところは危険なのでやめておいた方が良いです。特に、たくさんの人が辞めることを許容した上で大量採用しているようなところの内定を受けるかどうかは慎重に考えた方が良いでしょう。急成長しているところは勢いがあると言われますが、その多くは採用人数・収益といった数字目標を重視タイプであり、人重視タイプではない可能性が否定できないからです。
ただ、そうでない企業であれば、慎重に選考を行なっていますし、過去の入社者でバックグラウンドが類似しており、かつ活躍している人と比較した上で内定を出していますので、企業としては育てられる、成長して活躍してくれると確信し、覚悟を持って内定を出しています。
そもそも、面接官の多くは、その会社の中でも優秀と評価されている方々です。外部の人に会わせても恥ずかしくなく、会社のブランドやポリシーを感じて貰えるような人選を、基本的にはしています(人材不足でそんなこと言ってられないので空いている人が面接に出る、ということもありますが)。
そのため、面接官と自分とのギャップを感じてもやむを得ないでしょう。それでも真っ当に会話ができ、その上で内定が出たのであれば、その優秀な方が、あなたも優秀になれる、引き上げてみせる、と判断したわけです。
面接官と会話を交わしていても違和感がなく、かつ、いまは力が足りないけれどもその仕事にチャレンジしたみたい、この人たちと一緒に働いてみたい、と思うならば、思い切ってそこに飛び込んでみてください。優秀な方々と働く中で、自然とあなたの力も引き上げられていきますので。


