COLUMN
コラム:転職の技術
第862章
2018/09/28

転職活動を振り返る

— 私の転職活動 —

転職を考えるきっかけは様々だと思います。もし、転職理由や将来のキャリアビジョンが面接で上手く話せないと悩まれていたら、自分の過去を振り返って整理してみるのも良いかもしれません。今回はそのヒントになるかと思い、私が転職を考えたきっかけを振り返ってみました。

私が将来のキャリアを考えたきっかけ

私は新卒で中堅SIerに入社し、受託や常駐などのプロジェクトを経験、顧客も10社以上担当させていただきました。最初はJavaやC、VB等のプログラムも書いていましたが、入社3年目くらいからシステム企画やベンダーコントロール等の上流フェーズが中心となり、実装などの開発フェーズからは離れていきます。

マネジメントかスペシャリストか、エンジニアの方はどちらを志向するかで、将来のキャリアが変化していきます。私の場合は、上流フェーズやベンダーコントロールの経験がキャリアの過半数だった事もあり、技術力でIT業界に貢献するのは難しいと考え、それならば、自分はどんな貢献ができるかと思い始めたのが30歳を過ぎた頃。これが将来のキャリアを考え始めたきっかけです。

キャリアをどう整理したか

そのため、私の場合は、技術力以外でIT業界にどう貢献していくのかを考えていく事になります。

システム企画やベンダーコントロール等を長年経験してきましたので、社内SEという選択肢もありましたし、各部門との要件調整や社内へのシステム導入・運用も経験していたため、システム導入エンジニアやテクニカルサポートエンジニア等も選択肢として考えました。

また、自社の若手メンバーの離職について何か手を打てないかと考える事もあったため、人事としてエンジニアが働きやすい様にサポートするという選択肢も考えます。

どれを選択しても、開発に関わるキャリアではないため、技術力を強みにしたエンジニアのキャリアに戻ることはできなくなります。年齢も30歳を超えていましたし、今より専門性のあるキャリアにスコープを絞っていかなければと考えていました。何かを選択する場合、得る物と失う物が出てきます。リスクを冷静に分析し、自分で答えを選択しなければなりません。

最終的に、私は「この人の志向なら、このポジションでモチベーション高く活躍できる」「この人の魅力はここで生きる」などのマッチングを過去に経験し、それを楽しめた事もあり、人事としてエンジニアをサポートするキャリアを選択する事にしました。

転職活動の開始

私が次にとった行動は、いきなり他社へ転職という事ではなく、まずは自社で自ら整理したキャリアを実現する方法でした。自社に対し、社員(エンジニア)が働きやすい環境構築のサポートをしていきたいため、人事への異動を相談します。

しかし、残念ながらコストセンターであるバックオフィスへの異動は、5~10年は待って欲しいと言われてしまいます。確かにそれも当然で、会社規模も中堅で、ベテラン社員1名で人事業務を行っていた会社からすると、30歳を過ぎたばかりで売上を上げていた私の人事への異動は、会社として快諾するのは悩ましいと思います。

流石に5~10年後だと、私は40歳近くなってしまうため、キャリアチャンジが遅くなってしまいます。IT業界でエンジニアを経験しているとはいえ、エンジニアからのキャリアチェンジというのは、言うほど簡単な事ではないと感じていました。キャリアチェンジ後の立ち上がりの期間も考えると、5~10年待つ余裕は無いと私は考えたのです。

そこで、早く経験を積むのは自社で困難という事から、他社も選択肢に加えなければならないという事になります。ここで、私の転職活動が開始されました。

理想ほど甘くないのが中途採用

今は売り手市場と言われていますが、中途採用は原則的に即戦力採用です。企業は、中途者には、入社時からある程度の年収を払うため、数年かけて育てる目的の新卒者とは求められる要求が高くなります。

各企業の人事ポジションは、採用関連の経験が必須条件になっている企業が多く、簡単ではありません。その状況から、再度自分のキャリアの実現をどうすべきか考える事になった時に出会ったのが、今のIT業界専門の人材紹介になります。

始めは人事というポジションに絞って考えてきましたが、自社のエンジニアの環境をサポートするのが人事ならば、特定の企業に偏らず、個々のエンジニアの方が一番活躍できるキャリアをサポートするのが人材紹介です。

形は異なれ、エンジニアが働きやすい様にサポートをしたいという私のキャリアは実現できるため、私は現職を選択し、今に至ります。

転職活動が理想通りに進むのは、正直それほど多くはありません。これまで何人もの転職活動を支援させていただいた経験からもそう言えます。得る物、失う物、妥協しなければならない物など、複数の要素をしっかり整理し、取捨選択をして進めていく事も時には必要になります。もし今悩まれている事がありましたら、是非一度ご相談ください。

筆者 南條 充
#関連記事

関連記事

注目のキーワード: