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第1268章
2026/06/12

転職活動におけるAIの注意すべき使い方

転職活動でもAI活用は進んできており、企業側も選考過程でAIを活用する流れにもなってきています。そんなAI時代の転職活動では何がポイントになるのかと、注意すべき使い方を考えていきたいと思います。

言語化や文章のまとめにはAI活用は効果的

転職活動で作成する書類は基本的には履歴書と職務経歴書になります。実は履歴書と職務経歴書の作成ではあまりAI活用のメリットは多くありません。履歴書に記載するあなた個人の情報・経歴・資格などは、基本的にAIは回答できませんし(回答してきたらあなたの個人情報が公開されている?!)、そもそも実歴を記載するだけなので書く負荷は少ないでしょう。

メリットがあるとすれば、転職理由や自己PRなど文章で記載する欄の思考の整理・言語化・要約で、この領域ではAI活用は効果的だと考えます。ただ、当然ですがプロンプトには自分の経歴や思考を正確に入力しなければなりませんし、文章の記載量は少なくてもダメですし多過ぎてもダメなので、どのくらいの文字数が良いのかは自分で考えなければなりません。

新卒のエントリーシートであれば自己PRは何文字以内など指定されている場合がありますが、転職活動の履歴書と職務経歴書には文字数の指定はありませんし、そもそも転職理由や自己PRに記載する内容も基本的には自由です。エージェント目線だとこの自由という曖昧な点がいつも難しいところで、ご相談者の個人個人に合わせて熟考する点になります。

転職理由や自己PRは、教科書の様に綺麗に書けば正解かというとそんな単純ではありません。例えば、転職理由1つを取っても、やはりポジティブな記載が良いのか、本音のネガティブな記載が良いのかは、あなたの持つスキルや経験、あなたが過去に何回転職しているのか、現職の在職期間はどのくらいなのかなど様々な要素を考え、更に応募する企業の転職に対する価値観も考慮(想像)して記載内容を最終判断しなければなりません。

この最終判断もAIに相談すれば良いと考える方もいると思いますが、はたしてこの曖昧で個人個人や個別企業を深く理解する必要のある判断がAIにできるか(データがあるか)、AIから適切な回答を引き出すプロンプトが自分にできるかは冷静に考える必要があります。

AIの注意すべき使い方

そこで考慮する必要があるのが転職活動におけるAIの注意すべき使い方です。先日、ネットの記事でシニアの方が転職活動をされたエピソードを目にし、そこにはAIに相談したら転職を勧められたので転職活動をしたが、結果的に苦戦し、なんとか内定は獲得したが年収は200万円下がったという後悔のエピソードが記載されていました。

おそらくこのケースの場合はプロンプトが良くなかったのではないかという点と、AIの回答だけで行動をしてしまった点の、大きく2つが後悔に繋がったのではと推測されます。

先程も記載した通り、正確な回答をAIに求めるならば、プロンプトも正確かつ精密でなければなりません。記事の方の場合は、自分の年齢、経験、市場価値などを入力せずに、「転職したい、未経験でも挑戦できるか」という様にシンプルにプロンプトしている様なので、そうなるとAIは「挑戦はできる」と回答しますよね。

あなたが何歳で、どんなスキルを持っていて、どんな業務経験をしていて、どこに住んでいて、どこの地域の企業への転職を考えていて…、など正確で精密なプロンプトをしなければAIも正確な回答はできませんし、それはAIに限らず、転職エージェントの様な人間に相談する場合でも同じですよね。我々の様な転職エージェントは経験から転職に必要な情報を確認するので相談者は受け身でも大丈夫ですが、AIは別に転職相談に特化しているわけではありませんので、転職活動とって重要な要素を必ず確認してくれるとは限りません。そうなるとやはり相談結果はプロンプトに左右されます。

確かにAIは使わなければならない時代に突入していますが、あくまでツールの1つであること、営利企業が開発しているサービスの1つであること(つまり開発側でAIの仕様をコントロールしようと思えばできる)、プロンプトしだいで回答が変わること、AIの回答の裏付けは別でとらなければならないことなど、ユーザー側が常に使い方を考え学び続ける必要があります。

AIは人知を超えた能力を持っているため回答が正しいと思いがちですが、あなた個人の人生の選択肢を常に完璧に判断できるとは限りません。「晴れ時々曇りところによっては一時雨かもしれません」みたいに、よくよく考えるとそりゃ何かに当てはまるでしょう的な一般的な回答もあります。

AIに相談し、人に相談し、それを更にAIに相談し、更に別の人にも相談をしていく…。そうやって多角的に情報を集めて熟考することが人生の大きな選択では必要になるのですが、そうやって石橋を叩いても叩いても答えに辿り着くとは限りませんし、不安が解消されるとも限りません。未来の正しい選択はAIにも人間にも簡単には分からない、人生とはそんなものです。

筆者 南條 充
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