COLUMN
コラム:転職の技術
第1140章
2023/10/27

質問するための想像力

面接の中では、転職者から企業側へ質問をする「逆質問」の時間が設けられます。基本的には、この逆質問の時間で、最終的な入社企業を選択するための情報を集める事となります。
ただ、逆質問は単に企業の情報を集める時間ではなく、この時間もまた、面接の一環です。そのため、質問の仕方は工夫をした方が良いですし、内容次第では、たった一つの質問で、面接官にポジティブな印象を与えることも出来ます。

質問の工夫

では、どういう質問の仕方をすれば良いのか、というと、単に「御社は○○ですか?」と一問一答のやり取りをするのではなく、「自分は○○だと思っているが、実際はどうですか?」等、自分が持っているイメージを伝え、そこから面接官と会話をし、コミュニケーションをとることです。

結局のところ面接は、企業と転職者の間で会話をし、お互いを知ることが目的です。それは逆質問の時間も同じで、企業側は転職者の質問から、企業に対しどのようなイメージを持っているのか、また入社するにあたって何を気にしているのかを、この逆質問の中で知り、転職者がどういう考えを持つ人物なのかをイメージします。

一問一答はネガティブな印象を持たれることも

しかし、一問一答形式で単発の質問ばかりをしてしまうと、企業的には、転職者がどういう意図をもってその質問をしているのかのイメージが出来ません。
例えば「お客様先に行くことはありますか?」と聞かれても、お客様先へ行くことが嫌なのか、嫌な場合は何故なのか、そもそも「お客様先に行くかどうかを気にしている」⇒「お客様先に行きたくないってこと?」⇒「個人的な感情等でやる仕事を選ぶタイプの方なのかな?」、という印象を持たれる可能性もあります。
正直、それまでの質疑応答で経験的に良い評価を頂いていても、最後に上記のようなネガティブな印象を持たれるだけで、面接NGになる事もあり得ます。

一方で、「御社は一次請けとして上流工程をメインに行う企業様のため、顧客とのやり取りをスムーズに行うべくお客様先に訪問する機会も多いと考えております。実際はいかがでしょうか。現職は自社に持ち帰ったり、リモートでの対応も多かったため、御社に入社した場合、今後の生活スタイルがどう変化しそうかをイメージしたく、お伺いしております。」というように、「お客様先に行くこと」を気にする理由を伝えれば、聞きたい事は同じでも、お客様先に行くことが嫌なのではなく、生活スタイルが変わるかどうかを確認したいだけ、という意図が伝わります。
また、ちょっとの事でも、企業に対するイメージからこう考えている、と伝えるだけで、業界研究、企業研究アピールもできますね。

自分の質問から相手が何を思うか、想像力を働かせよう

質問一つでも、自分が意図しない印象を持たれる事があります。
そして、相手に意図しない印象を持たれないためには、表面上の会話を成立させるだけでなく、相手に自分の考えを伝え、共通認識を作ることが重要です。

それが出来れば変な勘違いはされないですし、むしろ企業側的には、転職者がどんな考えを持つ人かが分かり、ストレスのない会話が出来ると思って頂けます。
どういう質問をすれば、ネガティブな印象を持たれないか、欲しい回答が返ってくるかを事前に想像して、逆質問の準備をしましょう。

筆者 明神 江里子
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