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第1042章
2021/10/01

コロナ禍の今、フリーランスになるべきか?「行きはよいよい帰りは恐い」(後編)

前回はフリーランスのメリット・デメリットに加え、具体例を挙げてその実情を追ってきました。今回はフリーランスのその後のキャリアと、起業という別の選択肢などもあるのではないか、という点などをお話しさせて頂きます。

3. フリーランスのその後のキャリア

では、フリーランスの方のその後のキャリアとしてはどのような道があるでしょうか。
これはたった一つ「フリーランスとして突き進む」。
これしかないですし、フリーランスになる場合にはこの覚悟を持って行った方が良いと私は思います。まさに「行きはよいよい帰りは恐い」のがフリーランスであり、フリーランスになった場合に正社員に戻るのはまず難しいからです。

その理由としては、2.のポイントでそれぞれ書いた通りと言えますが、以下を覚悟する必要があるためです。

  1. 立場上3次請けなど正社員であってもSESの働き方になる可能性がある
  2. 年収に関してはフリーランスから3割ダウンが当たり前である
  3. 今未経験の案件は出来ず、あくまでこれまで培ってきた技術をやることになる

そしてもしa~cすべての覚悟を持っていても正社員への転職は困難を極めます。私も数多くのフリーランスの方の正社員へのサポートをしてきましたが、成功した例は片手で数えられるほどしかありません。私の実力不足ということももちろんあるでしょうが、まずこの覚悟を理解してもらえる方が少ないという点に加え、たとえ理解している方が応募したとしても今度は企業側が「疑いの目」で見てくるのです。

  • 年収が下がることを理解しているといっても実際のところはそうは思っていないのではないか(その理由で早期離職した元フリーの方がいた)
  • 何か嫌なことがあると結局またフリーになれば良いと思いすぐ辞めてしまうのではないか(その理由で早期離職した元フリーの方がいた)
  • 知り合いヅテや今までのフリーのリレーションで良い話があるとすぐ辞めてしまうのではないか(その理由で…)

つまり「一度フリーになったということは組織としてのしがらみが嫌だったという理由が少ななからずあるはずで、すぐ辞めてしまうのではないか」という疑いと、「実際にフリーランスの方を正社員で雇ってみたがうまくいかなかった」という例があまりに多すぎるというのがその背景にあります。

ちなみにフリーランスの方が正社員に戻りたいと思われる理由は多々あります。

  • 家族を持ち、家を買おうとしたときにローンが組みにくい(社会的信頼性)
  • 40代になりさすがに自分で営業して案件を獲得し続けることに疲れた(継続性)
  • それこそコロナ禍やリーマンショックなど、突発的な理由で切られてしまうのはまずフリーであり、次は我が身であるため(安定性)

などなど実際に転職相談を受けたフリーの方の転職理由の一部です。
これらの理由で「正社員に戻りたい」と思われても残念ながら…ということをこれまで説明してまいりました。

4. フリーランス or 起業?

以上を踏まえて、フリーランスの相談を受けた際に私がアドバイスするのは

  • フリーランスになるなら一旦起業を考えてみてはどうか?
  • それが無理なら今よりもっと上の企業を目指すことも考えてみてはどうか?

です。

起業と聞くと「無理」と思われるかもしれません。ただ起業であれフリーであれ、リスクがある点に変わりはありません。
一方で将来転職を考えた場合で言えば「起業に失敗したから」という理由の方が、フリーランスからよりも圧倒的に「正社員に戻りやすい」のも事実でもあります。挑戦し失敗したことは貴重な経験です。起業を実際にしたということは行動力もあり、ビジネス視点も持ち得ているということです。
実例として昔ながらの誰しもが知る超大手SIerでさえ「起業して失敗したような方はWelcomeです」と言われますし、私からも”起業失敗者”が入社したこともあります。

さらに、起業であればフリーランスで挙げたメリットは享受出来ますし、フリーになる覚悟があるということは何かしらの技術への自信があるということだと思っています。であれば最初からフリーランスに絞るのではなく、まず自身でビジネスを考えられないかを考えてみてはどうか、と思っています。

とはいえ起業へのハードルは高いと思われるのも当然です。その際には「現状よりもっと上の企業を狙ってはどうか」を一度考えてほしいと思っています。なぜならばこれまで説明してきたようにフリーランスは「今出来る」ことを任されるものだからです。将来的にフリーランスになることを決めているとしても、今業務で出来ることをさらに広げてからフリーランスになった方が将来携われる案件も広がり、フリーランスとして生きる上でも可能性が広がります。

「今起業するだけの自信や案が無い」という場合でも同様です。例えば今今は技術に自信はあってもビジネスとしてどうやれば「勝てる」かがわからないならば、起業家集団のような会社などに挑戦し、プロダクトマネージャーなどを目指しそのノウハウを学びつつ、将来的にその企業の子会社を作る道でも良いでしょうし、実際にそこから羽ばたいて起業しても良いと思っているためでもあります。(その結果起業し、もし失敗したとしても、その経験を認めてくれる会社は多くあります)

5. まとめ

私はエージェントであるため「キャリアとして、将来も考えつつ、出来る限り保険をかけて生きてほしい」という根底の思いがあります。もちろん思い切って挑戦してほしいという思いもありますが、事実を理解せずに突き進んだ結果後悔しても手遅れかもしれませんし、迷っているならば自ら狭めすぎてほしくないのです。

フリーランスのキャリアも全く否定はしませんが、その先の事実を理解せずに何となく挑戦しようとしている人が圧倒的に多いとエージェントの立場で感じたためこのコラムを執筆させて頂きました。一旦立ち止まり、自身のキャリア、人生を考える一つの機会として頂ければ幸いです。

<ジャパ>

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