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第1281章
2026/09/18

キャリアビジョンはどう語るのが良いか

転職活動における回答について

転職活動において、キャリアビジョンに関する質問は定番中の定番です。「将来はITコンサルタントになりたい」「AIを活用した最新の自社サービス開発に携わりたい」など、将来に向けた意欲を皆さん語られます。
実際には色々な聞かれ方があるのですが、3年後や5年後など「短期的なキャリアビジョン」を聞かれるケースと、10年後や20年後など「将来的な目標」を聞かれるケースに大別されます。
後者は経験を積み重ねた先にある夢やキャリアのゴール的なものであり、こちらはキャリアの「軸」さえぶれていなければ、多少抽象度が高い回答でも問題ありません。変化の激しいIT業界において、10年後の具体的な技術やポジションを細かく決め打ちすることは不可能です。自分の大事にしている価値観やスタンス、届けたい価値などがブレなければ、その枠組み内で柔軟に語ってもらえればOKです。
ただ、気を付けなければならないのは「短期的なビジョン」です。 ここは抽象的な考えをアウトプットする場ではありません。転職理由からロジカルにストーリーが繋がっているか。それに向けて具体的な動きがどれくらい出来ているか。という、非常に現実的な側面を確認される質問になっています。

そのビジョンをイメージ出来ているか

面接官がキャリアビジョンを確認する理由は、単にその人の夢や志向を確認したいからだけではありません。見られているのは「転職理由に対する思いの深さ」と、「将来に向けた実現力」です。
将来のキャリアビジョンは、転職理由と地続きである必要があります。転職したい理由があれば、その先には実現したい未来があります。その実現する場として企業を選ぶわけですから、「転職理由」「志望動機(企業を選ぶ理由)」そして「転職後のキャリアビジョン」はすべてロジカルに繋がっている必要があります。働く上での「軸」が明確であればあるほど、企業に対して「転職後も定着して活躍してくれる」というイメージを伝えることができます。「なぜそのキャリアを描くのか」という軸がないまま、単にやりたいことだけを語ってしまうと、すぐに現実感のない回答に聞こえがちです。
加えてもう一点。その将来に向けた「実現力」として、具体的なイメージやアクションが出来ているかという点も見られています。
グローバルで活躍したいのなら英語の学習が必要ですし、スキルチェンジなら資格取得や自己学習などの姿勢が重要です。理想のゴールから逆算して、今の自分に何が足りず、次にどんな経験を積むべきかを論理的に組み立て、当事者意識を持って行動できる人材かが問われています。
たとえば、ネットワークエンジニアから将来セキュリティエンジニアへと領域を広げるなら、「どんなセキュリティに興味があるのか」「どんな役割を担当しようとしているのか」について、多少なりとも具体イメージが必要です。その上で「現在足りていないセキュリティ知識は何か」「それを補うためにどういった資格の学習をしているか(あるいはしていく予定か)」「業務ではどんな製品に関わりたいのか」という思いを整理しておく必要があります。

「なんとなく」の未来は見破られる

一番危険なのは、「なんとなく聞いた話を、なんとなく良いと思い、キャリアビジョンとして語ってしまうこと」です。
以前サポートさせていただいた方で、将来のキャリアビジョンを「現場に対するデジタル化・高度化」というキーワードで語った方がいました。しかし、面接官からの深掘りに対して厳しく突っ込まれてしまったのです。
実際、その方の過去の経験から見れば、数年後に十分たどり着けるビジョンだったと個人的には思います。ただ、転職活動の中でなんとなく知ったトレンドキーワードだったため、ご自身の中で具体的なイメージが出来上がっていませんでした。「どのような業務内容で」「そのためにどんな技術や知識が必要となり」「それに向けてどんなキャッチアップが必要になるのか」というプランがないまま口に出してしまったため、話が盛り上がらないどころか、このフワッとした回答によって転職の目的自体にもネガティブな印象を与えることになってしまいました。
昨今はAIやIoT等の先進技術の登場により、「スマート〇〇」などの魅力的なキーワードが溢れています。エンジニアのキャリアの選択肢が多様化しているからこそ、どこかで聞いたようなトレンドワードを並べただけのビジョンは、借り物の言葉として一瞬で見抜かれてしまいます。
説得力のあるキャリアビジョンとは、決して「完成された完璧な未来予想図」である必要はありません。重要なのは「過去の経験」と「現在の転職理由」、そして「目指す未来」が一筋の論理で繋がっていることです。自分が歩みたいキャリアを、解像度高く語る必要があります。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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