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第1278章
2026/08/28

「想像力」によってより良い転職を

最近、読書にハマっています。ジャンルとしてはミステリーが多いですね。直近では『一次元の挿し木』『方舟』を読み終え、今は『傲慢と善良』を読んでいるところです。

『一次元の挿し木』はページをめくるたびに展開が変わり、一気に読んでしまいました。『方舟』は前評判通り、結末の驚きが凄まじかったです。そして今読んでいる『傲慢と善良』は、人間が無意識のうちに「善良」でありながら、同時に「傲慢」でもあるというリアルな姿勢が分かりやすく描かれており、胸が痛くなります。
どれも本当におすすめなので、お時間があるときにぜひ読んでみてください。

ちなみに、みなさんは本を読むとき、頭の中でどんなことを考えているでしょうか。

私は、文章から情景をイメージしたり、登場人物たちの心情を自分のこれまでの人生になぞらえてみたり、今後の展開を想像したりしています。

そして、この「文章や会話から想像する」という行為は、実は転職活動においても非常に重要な要素です。
応募求人を選ぶとき、面接で回答するとき、入社する企業を決めるとき。それぞれの場面で想像力を働かせて検討・対応していくことが、より良い転職結果に結びつくからです。

応募求人を選ぶとき

例えば、「アーキテクト」としてのキャリアを希望している場合に、求人票のポジション名に「アーキテクト」と書いていないからという理由で、応募を見送ってしまうケースがあります。

しかし、求人票は出来るだけ多くの方に興味を持っていただけるよう作られているものです。また、役割の定義は企業毎に異なるため、敢えてポジション名に「アーキテクト」という言葉を使わないという企業も存在します。

また、IT業界は多重下請け構造になっている点にも注意が必要です。企業の商流によっては、「アーキテクト」と記載されていても、実際の役割が異なります。ITシステム全体のグランドデザイン・全体アーキテクチャの設計、技術選定等を行う立場ではなく、基本設計以降を主導するエンジニアを想定している、というケースも少なくありません。

希望する仕事が出来るかもしれないのに、求人票の文字面だけで判断し、本当に良い求人を逃してしまうのは非常に勿体ないことです。だからこそ、求人票を読むときには「想像力」が重要になります。

今回の例でいえば、「アーキテクト」というポジション名でなくとも、その求人を出している企業の「商流」を想像し求人票を読み解くことで、プロジェクトで実際に携われる工程が見えてきます。そうすれば、自分が「アーキテクト」として得たい経験が、その企業で積めるかどうかを正しく判断でき、見落とすことなく希望の求人に応募できます。

さらに、自分が選考を通過できる可能性を判断したい場合にも、この想像力は活かせます。業務内容の記載から「自分の経験をどう生かせるか」を想像したり、求めるスキルから「なぜこの企業は今、この人材を欲しているのか」という背景を想像したりすることです。これにより、自分に本当にマッチした求人を、より高い精度で自ら選び出すことが可能になります。

面接で回答するとき

面接で、聞かれたことに対しての回答はしたつもりでも、面接官の反応が良くなかった、ということはありませんか。これは、面接官の質問の意図を想像できていないことが原因で起きているケースが大半です。

例えば、「仕事の失敗談を教えてください」という質問に対して、「特に大きな失敗はありません」という回答はNGです。面接官は、失敗そのものを責めたいのではなく、「問題に直面したときの解決能力(リカバリー力)」と「客観的な自己分析力・成長意欲」を知りたい、という意図を持って質問しています。

そのため、「失敗がない」は自己分析不足という印象を与えてしまいます。またシビアに見る面接官であれば、「失敗する余地がないレベルの簡単な仕事しか任されてこなかったのではないか」と捉え、経験不足だと判断するケースすらあります。

面接官は、常に「働く姿を具体的にイメージするため」ひいては「即戦力として、どう自社の仕事に貢献してくれそうか」を意識して、質問しています。あらゆる質問において、この前提を頭に置き、面接官の意図を想像することが大切です。

