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第1005章
2020/12/11

データで振り返る2020年のIT転職

2020年もいよいよ12月に入り、リレー形式で毎週掲載しているこのコラムも、私が2020年に書く最後のコラムとなりました。今年は新型コロナの影響でビジネス環境や生活環境が大きく変化しましたが、IT業界で転職を考えている方に何かしらの参考になればと考え、私が今年携わった転職支援にまつわるデータをお伝えしたいと思います。

私の4月以降の転職相談の面談は100%がWeb面談

昨年までは、遠方にお住まいの方の転職相談の際には、Web面談や電話面談などを実施しておりましたが、基本的には対面での面談が基本で、これまでは100%が対面面談といってもよい比率でした。弊社のスタイルですと、数多くの方と面談をするというスタイルではなく、1人1人の面談にじっくり時間をかけるスタイルですので、対面でディスカッションをする方が、相互理解が深まるという理由です。

ところが、新型コロナの影響で緊急事態宣言が出てからは100%がWeb面談に変化、最初は慣れない部分もありましたが、対面の際にホワイトボード等を活用して伝えていたことをパワーポイントにしてWeb画面で共有するなど工夫を重ねていくと、対面面談の時と同等に近い質に向上することができております。これはコロナ禍で私自身の価値観も変わった出来事でした。

もちろんWeb面談は、実際に会う対面面談に劣る部分はあるのですが、ポジティブな点もあり、一番は転職相談者の方が面談を申込みやすくなったことではと考えます。これまでは、弊社にご足労いただき面談にお越しいただいておりましたので、移動時間が発生していましたが、Web面談であれば自宅のPCで実施できますので、相談者の方の移動時間が削減されました。これは面談に行くという心理的なハードルも低くなったのではとも考えます。

また、ご足労いただく対面面談ですと複数回面談するということが難しい部分もあったのですが、Web面談ですとそのハードルも下がり、私の場合は転職活動を開始するまでに複数回のWeb面談を実施させていただくケースも増えております。

これからはWeb面談がスタンダードになっていく可能性もありますので、これまで転職エージェントに相談はしたいと考えていたけど、訪問する時間の確保が難しいなどと感じていた方は、この機会にご相談をいただければと思います。

私がご支援した方の4月以降の面接は約87%がWeb面接

4月以降に私が転職活動のご支援をさせていただいた方で、企業の面接が対面面接かWeb面接かの割合を調べてみたところ、面接全体の約87%がWeb面接で実施されていました。これは昨年までだと考えられない変化です。

最初から最後までWeb面接の企業もありますが、一方で全く会わないのもミスマッチに繋がる可能性があるということで、最終面接や内定後のオファー面談は対面でという企業もあり、各企業が4月からWeb面接を実施してきて、最近は各社が自社の風土に合う選考スタイルを確立してきている様に思えます。

昨年までの転職活動の面接は、現職の業務後に急いで会社を出て面接を受ける企業を訪問し、対面で面接を受けるというのがスタンダードでしたので、これは大きな変化ですね。

在宅勤務をされている方であれば、在宅勤務の終了後にWeb面接が受けられるため、仕事も転職活動も自宅でできる環境となり、この点も心理的ハードルは下がったのではと考えます。また、Web面接の浸透により、遠方の企業の選考が受けやすくなったという点もポジティブな点だと考えます。

転職活動が新しい形式に変化し、企業の面接が昨年よりも受けやすくなったという点は、転職者にとって良い変化になったのではないでしょうか。

私が今年ご支援をさせていただき、転職をされた方の平均年齢は29歳

今年1年間で、私が転職活動をご支援させていただいた方で、内定を獲得し、実際に転職をされた方々の平均年齢は29歳でした。これは昨年と変わりません。中途採用は即戦力採用が基本ですので、企業が求める人材は30歳前後が一番のボリュームゾーンであり、新型コロナの影響があった今年でも、そのニーズに変化は全くなかったということになります。

新型コロナの影響があったのは27歳以下の若手層の転職で、第二新卒などポテンシャル採用として入社後の成長を期待して若手を採用する企業は減少しました。IT業界の場合、新型コロナの影響を直接受けている企業は少ないと思いますが、人材は欲しいが新型コロナの影響がどのくらい先まで続くか分からない不透明な状況でもあるため、数年後に向けたポテンシャル人材ではなく、入社後の立ち上がりが早い即戦力人材の採用に、より注力をしようと企業が考えたのではと思います。

とはいえ、全く若手にチャンスが無かったのかというと、そうではありません。私が今年ご支援させていただき内定を獲得された方の平均年齢は29歳でしたが、その中には23歳や26歳の方もおります。ではなぜその若手の方々は新型コロナの影響下でも企業の内定を獲得し、転職を成功できたのかというと、共通していたのは力強い自己研鑽でした。

この方々は業務経験という点では即戦力ではありませんので、その点では企業からすると決してポジティブな印象ではなく、ご推薦した私に対しても、企業の人事の方からご経験の浅い方の採用は今難しいかもしれませんと言われました。しかし、この方々は業務以外に毎日数時間の勉強を自己解題として掲げ、自己投資をして学習セミナーを受講、受験料も決して安くはないベンダー資格に個人で応募して合格された後に転職活動をしている様な、力強い自己研鑽をしている方々でした。

この様な方であれば、たとえ新型コロナの影響で若手の採用が消極的であったとしても、企業が採用してくれるチャンスがあるということです。逆に考えると、このくらいの自己研鑽をしないと今の27歳以下の若手の転職は狭き門ということですので、これから転職を考えている若手の方は自己研鑽を意識されてみると良いと思います。上記の様な方々を私はご支援させていただいておりますので、私に自己研鑽についてご相談いただいても構いません。

30代の方のIT業界での転職はコロナ禍で追い風も

コロナ禍の前は、IT企業は入社後の成長を見越した若手採用にも積極的でしたので、20代のニーズが多い傾向もありました。しかし、コロナ禍の今は、先程記載させていただいた様に入社後の立ち上がりが早い即戦力人材の採用に比重を企業が置いています。

つまり、IT業界で数年経験を積んできている30代の方々の視点ですと、昨年まで中途採用の際にライバルとなっていた20代の若手が減っているため、実は追い風になっています。

私も30代で初の転職を経験しておりますが、新卒から同じ企業に長く在籍していると居心地が良く、評価されていると私は感じてしまっていました。ですが、転職活動で外に目を向けてみると、会社での評価と市場価値とに大きなギャップがあることに気が付き、狭い価値観の中に居たのだと私は考えさせられました。

今年は新型コロナで特に大きな変化があった年ですが、時代と共に価値基準は変化します。今の様な混沌とした時代の場合、1社経験ということが逆に新しい環境への適応力という観点で将来不利に評価される可能性もゼロではありません。

今はコロナ禍だから転職を控えるのではなく、考え方によっては、記載させていただいた様な企業側の採用背景から30代の方にとっては追い風と考えることもできます。年末年始であらためて将来について考えられてみてはいかがでしょうか。もちろん、私にご相談いただければご支援させていただきます。2020年もありがとうございました。来年もどうぞよろしくお願いします。

筆者 南條 充
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