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第1029章

成長したければ名手につけ!(後編)

2021年6月11日

前編からの続きです)

臨機応変さを学ぶ

戦わずして勝つのが最良とはいえ、相手に関する情報が不十分だったり、相手が予想以上に強かった場合は、どうしても競るシーンがでてきます。元々終盤はこうなるだろうと予測していても、相手が予想外の打ち手をしてきたり、こちらの想像を上回る打ち方をしてきたりした場合、当初の戦略を練り直す必要があります。

予想外の状況に陥った時、未熟な打ち手の半分くらいは、当初の想定にこだわろうとします。うまく軌道修正することでなんとかイメージ通りの形に戻し、勝負を有利に進められれば、と考えます。

それも、状況によっては正しい対応です。どれだけ先を読んだとしても、予想と全く同じようにいくことはまずありません。ほんの少しの違いであたふたしていては、勝てる試合も勝つことができなくなるため、少々の予想外であれば微修正で対応し、当初の方針通りに進めたほうが良いです。

しかし、前提が大きく変わるような一手が打たれた場合は別です。ヒカルの碁では、状況を一変させるような光る一手がクローズアップされ、手に汗握るシーンに突入するのですが、打たれた方は頭をフル回転させ、終盤イメージを再構築し、新たな手を打たなくてはならなくなります。

臨機応変に戦い、勝ちを収めるためには、何よりも適切な状況把握が必要です。どのような流れでどうしてこうなったのかを振り返りつつ、彼我の優劣を冷静に分析します。この状況把握には、時間と頭をしっかり使わねばなりません。状況の把握が間違っていては、勝つための適切な打ち手が考えられないからです。

まずはあらゆる情報をUPDATEし、それから相手の狙いを読み、どこが突破口になり得るかを考えます。予め考えていた状況ではないため、すぐには突破口を見つけられないかも知れませんが、自陣が崩れないように粘りつつ、相手の猛攻に耐えながら、一手ごとにゴールを修正していけば、そのうちチャンスは訪れます。

臨機応変とは文字通り、機に臨み、変に応ずることです。予想外の変に慌てることなく応じ、反撃する機会をじっと待ち、機を見つけるや否や、素早く動いで勝ちを収める。これが臨機応変の真髄といえます。

そして、名手と言われる人は、機を我慢強く待つことと、機を見つけることに長けています。そのため、名手が変に応じるところのみならず、機を掴む瞬間(ヒカルの碁で「神の一手」と言われるものがそれに当たります)を見逃さないようにしましょう。

最初の頃は、どこが機なのかが分かりませんが、だんだん「ここだ!」という勝機のポイントが掴めるようになってきます。勝機が分かるようになれば勝負強さが一気に増しますので、一手一手をじっくりと観察をして、勝機を感じられるようになりましょう。

フィードバックをもらう

対局が終わった後は、感想戦という振り返りを行います。改めて初手から順に手を進め、困ったり迷ったりした手について、その時何を考えていたのか、どうすれば良かったのか、といったことを冷静に分析し、議論します。

ヒカルも、佐為をはじめとするさまざまな相手と対戦し、そのつど感想戦を行います。どんなにレベル差があっても感想戦は行われ、負けた方から、ここは失敗だったなあ、ここは迷ったんだよな、と言ったり、勝った方からも、実はここは危なかったんだよね、ここはこう打つのが良かったと思うよ、と言ったりして、思ったことを率直に言い合います。

お互いにフィードバックをしあうことで、勝った方も負けた方も学びを得られる良い慣習だと思いますが、これはビジネスの場においても有効な手段と考えています。

もちろん、お客様と議論をした後で感想戦を行うことはまずありませんが、自分の発言や行動がどうだったかを、自分よりも上のレベルの方からフィードバックを貰うことはできます。

座学で学ぶことや、ざっくりとまとめて振り返ることももちろん重要ですが、神は細部に宿ると言われる通り、その場その場の細かなところに深淵があります。派手な技を覚えるよりも、ちょっとしたところを少しずつ洗練させていくことの方が、早く高いレベルの仕事ができるようになります。そのため、些細と思えることでも構わないので、毎日何かしらのフィードバックを貰うようにしましょう。

なお、良い指導者ほど、人が一度に消化できる情報量は限られていることが分かっているため、これは言わなきゃと思ったことしかフィードバックしない傾向にあります。

そのため、自分から、いまの自分はどうだったか、とか、細かいところまでフィードバックが欲しい、と伝えてみてください。たくさんフィードバックを貰うと気持ちが沈んでしまうこともありますが、しかし、確実に気づきを得られるはずです。心を強く持って、フィードバックを下さいと言ってみましょう。

なりきる

佐為と共に打ち続けるうちに、だんだん佐為のDNAがヒカルに継承されていきます。物語の後半、ヒカルは佐為だったらどうするか?を考えて打つのですが、ヒカルのその打ち手に、佐為の影を感じる人たちも徐々に出てきます。

守破離という言葉があるように、まずは師匠から教わった型を徹底的に身に染み込ませることが、一流になるための基本です。

オリジナリティにこだわる方もおられますが、オリジナリティは、基本形があってこそ効果を発揮するものです。自分がまだ型を覚えていなかったり、覚えた型では対応できなかったりした時は、自分で考えて頑張らなければなりませんが、それらはやむを得ずしなければならない「我流」といえます。

我流も続ければ成長をしますが、洗練された型を身につけた人よりは成長スピードが遅くなるのが一般的です。そのため、早く自分らしさを出したい!と逸る気持ちが出てきたとしても、まずは名手の型を身に付けられるよう、行動と思考を何度も何度もトレースしていただければと思います。

そして、超える

以前、コラムでツァラトゥストラの言葉を引用し、弟子は弟子であり続けるのではなく、師を超えよというお話しをしました。

○お世話になった上司への最上の恩返しとは — いまではなく未来で報いる —
https://www.liber.co.jp/sp/knowhow/column/column796.html

ヒカルの碁ではどうなるのか。それは見てのお楽しみとさせていただきますが、いずれにしても、弟子が名手によって成長するとして、ずっと名手の風下に立っていてはいけません。

名手の打ち手がトレースできるようになり、思考回路も分かってきたなら、そこからが本番です。

確かに名手の打ち手は良く考えられていますが、中には迷いに迷って打つ手もあります。また、名手であるが故に思い切った手を打てない、というジレンマもあります。ヒカルの碁でも、大名人が自由に打てないもどかしさを感じるシーンが出てきています。

名手の考えが分かった上で、敢えて名手が打たない手を打つ。それは、名手が打たないだけあってリスクのある手ではありますが、新たな道を切り拓く一手でもあります。

ヒカルもあるとき、佐為から示された一手ではなく、自らが思いついた手を試してみたくなります。試した結果、惨敗を喫してしまうのですが、それは、師匠である佐為を超える可能性を拓いた一手でもありました。

ヒカルと同様、初めは失敗の連続でしょう。でも、名手が名手たる所以は、たくさんの失敗を経験し、その一つ一つから確実に学び、負けない戦い方を体得していることにあります。

最初から負け続けると、それそのものが嫌になってしまうため、まずは勝てるようになっていただきたいのですが、ある程度勝てるようになったら、徐々に名手が打ちづらい新たな手を打って挑戦してみてください。そうすることで、師匠である名手を超えていくことができます。

名手につく目的は、名手に近づくことではなく超えることにあります。この心持ちがあるかどうかで、名手から吸収できるものが段違いに変わってきます。

いつかは名手を超える。この意識をしっかりと持った上で、名手から日々学び続けて頂きたいと思います。

<参考書籍>
集英社 『ヒカルの碁』 ほったゆみ(原作)、小畑健(作画)

筆者 田中 祐介
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