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第845章
2018/05/25

退職交渉のトラブルバスター

— 揉めた場合のケーススタディ —

転職活動における最後の関門

退職交渉は、転職活動における最後の関門です。礼節を守り、手順通りに退職交渉をすれば揉める事はほぼありませんが、この仕事を6年近くやっていると、どうにも一筋縄ではいかないケースにも何度か遭遇してきました。大いに揉めた事例もあるのですが、大事なことは強い意志を持ち、自分は労働者として認められた「退職という権利」を行使しているのだと理解し、粘り強く交渉を行っていくことです。今回は、トラブルに発展した退職交渉のケースを挙げて、解決までの道しるべをお伝えしたいと思います。

ケース1:年収アップによる引き留め

引き留めにおける常套手段として、いきなりの年収アップを引き合いに出してくる企業があります。これは決して珍しいケースではなく、割と多くの企業で数10万から100万ほどの年収アップを提示してくるのです。(一番高いケースで、退職交渉の段階でいきなり300万アップを提示されたということもありました)

ただ、いずれにしても年収を「一時的に上げる」というのは、企業にとっては非常にイレギュラー対応であることを忘れてはなりません。一時的にドンと年収が上がったにせよ、一度いびつな対応をしているので、そこから先で真っ当な評価が機能するとは考えづらいのです。その先の昇給の幅は、逆に狭まってしまうというリスクが出てきます。

また、一度退職の話を切り出してしまっている以上、会社に残ったとしても上司からの信頼を得るためには人一倍の苦労が伴います。諸々の事情を踏まえると、安易に吊り上がった目の前の年収に飛びつくのは絶対にお勧めできません。退職交渉を貫き通すしかないのです。

ケース2:退職時期に関する延伸交渉

退職自体は認められても、退職の時期で揉めるケースもよくあります。特に、派遣で客先に常駐している方の場合には、顧客との契約期間を理由に数ヶ月先の退職を求められることが間々あるのです。

ただ結論から申し上げてしまうと、この契約期間に関する話は退職時期の延伸理由にはなりえません。なぜなら、その派遣契約自体は「派遣先と現職との契約」になり、その人自身を縛るものではないからです。契約期間中であっても、その人自身が離職すること自体は問題の本質となりえず、むしろ離職によって空いてしまうポジションに別の方をアサインする事が、企業として求められるリカバリーアクションなのです。
とは言え、退職によって現場に迷惑がかかってしまうことも事実です。自身の離脱によるインパクトを最小限に抑えるべく、引継ぎの資料はできるだけ事前に整えておくことをお勧めします。短期間で引継ぎを終わらせることができるようにしておきましょう。

また、契約期間を理由とせずとも、「後任の担当者がいないので、退職は認められない」という何とも強引な理論で話をしてくる企業もあります。後任を見つけるまで、半年や1年は現職に留まれと逆に説得してくるケースです。
その際には、まずはその企業の就業規定を確認しましょう。大抵の企業は、就業規則に「退職日の〇日前までに退職の意思を通達する事」と記載されており、この規則に則っていれば退職の交渉自体に「意思を伝えた」という行為そのものに意味あいが出てきます。その上で、「退職届」をメールや文書など、形として残しておくことをお勧めします。既成事実として外堀から埋めていき、交渉の証跡を残して粛々と退職に向けて進めていく事が大事になってきます。

ケース3:まったく取り合ってもらえない

さらに強引なやり方として、「退職を一切取り合ってもらえない」というケースもごく稀に発生します。ここまでくると、もう「職業選択の自由」や「労働者に与えられた退職という権利」を完全に無視して、どんな理論も存在せず、ただ強引に退職を認めないと企業側が意固地になっているのです。
とは言え、このような場合でもやるべき事は変わりません。まずは就業規則で退職に関する規定を確認し、退職届をデータとしてログが残るように取っておき、粛々と交渉を進めるのです。

その上で、企業側のこのような不誠実な対応は、日本では許されるものではありません。労働基準監督署に相談すれば、間違いなく企業側の労働問題として摘発されてしまうのです。
何も全てのケースで、労働基準監督署に駆け込む必要はありません。ただ、企業側がどうしても態度を変えず、退職に向けて前向きに取り組む姿勢がないと判断した場合は、一度労働基準監督へ相談に行ってみてください。あなたの退職交渉自体はまったく問題のないことだと後押ししてくれるはずです。このような企業との交渉は骨が折れますが、一歩ずつ交渉を進めていきましょう。

エージェントとよく相談を

どうしても退職交渉が揉めてくると、精神的にも辛くなってくるものです。企業側から強く言われてしまうと、自分のやっていることが正しいのか、何か間違っていたのではないかと不安に駆られてくるものです。その際には、是非エージェントに相談してみてください。
エージェントは、転職活動のプロです。通り一遍の対応ではなく、状況状況に応じたアドバイスをさせていただきます。是非お気軽にご相談ください。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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