
- プロフィール
- 国立大学を卒業後、人材系ベンチャーにエンジニア職として入社。その後、技術を磨くため、SES企業に転職し、客先に常駐するエンジニアとしてAI関連のシステム開発を経験。顧客と相対して課題解決ができるポジションを求め、リーベルの支援を受けて再度転職活動を行い、日本電気(NEC)に内定。
不透明になるキャリア。立て直すため、そして技術を磨くために、SES企業への転職に踏み切った。さまざまなプロジェクトにアサインされ、プログラミング力を身に付けた。
転機となったのが、AI-OCRを活用したシステム開発の案件だ。商流の低い立場でありながら、顧客から直接要望を聞きシステムに落とし込むポジションに抜擢された。自分が求めていたのはこうして顧客と相対する立場。それがかなうのはプライムベンダー。
自分の成長のため、再度、転職活動に挑んだ。支援先として選んだのはリーベルだ。提示された求人票は大手SIerや大手コンサルティング会社。その中に日本電気(NEC)も含まれていた。
実績や経験で見ると、足りない部分もあるかもしれない。だが、ポテンシャルでカバーできる余地は十分にある。
特にNECは学生時代に培った知識やAI関連の知見と関心が、選考ポジションとの親和性の高さとして伝えられるのではないか。チャレンジングな応募だったが、その可能性に賭けた。結果、NECが求める人材イメージと自身の強み、目指したいキャリア感が合致し、納得感を持って入社を決めることができた。
SES企業から大手SIerに転職できた鍵は何だったのか。内定に至るまでの経緯を聞いた。
ベンチャー企業からSES企業に転職してキャリアを再スタート
大学では理系学部で地球物理学や地質学、鉱物学を学んだ。卒業後、就職先として選んだのは人材系ベンチャー企業のエンジニア職。技術を身に付け、事業に貢献したいと考えた。だが、コロナ禍で想定が崩れた。

—— 大学では地球を研究する理系学部で学び、卒業後はエンジニア職として就職しましたが、その経緯を教えてください。
Tさん:子どもの頃から宇宙や、天気、地震などの自然現象に興味があって、成績も理系科目が良かったこともあり、大学では理系学部で地球に関すること全般を学ぶ道を選びました。ただ、大学院で研究を続けようとは考えず、早く社会に出て働こうとも思っていました。ITの技術を身に付けるのが将来的に有利に働くと考え、職種はエンジニア職。さらに、若い時から裁量権を持って仕事をしたいと思い、ベンチャー企業を中心に就職先を探しました。最終的に人材系ベンチャーを選んだのは、その会社が働く女性の支援を掲げており、その理念に共感したからです。
—— 就職後、1年で退社されています。理由は何でしょうか。
Tさん:エンジニア職で採用されたのですが、コロナ禍で事業と人員が縮小され、入社早々、私は営業とマーケティング担当に配置転換されました。その後、新規事業企画と社内SEの業務を兼務しましたが、私が思い描いていた働き方とは全く異なるものでした。このままでは、エンジニアとして成長するという自分のキャリアが不透明になってしまうと思い、退社をすることに決めたのです。
—— そこからすぐに転職先を探すのではなく、一度フリーのエンジニアとして活動されています。
Tさん:前職でエンジニアとしての経験があまりにも乏しかったため、一定の実績を積もうと考えたのが理由です。タイミングよく、知人から小売店出店に伴い、ウェブサイトとECサイトの構築を依頼され、それを私がフルスタックで開発しました。要件整理やデザイン検討、AWS環境の構築、サイトの構築、Googleアナリティクスの導入など、すべてが初めての経験でしたが、方法を調べながら作り、半年でローンチすることができました。元々、自分で調べて物事を解決することが苦にならない性格で、この開発によって一定の実績と自信を付けることができたと思っています。
—— 個人活動は転職に役立ちましたか。
Tさん:はい。転職エージェントに相談すると、技術を付けるならまずはSES企業で働くのが近道と助言を受け、応募したところ、その個人活動の実績が認められ、3社から内定を得ることができました。まだコロナ禍で求人が少なかった当時としては、上出来だったと思っています。そのうち、SESという業態の中での人材の扱い方に着目し、最も人としての成長や意思の尊重を考慮していると思える会社への入社を決めました。
