COLUMN
コラム:転職の技術
第1014章
2021/02/19

人生の踊り場

階段の折り返しの部分を「踊り場」というのは皆様もご存知だと思います。

踊り場と呼ばれた意味を調べてみると、明治時代ごろから高さのある洋風建築が作られ、階段分のこのスペースを、女性がドレスやスカートで方向転換して揺れる姿が踊っている様に見えることから踊り場と呼ばれる様になったという説がありました。

明治時代以前は着物が主流だったと思いますし、現代では当たり前に見えても、当時はドレスやスカートが揺れる姿というのは斬新で印象的だったのかもしれませんね。

また、この踊り場を作る意味もある様で、踊り場は、階段を上り下りする際の足休めや、最下までの転落を防ぐ役割もあり、建築基準法で幅や踏面の寸法などが定められている様です。

疲れを感じた時は長期的な視点

なぜ踊り場の話を始めたかと言いますと、私がモットーとしている言葉の1つに「速やかに成長するものは早く枯れ 徐々に生長するものは永続する」という言葉があります。

この言葉は、ホーランドというアメリカのジャーナリスト・小説家の言葉ですが、この言葉と踊り場を結び付けている記事をたまたま読み、そこには、成長においても踊り場が必要と書かれていました。

確かに、瞬発力があり、短期間に成果を出す人は優秀ですし華がありますよね。仕事においてもそうですし、勉強やスポーツにおいても目立ちます。そして多くの人が羨みますよね。

では、短期間で成果が出ないことが悪いのかというと、私はそうではないと考えており、それが、先程の言葉をモットーにしている理由です。

なだらかではあるが長期的に成長し、瞬発力はなくても安定して成果を出すことは、派手さは無くても永続性というメリットがあると私は考えます。もちろん、爆発的な成果を永続的にできるのが一番ですが、万人ができることではないですよね。

ホーランドの言葉には「枯れ」という言葉が入っているので、植物を連想しますが、確かにきれいな「花」などは比較的成長が早く、多くの人から好かれて華やかですが、枯れる時間も早いですよね。一方で「木」は成長するまでとても時間がかかりますが、花と比べると枯れるまでの時間は相当長いです。

どちらにも良さがあり、どちらか正しいということはありません。ただ、近年は私達が関わる様々な部分がデジタル化されてきたこともあり、スピードが重要視されている時代ですので、瞬発力のある方が評価されている傾向はあります。

もちろん、人生においても、仕事においても、何かしらスタートを切る際はある程度の負荷をかけて瞬発力を高める必要はあります。ですが、その負荷を永続しなければならないと考えると、悩んでしまう人も多いのではないでしょうか。疲れてしまう人も多いと思います。

私が疲れを感じた時は、先程の言葉を浮かべて長期的に自分を成長させ、仕事においても私生活においても、長期的に成果を出していこうと考えたりしています。IT業界やコンサルティングファームで仕事しているとスピードに追われることも多く、もし今疲れを感じられているのであれば、ホーランドの考え方も参考にされてみてはいかがでしょうか。

今は少し踊り場の時期

新型コロナの影響がもう1年以上続いており、よくGDPがマイナスなどの話も耳にします。そう考えると、今は世の中全体が踊り場の様な時期になっているとも考えます。多くの業界で成長スピードが鈍化していると思いますので、この機会に、瞬発力やスピードというこれまで重要視されてきた価値観だけにとらわれずに、自分の価値や成果が永続的に発揮できる生き方やキャリアは何かということを考えられても良いと思います。

筆者 南條 充
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