COLUMN
コラム:転職の技術
第748章
2016/05/20

選ぶのは君だ

— 情報が溢れる中での転職活動 —

ケース1: 応募理由は「紹介されたから」

先日、ある大手SIerを訪問したときの話です。人事の方から、「最近1次面接の合格率が下がっている」というお話を聞きました。理由を伺うと、先方も困った顔をされて「実は基礎的な話で、転職の動機形成が出来ていない人が増えている」とのこと。転職理由が釈然としなかったり、志望動機がマッチしていないケースなど、面接に来る準備がしっかりと出来ていない方が増えているようです。ひどいケースだと「転職エージェントに紹介されたので、御社を受験させてもらっています」と回答される方もいるとのこと。私も驚きました。

個人的に思うところとして、受験企業が多くなっても構いませんが、その分の準備が出来ていないのは当然NGです。ホームページも見ていない等、事前の情報収集という意味でも甘いと言わざるをえません。
ただそれ以上に、企業を「主体的に選べていない」という点はもっと問題だと思います。
もちろんエージェントから勧められているのなら、志向にあった良い企業なのでしょう。ただ、それを最後に選択するのは自分自身です。
選ぶ理由は何でも構いませんが、ご自身で選ばなければ“想い”が生まれません。想いが無ければ、入社後も長く働けないでしょう。
どんな夢を持ち、どんな企業を選ぶのか。人生もそうですが、全ての選択肢は自分が下さなければなりません。

ケース2: 応募理由は「自分にとって必要な企業だから」

また別のお話。先日ある候補者が大手コンサルティングファームから内定を獲得され、条件面談を実施した際の話です。面談後に企業から、「この候補者の方は、キャリアについて考え方がしっかりしていますね」というフィードバックをいただきました。その候補者は、内定を取得した企業がどんな特性を持っているのかをよく調べ、その上で条件面談でも先方とディスカッションをしています。「ご自分のキャリアおよび応募企業について、研究がしっかり出来ていて素晴らしい」とのお褒めの言葉をいただきました。

この方の転職活動の特徴は、転職活動前に「何のために転職をするのか」を、時間を掛けてじっくりと考えられたという点にあります。実は転職をする前に、私とも数回面談を実施しています。
ただ無闇に時間を掛けたのではありません。まず徹底的に「どんなキャリアを築きたいか」を議論し、その為に今必要な経験を洗い出し、最後にそれが実現出来る環境(つまり企業)を、現職も含めて検討してもらいました。その結果、私からご紹介した15社の中から受験企業を3社選ばれ、その中から無事に内定・入社決定に至っています。おそらくこの方は、入社後に壁にぶつかったとしても、前向きにそれをよじ登ろうと努力していくのではないかと思っています。

未来を選ぶのは自分自身

この対照的な2つのケースから浮かび上がるのは、転職に関する情報が増えた現代社会の中で、その情報に振り回された転職活動では必ずしも上手くはいかない。もっと言えば勿体無いという事です。転職は、言ってみれば夢を掴むチャンス。それを人任せにして考えを放棄するのは、どう考えても勿体無い話です。

もちろん、この考えを整理するアクションは1人では煮詰まってなかなか進めるのが難しい事もあります。そんな時こそ、我々エージェントを活用していただきたいと思っています。一緒にどんな企業が良いのか、考えを纏めていきましょう。自分にとってどんな企業が良いのか、それを自分の目線で、自分の物差しで考え、未来を選んでください。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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