—— キャリアを仕切り直しての再スタートです。キャッチアップはうまくできましたか。
Tさん:小規模なプロジェクトに次々とアサインされ、その度にプログラミングに使う言語が変わります。ただ、私自身が元々新しい知識をインプットしたり、勉強したりすることが好きなので、抵抗はありませんでした。必要な書籍を購入したり、ネット上を検索したりして学ぶことで、問題なく乗り切ることができました。
—— エンジニアとして開発に携われる環境に身を置くことができ、ようやく思い描いたキャリアを一歩ずつ進めるようになったわけですね。
Tさん:そうですね。配属されるプロジェクトも、最初はテスト工程、次がフロントエンド、その次がバックエンドとなり、会社側も私の成長を考えてアサインしてくれているようでした。そうこうしているうちに入社から約1年が経過し、配属されたのが、官公庁向けの大規模な案件でした。そして、その案件に配属されたことが、私の運命を大きく変えることになったのです。
顧客と相対して課題解決するため、再度転職へ挑む
SES企業で順調に成長を遂げていた。だが、大規模案件にアサインされたことで、ある思いが芽生えた。それは商流の低い立場では今後歩むことができないキャリアへの欲求。どんな経験が運命を変えたのか。
—— アサインされたのはどのようなプロジェクトでしたか。
Tさん:官公庁向けにAI-OCRを活用したシステム開発を行う案件です。AI-OCRとは簡単に言えば、AI技術を用いて手書き文字などを読み取りテキスト化するツールのこと。私は最初、下流工程から任されました。ただ、契約を継続していく内に配属先の上位企業から信頼を得ることができ、職務が広がって、顧客との直接のやりとりを一部任せていただけるようになりました。
—— 徐々に実績が評価され、任される業務が広がったのですね。とてもやりがいを感じたのでは。
Tさん:はい、成長するチャンスを与えられ、より力が入りましたね。しかし、自分にとっては難易度が高いことも自覚していました。顧客と直接やり取りするのは初めての経験であり、何より、AI-OCRの製品はまだ黎明期で、調べても答えが出てこないことが多かったからです。例えば、顧客は60%程度のAI-OCRの読み取り精度を90%以上に向上させることを求めてきましたが、それをどうやって実現するか。とても難しい課題でした。しかし、私は同時に楽しいとも思っていました。取り組んでいることは、学生時代、地球のさまざまな現象を解析するのと、どこか似たところがあったからです。
—— どういうことでしょうか。
Tさん:解析とは、答えがないところに答えを出す作業。当時は、それを楽しんでいたのですが、顧客の難題を解決するのも、考え方はそれと一緒ということです。私はそんな自分自身の原点に立ち返り、詳細に分析して読み取り精度が悪い原因を突き止めて改善する作業を一つひとつ地味に行っていきました。以後も、同様の姿勢で顧客の出す課題に向き合った結果、さまざまな状況が改善し、私は顧客の期待に応え、信頼を勝ち取ることができたのです。
—— 技術の習得とは違った側面で、開発の醍醐味を味わったのですね。
Tさん:顧客の要望をくみ取り、自分の頭で何とか形にする方法を考えて、最後までやり切る。これこそが私がやりたかった仕事であると、その時確信しました。そうなると、もっと成長したい、早く一人前になりたいという思いが自分の中で芽生え、「基本情報技術者」「統計検定」など業務に必要な資格は自らの意思で取得していきました。
—— その他、自分で工夫したことはありますか。
Tさん:その点でいうと、当該プロジェクトで注力したのが業務の自動化です。スケジュールを考えた場合、期限内にアウトプットを出すのが困難であるケースが多々見られ、人を増やすことが難しい中、業務の自動化によって補うのが得策だと思ったからです。例えば、個人的にPythonを勉強したり、生成AIを使ったりして、さまざまな業務の自動化を試み、有効であるツールはチーム内で横展開を図っています。生成AIにプロンプトを入力して、Pythonやマクロのコードを生成してもらい、手直ししてツールを完成させるなど、自分なりに手順も検討しながら自動化を推進しました。チームのメンバーは必要に応じて利用することで時短が実現し、期限の順守に一役買うことができたと考えています。
—— プロジェクトへの貢献度が高くなり、周囲からの期待も大きくなったと思います。そうした中、再び転職する決断をされたのはなぜですか。