とはいえ、緊張する面接の本番中に、その場で質問の意図を瞬時に想像して対応するのは簡単ではありません。まずは事前の面接準備の段階で、定番の質問事例をもとに「この質問の意図は何か」「どう答えれば働く姿をイメージしてもらえるか」をじっくり考えておく対策が有効です。

ちなみに、さらに一歩進んだ「想像力」の活かし方として、臨機応変な対応力をアピールするために「未経験の領域を想像力でカバーする」というテクニックもあります。

例えば、「〇〇のようなトラブルを経験したことはありますか?その際どう対応しましたか?」と聞かれた場合です。もし実際の経験がなくても、そのシチュエーションを頭の中で想像し、「その経験自体はございませんが、もしそのような状況に直面した場合は、〇〇のように対応いたします」と回答する方法です。

この答え方ができれば、たとえ実務経験はなくても、「未知の状況にも自ら考えて柔軟に対応できそうな人材だ」という好印象を面接官に与えることができます。

入社企業を決めるとき

「この企業なら大丈夫だろう」とリスクを深く考えずに入社を決めて後悔してしまったり、逆にリスクばかりを気にして、本当なら希望のキャリアにつながる企業だったのに辞退して後悔してしまったりした経験はありませんか。

前者は入社後に起こりうるリスクを、後者はリスクを恐れるあまり入社後のメリットを、それぞれ「想像」できていないことが原因で起こりがちです。

転職活動で苦労してきたからこそ、内定が出ると嬉しくなるものです。「早くこの苦しい活動を終わりにしたい」という気持ちになるのも非常によく分かります。
しかし、転職活動の本来の目的は「現職での悩みの解消」や「叶えられないキャリアの実現」であるはずです。その目的に合っていない企業へ転職してしまっては、これまでの努力が結果的に報われなくなってしまいます。

また、面接やオファー面談(条件提示面談)において、企業は基本的に「自社に良い印象を持ってもらい、入社してほしい」と考えて説明を行います。
そのため、時には転職者にとって耳当たりの良い話ばかりが先行するケースもあります。企業から聞く話をすべて鵜呑みにしないよう、少し冷静に裏側の背景を想像してみる姿勢も必要です。

一方で、リスクばかりに目を向けてしまうことも避けなければなりません。
転職によって環境が大きく変わるため、不安になるのは当然です。だからこそ、同じ業界・職種へ転職した知人に話を聞いたり、口コミサイトで企業の評判を調べたりする行動はとても大切です。

ただし、知人はあなたと全く同じ仕事をしているわけではありません。企業が違えば、携わる業務も変わります。特に就業環境やカルチャーは、その会社の制度や「人材に対する考え方」によって大きく異なります。
口コミサイトの情報も、事実の一面ではありますが、あくまで主観的な一意見に過ぎません。

そのため、入社企業を最終判断するにあたっては、まず「なぜ自分は転職活動を始めようと思ったのか」という初期の目的に立ち戻りましょう。
「入社後、どういった業務やキャリア、就業環境に繋がれば転職理由を満たせるか(メリット)」「その企業に入社した場合、どのような課題やミスマッチが起こりうるか(リスク)」
これらを自分のケースに当てはめて具体的に想像した上で、最終判断を下すことが大切です。これこそが、転職後に決して後悔しないための秘訣です。

精度の高い「想像」には情報も必要

さて、ここまで転職活動における「想像力」の大切さをお伝えしてきましたが、いかがでしたでしょうか。

なお、精度の高い想像力を働かせるためには、その土台となる「生きた情報」が欠かせません。もし、企業カルチャーや実際の業務内容、求人の背景などについて、より深い情報が必要だと感じた際には、ぜひ担当コンサルタントにお気軽にお問い合わせください。

弊社では、一人のコンサルタントが企業と求職者の双方を担当する「両面型エージェント」の体制をとっています。コンサルタントが企業の採用担当者や経営層と日々直接コミュニケーションを図っているため、求人票の文字面だけでは見えてこない、リアルで正確な情報をお伝えすることが可能です。

あなたの想像力をさらに膨らませ、納得のいく転職活動を進めるためのパートナーとして、私たちが全力でサポートいたします。

筆者 明神 江里子
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