COLUMN
コラム:転職の技術
第699章
2015/05/15

『就職偏差値』の危うさ

— 企業をレベル感だけで優劣つけるべきではない —

就職偏差値とは何かを考えてみる

大学や高校の難易度を客観的な数値で表す際に偏差値がよく使われます。全国模試を受けた際の偏差値によって受験校を決めることも多く、偏差値が高い大学や高校ほど難関校と言われます。そして受験と同様に、最近では就職偏差値というものがWeb上で賑わいを見せるようになりました。就職偏差値が高い企業ほど入社難易度が高いと言われていますが、「就職偏差値」とは何なのでしょうか。

「入試偏差値」はある程度明確な基準があり、各予備校が今までに実施した模試の膨大なデータをもとに算出していますので、例えばその模試で偏差値が60だった自分の合格可能性はどれぐらいあるのか、と参考にするには十分です。しかしながら、就職偏差値は過去に蓄積されたデータをもとに算出されたものではなく、あくまでも感覚でしかありません。確かに、戦略コンサルティングファームへ入社するのは難しそうだと何となく分かるために、偏差値は70ぐらいかなと想像することはできそうですが、そもそも偏差値とは「数字」です。その数字は、母集団の得点分布によって算出されるものです。

では、母集団=社会人全員を指すとして、「得点」は何でしょうか。ロジカルさ、コミュニケーションスキル、開発経験言語、社会人経験、マネジメントの有無、顧客折衝経験…数え切れないほどのすべての要素が数値化されているのであれば、これぐらいの得点(偏差値)の人がどの企業に受かっていて、どの企業に落ちているか等から就職偏差値は算出できそうですが、どれも数値化することは出来ません。例えば、社会人経験N年でN/10が自分のポイントになる等の明確な基準があれば良いのですが、そんなものは聞いたこともないので、就職偏差値を算出することは不可能です。

企業をレベル感だけで判断するのは危険

入社難易度を数字で判断することができないのは上でも述べましたが、とは言っても入社するのが難しい企業とそうではない企業がありそうなのは想像がつくかもしれません。偏差値で表すことが出来ないとはいえ、戦略コンサルティングファームに誰でも入れるわけでは無いです。ただ、レベルが高そうだ低そうだという感覚で企業を語るのは危険です。なぜならば、あなたがレベルが高そうだと思っている企業へ行くことが必ずしもキャリアアップに繋がるとは限らないですし、レベルが低そうだから行きたくないと考えている企業こそがあなたの思いをすべて叶えられるかもしれないのです。そもそも、企業をレベル感で語ることが危険だと私は考えております。

私の面談の中で、ある企業をご紹介させて頂くと、「そこまでレベルを落としたくない」という旨をお聞きすることが時々ありますが、その際に私がまず聞いているのは、「企業のレベルとは何ですか?」ということです。
入社することの難しさという回答を得ることが多いのですが、その際には、それよりもやりたいことを実現できるかが重要ではないかという話をさせて頂いております。もちろん、個人の価値観は様々なので、どのような考え方であっても否定することはできません。ただ、本当にやりたいことが実現できないのであれば、誰もが羨ましがるような有名企業に入ったとしても、仕事が面白くないと感じるようになり、またすぐに転職をする可能性もあるかもしれませんし、逆に名前も知らなかった企業だったけど、やりたいことに没頭出来て、毎日働くことが楽しくて仕方ないなんてこともあるでしょう。

入社することが難しい企業が存在するのは事実ですが、転職先を選定する上では最重要な要素ではないと思います。本当にやりたいことは何なのか、それが実現できる企業はどこなのかという観点から次のキャリアを考えていきましょう。

<LAZ>

関連記事

注目のキーワード: