COLUMN
コラム:転職の技術
  1. IT転職リーベル ホーム
  2. コラム:転職の技術
  3. 入社前のイメージと違ったときには
第843章
2018/05/11

入社前のイメージと違ったときには

— 他責思考から脱却すれば道は開ける —

ゴールデンウィーク明けは転職相談が増える

今年のゴールデンウィークは2日休むと9連休でした。ゴールデンウィーク明けの出社は社会人経験が長くて仕事も好きな私ですら憂鬱になりますので、ましてや学生時代の記憶が新しい方や、仕事に強いやりがいを感じておられない方だと、なおさら出社するのが億劫になるものかと思います。

そのためか、毎年ゴールデンウィーク明けは転職の相談に来られる方が増える傾向にあります。ゴールデンウィークで時間ができたので冷静にこれまでを振り返ったら、いまのままで良いのかという気持ちが湧いてご相談にこられる方、何かモヤモヤした気持ちがあるので誰かに話したいということでこられる方、入社前と入社後のイメージが違ったので相談したいという方など、ご相談にこられる理由は様々です。

ここで注意しなければならないのは、新卒1~2年目の社会人歴の浅い方です。その年代の方の多くが「入社前とイメージと違った」という理由で転職を考えられるのですが、どの程度イメージが違ったのかによって、ご支援できる方と難しい方に分かれます。

イメージと現実のギャップは必ずある

そもそも「入社後にイメージと違った」というのは、誰にでも必ず発生します。もっと言えば、会社に限らず、イメージと現実とは必ず食い違います。

これまでも、学校に入学したり、習い事を始めたり、知り合った人と遊ぶようになったり、お付き合いを始めたりしたときに、「イメージと違った」ということが必ずあったはずです。

イメージと現実のギャップは、経験を積めば積むほど小さくすることができます。しかし、いくら経験を積んでも、そのギャップが完全になくなることはありません。未来を完璧に予測することは誰にもできないからです。

そうすると、全ての人が入社後にギャップを感じ、全ての人が転職するといったことになりますが、実際はそうはなりません。ギャップというのはプラスのギャップとマイナスのギャップがあり、「想像以上に良かった」というプラスのギャップを感じられる方もたくさんおられるからです。

また、マイナスのギャップがたくさんあったとしても、まだまだ自分の糧になることがあるため、しばらくは頑張ってみようという方もおられます。

そのため、ギャップを感じた方の中でも、マイナスのギャップが大きく、いまの会社にいても実りがないと感じた方だけが転職を考えるということになります。

どれくらいの「イメージが違う」が許されるか

新卒1~2年目の方で「イメージが違う」という理由で転職活動をされる方の全員が転職できるわけではありません。同じ「イメージが違う」でも、企業が許容してくれるものと許容してくれないものがあるからです。

その違いを端的に言えば、ギャップの主たる原因が自分の責によるものなのか、企業の責によるものなのかです。企業の責によるものというのは、例えば企業が入社前に仕事の内容や責任などについて、誇張して話をしていた場合です。

企業としても人が欲しいので、嘘は言わないまでも、誇張した話をする時があります。

「◯◯ができるよ(20年後にね)」
「◯◯を任せるよ(最初の5年は違うことをするけどね)」
「うちは◯◯をやってるよ(君は関わらないけどね)」

など、かっこ書きのなかの本音を言わずに話す企業は、特に就職活動において出会う確率が低くありません。

もちろん、それも事前に確認をしておくべきという話もありますが、言葉巧みに誤ったイメージを植え付ける企業も現実的には存在します。最初から企業がそのつもりであれば、学生の方がそれを見抜くのは至難の業でしょう。こういう類のものは「企業の責によるもの」と言え、新卒入社後1~2年しか経っていなくても、事情を理解してくれる企業は一定数あります。

一方、自分の責によるものというのは、明らかに調査不足、確認不足、イメージ不足と思われるものです。きちんと企業から仕事の説明がされていたり、ちょっと調べたらわかるようなことを調べておらず、勝手にバラ色の社会人イメージを作りあげて大きなギャップを感じている場合、それを中途採用の面接で企業に話すと「いや、それは君のそもそものイメージが間違っていて会社の責任ではないよ」と思われてしまいます。

このパターンの方は、なかなか転職に苦戦する傾向にあります。大きな理由の一つとして、自分の責なのに会社の責にする人は他責で自分勝手な人だとみなされ、「きっとうちの会社に来ても人のせいにして文句ばかり言うんだろうな。面倒くさいから採用しないほうがいいな」と思われてしまうからです。

他責思考から脱却すれば道は開ける

では、転職理由が自分の責によるものである場合、転職はできないのでしょうか。そんなことはありません。他責思考の強い人と思われることが問題であるならば、それをやめればいいのです。

具体的には、事前調査や確認不足であったこと、入社前のイメージがそもそも間違っていたこと、今度は失敗しないように真剣にキャリアを考えていて、厳選かつ慎重に応募先を選んでいることなどを企業に分かって貰えばいいのです。

なんだ、そんなことか、簡単だね。と思った方、要注意です。面接官もさるもので、その場凌ぎで作った理由かどうかを、あの手この手で聞きだします。また、そもそも他責思考が強い方は、その言葉の端々で「自分は悪くない、会社がダメだ」という意思表示を無意識のうちにしがちです。

そのため、他責思考そのものから脱却し、面接対策としてではなく、心から自らを反省して、真剣にご自身のキャリアに向き合ってください。心からの言葉は相手に届くものです。会社に対する恨みつらみはあろうかと思いますが、過去とすっぱり決別して新しい人生をスタートするためにも、恨む気持ちは綺麗さっぱり忘れて、ご自身の未来を開くことに集中して頂ければと思います。

筆者 田中 祐介
コンサルタント実績
#関連記事

関連記事

注目のキーワード: