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コラム:IT業界転職の技術
第1023章

夢や大義を追いかける前に

2021年4月23日

私の若いころ

ここだけの話、一時期公務員になりたいと思っていました。25歳頃でしょうか。正確に言うと、なりたいというよりも憧れだったんです。よく分からないけどなんだか良さそう。働き方とか、何やら安定感とか。隣の芝生が完全に緑に見えていました。また当時は不安定な経済状況から、安定した公務員の方が民間よりも良いという言説があったんです。

新卒の時にもチラッと公務員を考えましたが、父が絶対になるなと強く反対したので早々に選択肢から消えました。当時理由は分かりませんでしたが、これは珍しい親だなと思いました。なぜ子供の安定を望まないんだろうと。しかし調べてみると公務員になるには試験が必要と分かりさっさと諦めます。

大学推薦で楽々とエンジニアとなってから数年後、今度は仕事が大変でまた公務員のことを思い出します。えぇ、どうしようもない奴です。公的機関の中途募集が幾つか見つかり、応募してみましたがこんな志の低い人間が受かるわけありません。日本の為にも落ちて良かったと思います。日本の為に働きたい。この地域をより良くしたい。そういうモチベーションの人にこそ公務員になって欲しいと今では思います。

公務員人気の変化

そんな公務員も、最近は事情が変わってきたようです。2021年度の国家公務員採用の申込者数が、前年度と比べ14.5%減。5年連続の減少で、12年度以降では最大の減少幅となりました。それでも1万4千人以上が応募しているのですが、キャリア官僚の人気が一時期よりも下り坂なのは間違いないようです。(大阪府や東京都など、一部の地方公務員は逆に応募が増えていますが)

加えて、退職者もここ数年で増えています。一昨年度に自己都合退職した20代の国家公務員総合職は87人。6年前に比べて4倍強になりました。キャリア官僚になれるのは、一部の大学のエリート層に限られます。狭き門をくぐり抜けて霞が関に辿り着いたのに、志半ばで退職される方が増えているのです。

理由の多くは長時間労働です。私も前職時代、某省庁に半年常駐していたことがありましたが、彼らの方が私よりも長く働いていてタフな労働環境に驚きました。この動きは政府としても理解していて、実際働き方改革に乗り出そうとしています。

ただ、退職理由は残業だけではありません。主たる退職がもう1つ。「もっと自己成長できる魅力的な仕事につきたい」つまりキャリアへの思いです。

キャリアの目標

世の中には官僚にしか出来ない仕事があります。社会福祉から経済政策、外交政策、金融規制まで、コアとなる国の政策立案は彼らにしか出来ません。これ以上なくスケールの大きな仕事が出来ます。扱う金額も与える影響範囲も、一般企業では到底かなわない規模感を経験出来るのです。

また社会貢献という意味では、これ以上の仕事も無いでしょう。転職支援をしていて思うのですが、仕事のやりがいは結局のところ社会貢献に行きつきます。人は自分の仕事が誰かに認められたり、褒められたり、必要とされて達成感を感じるのです。そういった仕事の醍醐味が、国家公務員にも絶対にあるはずです。

ですが、実態にはギャップがあるのでしょう。上記の私が書いた内容は、あくまで仕事の最終成果です。そこで働く若手官僚には、想像以上に泥臭い調整や作業があるんだと思います。それを世の中では下積みと呼ぶかもしれません。ただ、その下積みが自分の成長に繋がるのか。その経験が自分にとってどんな価値となるのか。それを見出せなければ、業務の生産性もモチベーションも上がらないのはよく分かります。キャリアの目標を失った状態で続けるには、この下積みはタフすぎるのです。

それに加えて、公務員には定期的に異動があります。人事異動を経てゼネラリストとしての成長が求められる環境なので、自身の成長イメージが明確な人ほどギャップが生まれかねない環境だと思います。

夢や大義を追いかける前に

仕事を決めるうえで、「何を為したいのか」という大義や夢も大事です。ただ、それ以上に「どんな業務をしたいのか」という日々の仕事もすこぶる大事です。会社が何をしていようと、自分がする仕事の方が大事なのです。自分の人生ですから。

当然会社のブランドや知名度、社会的地位などもシビアに言えば大きな意味はありません。あなたがそこでする仕事こそが大事です。面白そうな会社だからといって、面白そうな仕事が出来るとは限らないのです。夢を実現する為には、どんな経験や下積みが必要なのか。そこまで理解する必要があります。

きっと私の父もそれが分かっていたんでしょう。目的なく公務員と言い出した私の魂胆を見抜いて、ストップをかけたんだと思います。今なら私も同じアドバイスをすると思います。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング

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