Tさん:前述の通り、顧客と相対して課題を解決することにやりがいを感じたのですが、そうした仕事は商流の低いSES企業ではレアケースで、今後行える保証がなかったからです。システムを開発するのは手段であり、目的はあくまで顧客の課題解決。そう考えた時に、このままSES企業で働き続ける選択肢はなくなりました。私は、自分が目指すキャリアを実現するため、再度転職活動に挑む決意を固めたのです。

チャレンジングな求人に挑み、強みのアピールで入社を実現
キャリアを再考し、転職して自分が本当に携わりたい仕事に就こうと決心した。目指すのは、顧客から直接要望を聞き、解決を図ることができるプライムベンダー。支援先を模索し、自ら探し当てたのがリーベルだった。
—— 転職活動を行うに当たって、何からスタートしましたか。
Tさん:まずは複数の転職フェアに足を運び、転職先としてどんな企業があるのか、現在盛況な業界はどこかなど、リサーチすることから始めました。最初からエージェントに相談するやり方もあるかと思いますが、それだと任せっぱなしになってしまう可能性があります。ある程度、状況把握をしてから相談しようと考え、転職フェアを情報収集のために活用したわけです。
—— 自分なりの戦略を持つことは非常によいことだと思います。その後は?
Tさん:ネット上でエージェントを検索しました。その過程で、大手SIerへの転職に強いエージェントとして抽出できたのがリーベルです。早速、面談をしたところ、私へのヒアリングの粒度が細かく、今までどんな仕事に携わり、どんな企業に転職したいのかを、長時間かけてじっくり聞いてくれました。それを踏まえて、紹介する求人の質が圧倒的によく、最初から好印象を持ったことを覚えています。
特に、好感を抱いたのが、大手SIerや大手コンサルティング会社など、私にとってチャレンジングな求人票も提示してくれたことです。その中には今回内定を取得したNECの求人票も含まれていました。実は、他のエージェントとも面談をしたのですが、その際、大手SIerへの転職も目指してみたい意向を伝えたところ、「SES企業から大手SIerは無理」と、頭から否定されてしまいました。それに対し、リーベルは真逆の考え方で、「しっかりと準備をして自分の強みをアピールすれば可能性はある」と私の背中を押し、マッチしそうな企業を複数示してくれたのです。
—— NECを提示されたことについては、どのように感じましたか。
Tさん:私が「転職先の業務に関しては、AI、自動化、分析に興味がある」と伝えたことを受けて、リーベルの担当者が選別したのが、NECのAIエンジニア職の求人票でした。その内容をよく見てみると、「電磁波」という言葉が繰り返し書かれており、その言葉にも私はなじみ深さを実感しました。私は大学時代、地球を科学的なアプローチで学んでおり、その際、電磁波についても勉強していたからです。このNECの職種であれば、自分が学生の時に身に付けた知見も活かせるのではないかと考えました。同社はチャレンジ枠であり、求人票に書かれている要件を私が完璧にクリアしているとは言えない状況でしたが、それでも望みはあると思い、挑戦してみようと思ったのです。
—— 実際、NECの面接はどうでしたか。
Tさん:これまでどのような仕事をしてきたか、どんな案件が難しかったか、何に最も力を注いだか…など、オーソドックスな質問が多かったと思います。そうした中、私が回答の時に意識したのが、自分の強みを積極的にアピールすることです。例えば、AI-OCRのシステム開発では、顧客からのハードルの高い要求に対して自分の頭で考えてやり切った自走力を訴求し、生成AIを活用して業務の自動化にチャレンジしたことも伝えました。その他、自己研鑽して資格を取得したり、知人のウェブサイトやECサイトを、自ら調べて構築したりしたこともアピール材料として話しました。面接官からは「さまざまなことにチャレンジできる方なのですね」と評価され、これまでの経験や関心が、今回のポジションで求められる役割や期待に合うと感じていただけたのではないかと考えています。
—— その他、ご自身の価値観が今回の職務とつながったと思う点は。
Tさん:それは2点あると考えていて、1つが、答えのない課題に向き合えること。学生時代に行ってきた解析も、AI-OCRのシステム開発も、まさに答えのないところに答えを見いだすものであり、それはNECに入社したら配属される電磁波を扱う部署でも必要とされるマインドです。その姿勢を持っていることは今回の職務との接点になると、面接官の方も考えたのではないかと思います。
