残業時間は減らせないのか | 心理学から学ぶ ビジネスパーソンの新・仕事術 | IT転職 エージェント リーベル


心理学から学ぶ ビジネスパーソンの新・仕事術

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著者プロフィール

坂爪 洋美

坂爪 洋美 法政大学キャリアデザイン学部 教授
民間の大手人材紹介業にて営業ならびに職業紹介を担当後、慶應義塾大学大学院経営管理研究科博士課程修了。博士(経営学)。和光大学現代人間学部心理教育学科 教授を経て、2016年より現職。専門は産業・組織心理学ならびに人材マネジメント。主要な著書は、『キャリア・オリエンテーション』(白桃書房、2008年)等。
第25回

残業時間は減らせないのか

— 長時間労働の抑制は、私達1人1人の取組みでも実現可能 —

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働き方改革とは何か

「働き方改革」という言葉を、あちこちでよく耳にするようになりました。「働き方改革」とは文字通り、今の働き方を見直し、抜本的に変えていこうとするものです。具体的には、長時間労働を抑制し、年次有給休暇の取得を促進していこうとするものです。何故、これらの取り組みが必要なのでしょうか。

長時間労働が問題視される理由

長時間労働が問題視される理由は主に2つです。1つ目は、長時間労働がもたらす問題です。長時間労働は心身の疲労につながり、仕事に対する意欲の低下や能力を発揮することを難しくし、ひどくなると心身の健康を阻害するという問題をもたらします。
もう1つは、長時間労働を生む仕組みがなかなか変わらないことです。長時間労働は今初めて問題視されたわけではなく、ずっと以前から問題視されてきました。それにもかかわらず、解消されないのです。今回はこのことについて考えてみましょう。

長時間労働を生み出す仕事の仕組み

「皆さん、働き過ぎていませんか?働き過ぎていることで、問題が発生していませんか?」という質問を投げかけた時の、働き過ぎている多くの方々の答えは、「長時間労働が問題であることはわかっています。私だって長時間働きたくて、働いているわけじゃないです。仕事があるから仕方ないじゃないですか。」というものでしょう。

働く個人の側からすると、今日やらないといけない仕事があるから働いた結果が長時間労働なのです。確かに長時間労働の発生原因の中核は仕事のさせ方にあります。例えば、担当する業務量に比べて担当する人員が少なければ、長時間労働が発生しやすくなります。同様に、夕方発生する仕事を翌朝までに完了させなければならないような業務スタイルは、そもそも残業を前提としており、結果として長時間労働につながります。

長時間労働がもたらすメリットや経験

このように、長時間労働発生の主たる原因は仕事のさせ方にありますが、長時間労働が発生する理由はそれだけではありません。長時間労働の発生理由に関する調査で、いつも上位に入ってくる項目に「残業代が生活給になっているから」があります。残業をすることによって、残業代を追加の収入として得ることができる、つまり、残業することには、働く個人にとってもメリットがあるのです。

もう1つ考えてみましょう。みなさんのこれまでの仕事上の成功体験、もしくは仕事に没頭した時期を思い出してください。そこには「時間も忘れて仕事をした瞬間」や「遅くまで働く中で得た自信や信頼」があり、「その経験が今の自分に繋がっている」という感覚があるのではないでしょうか。多くの方々の仕事上の楽しい時間や成功体験には、長時間労働が伴っているのです。

長時間労働が持つ二面性が難しくする長時間労働削減

今見てきたように、長時間労働は私達に好ましくない事態をもたらすと同時に、メリットももたらすという二面性を持っているのです。この二面性は、「長時間労働はイヤだけど、自分にとって全く意味がなかったとは言い難いので、必要ならば仕方ない」という私達の考えを強固なものとします。そしてそれは、結果として長時間労働が減らないことにつながります。

長時間労働を削減することは、会社だけでなく働く我々にも、「今まで成果を上げてきた仕事の仕方を放棄して、新しく限られた時間の中で成果を上げる仕事の仕方を身につけよ」と求めるものです。仕事の仕方には、人付き合いも含まれます。自分だけでなく、周囲にも変更を求めます。当然、変えることには痛みが伴うでしょう。痛みが伴えば、「そこまでするなら、今のままでいいか」と人は考えがちです。

今を変えることへの抵抗感に打ち勝つ

何度も書きましたが、長時間労働の抑制は企業や職場が主導していかないと解決しない問題です。でも、個人でもできることがあるのではないでしょうか。「今の働き方は変えられない」という思い込みがないかをチェックし、具体的に変更していくことは、単に労働時間を短くするだけでなく、仕事自体をより良いものとするきっかけにもなります。

まとめ

  • 長時間労働を抑制し、年次有給休暇の取得を促進していこうとする「働き方改革」が勧められています。これを機会にご自身の働き方を見直し、変えていきましょう。
  • 長時間労働には、私達の疲労度合を高め、結果として仕事に対する意欲や効率を低下させるネガティブな側面を持つと同時に、長時間労働を通じて仕事上の成果や自信を獲得させてきたというポジティブな側面を持つという二面性があります。
  • 長時間労働の抑制は、私達1人1人の取組みでも実現可能です。ご自身のこれまでの成功経験を一度棚卸し、今の仕事の仕方を見直すなど、身の回りからできることを初めてみましょう。

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