COLUMN
コラム:転職の技術
第793章
2017/04/21

企業に依存するべからず

— 自身のキャリアを磨くべし —

まさか、あの東芝が・・・

東芝の報道には驚くばかりです。私が新卒で就職活動をしていた当時、東芝と言えば憧れの存在でした。大学からも、本当にトップの成績を取るようなエリートが入社する企業で、私なんぞは箸にも棒にも掛からぬような企業だったのを覚えています。

私の知り合いにも東芝の方がいるのですが、今回の件に関しては「本当に悔しい」と仰っていました。現場で働いている社員の多くは、今回の不祥事とは全くもって無関係ですから当然でしょう。自分達は良い仕事をしている、誇れるような仕事をしている、にも関わらず、その土台となる企業自体がグラついては、現場の足を引っ張ってしまっては、悔しい気持ちもよくわかります。今回の件で、東芝から退職する人であっても「本当は東芝でもっと働きたいのに・・・」と、多くの人が心の中では思っているはずです。

今回の件は、我々エージェントとしても学ぶべきことがあります。エージェントが、転職者へ企業を紹介する際に使うフレーズに「この企業は安定していますよ」というキーワードがあります。企業の規模、ビジネスの浸透率、親会社の存在など、色々な特徴を捉えたうえで「この会社は、いきなり無くなってしまうことは考えられない」と感じた企業は、そのように説明させてもらっています。

ただ、今回の件であらためて「安定した企業」というのは世の中に存在しないのだと思い知りました。どんな企業であっても、あくまで現時点までは安定してきたという事実だけに過ぎず、将来のことは安易にイメージする事は出来ないと感じています。どんなに知名度があっても、CMを放送していても、プロ野球球団を持っていても、時代の変化に対応出来なければ、やがて潰えてしまうものですから。

安定を取るより、キャリアを磨く

転職する際に、「大手の方が安定しているので」という理由で大企業を志望する方もいますが、必ずしもそうだとは言い切れません。企業こそ何十年/何百年と続いていますが、そこで働く従業員の雇用が安定しているとは限らないからです。

企業が生き残っていく為には、時代時代に合わせた変革が欠かせません。その時々で事業再編を行うのですが、事業が変わればそこで働く組織自体も当然変わります。一人一人の社員が、同じ仕事を未来永劫続けるというのはあり得ないのです。企業の方向性が変われば、自分の意思とは関係なく、仕事内容も当然変わるケースだってあります。当然、業績によってはリストラもあります。「企業の安定性」はあっても、「個人のキャリアの安定性」とは、また違うものだと理解しなければなりません。

一方で、大手であれば資金も潤沢なため、新しい取り組みや変化への対応も取りやすく、その意味でキャリアが形成しやすいというのもまた事実です。先進的な仕事に関われる機会も多く、教育面なども考えれば「キャリアを磨く」という意味では、非常に良い環境だと思います。

先日、2018年新卒の人気就活ランキングが各社媒体で発表されていました。見てみると知名度のある企業が並んでいますが、大事なのは「なぜその企業を選んだか」です。「安定だけ」を求めている人にとっては、もはや大手へ行く必要性はありません。自分のやりたいこと/なりたいキャリアを目指し、その為の環境として企業を選択していただきたいと思います。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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