もう1つは、電磁波に対する関心があることです。面接中、何度か「電磁波に興味はあるか」と念を押すように聞かれる場面がありました。それに対して私は「電磁波は馴染みのある分野」「学生時代にも解析に力を入れていた」と話し、「今回、事業説明で電磁波を扱う仕事であると聞き、自分が改めてこの分野に関心があることに気付いた」「電磁波に携われると聞いてワクワクした」と正直な気持ちを伝えました。そうして、私自身の強みや関心と、面接官の方が描いていた採用したい人物像とを、すり合わせることができた点は、非常に有益だったと考えています。

—— 結果、NECからは内定を得ることができました。
Tさん:プライムの立場で顧客の役に立てるSIerで、希望をしていたAIに踏み込んだ開発に携われ、なおかつ、学生時代から関心を寄せていた電磁波に関わる仕事に従事できるポジションであることは、私にとって最良の転職先です。大学の時に学んだことが、社会に出て転職の際に役立つとは思ってもみませんでした。
これは面接で事業説明を受ける中で分かったことですが、私が配属されるのは電磁波を国防に役立てる研究や開発を行う部署です。非常にニッチな領域ですが、自分のAIや電磁波に関する知見を活かしつつ、答えのない課題に向き合って解決策を導き出すことに貢献できればと考えています。
実績や経験を深掘りし、「強み」を見いだすことが重要
SES企業からプライムベンダーへ。自分が求めていたキャリアへ一歩踏み出すことができた。一見難しいと思われる転職を実現した要因は何か。
—— 今回、NECへの入社が実現した要因は何でしょうか。
Tさん:私が実績や経験で求人の要件を完璧に満たせない可能性がある中、自分の強みを伝えるために、いかに準備ができるかが鍵だと思っていました。その点では、ヒアリングやレジュメの作成、面接の練習などにおいてリーベルの担当者に手厚く支援してもらいながら準備し、面接当日の限られた時間の中で自分の強みをしっかりと訴求できたことが、NECとのより良い相互理解を深めることにつながったと考えています。
—— リーベルの支援も1つの要素になったということですね。
Tさん:大手SIerでAIエンジニアの求人という、私にマッチしそうな求人を探し出して提示する力、転職活動の戦略を練り、すべての工程で最大限のサポートをして転職を実現する力が際立っていました。それが、他のエージェントが難色を示していた大手企業への挑戦を形にできた原動力の1つだと、今は思っています。
—— では、最後に同じようなキャリアを積みながら、大手企業への転職を目指す方々へ、メッセージをお願いします。
Tさん:SES企業から大手プライムベンダーに転職するのは無理と言われることもあるかもしれませんが、そこで自らブレーキをかける必要は全くないと思います。たとえ、SES企業だったとしても、実績や経験を1つひとつ深掘りしていけば、自分ならではの強みは出てくるはず。それを前面に押し出せば、面接官の心に響き、互いに納得した上で入社が実現する可能性は十分にあるからです。リーベルの担当者も私と一緒に強みの探索に時間を割き、「この強みをアピールしましょう」「これは、こういう風に言い換えれば大きな強みになります」など、多くの助言をしてくれました。信頼できるエージェントの力を借り、自己理解を深め、チャレンジすることが大切だと考えています。
—— 最初からあきらめずに、ステップアップしたい思いがあるならしっかりと準備をして挑戦することが重要ですね。貴重な体験と考えを話していただき、ありがとうございました。
ライター プロフィール
- 高橋 学(たかはし・まなぶ)
- 1969年東京生まれ。幼少期は社会主義全盛のロシアで過ごす。中央大学商学部経営学科卒業後、1994年からフリーライターに。近年注力するジャンルは、ビジネス、キャリア、アート、消費トレンドなど。現在は日経トレンディや日経ビジネスムック、ダイヤモンドオンラインなどで執筆。
- ◇主な著書
- 『新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『新版 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『「場回し」の技術』(光文社)など。
