COLUMN
コラム:転職の技術
第1012章
2021/02/05

アジャイル始めました

アジャイルのすすめ

現在弊社では、基幹システムのリプレースを推進しています。弊社のような小規模でもシステム更改となると決めることも多く、業務の合間に少しずつシステムの仕様検討をしています。弊社は全員が元ITエンジニアなので、10年前は現役でバリバリ開発していました。そんな時代が懐かしいほど、今ではベンダーさんを全面的に頼りながら四苦八苦しながら進めています。

今回はアジャイルで開発をしているのですが、それを通じて色々と分かったことがあります。私自身は開発者としてウォーターフォールしか経験がありませんでした。なので最初は戸惑いながらだったのですが、今ではアジャイル開発の恩恵を感じています。

前提として弊社のシステムは、非常に小規模な部類になると思います。操作性こそ込み入っているのですが、機能自体は非常にシンプルです。その機能も幾つかに分けることが可能で、アジャイルが適用しやすいシステムなんだと思います。

2週間ごとの開発サイクル

今は2週間ごとにタームを区切り、そこまでの開発の進捗確認をしています。短期的な目標をベンダー側と弊社側でそれぞれ定め、その結果を2週間後に持ち寄って確認する。というやり方を続けています。小さなプロジェクトなので、一般的な正しいアジャイルプロセスとは異なる部分もあるかもしれません。それでも、私としては2週間ごとに機能が作られ、それを見てフィードバックし、さらに新機能が追加されてシステムが形作られていく姿には、単純に感動と興奮を覚えました。

機能ごとに見せてもらえると、こちら側も当事者意識と言いますか、自分ごととしてシステムを考えるエネルギーをもらったような気持ちになるのです。少しずつでも形になっていくと、より良いシステムにしていきたいという思いが強くなってくるから不思議です。(ウォーターフォールだと「仕様検討」と「ユーザーテスト」は期間が空いている分、ユーザーにとってはどこか別物と感じていたかもしれません。ペーパー上の仕様検討に全力を出して、ユーザーテストの段階では既に疲弊していたこともありました)

一方で、短期の開発を積み重ねるプロセスだと、長期的なスケジュール感が見えなくなる懸念が当初はありました。ただ、それも今のところは大丈夫そうです。アジャイルでこちらもシステムを見ていると、今がこのプロジェクトの何合目まで来ているのか/あとどれぐらいで完成なのかが、感覚的に分かってくるのです。ここの機能が山だな、というポイントも自然と分かってきます。

小さな提案の積み重ね

システムの操作性やユーザービリティといった観点でも、今のやり方に助けられています。ボタンや画面の配置等を細かく伝えなくても、大枠で「○○を考えながら○○の操作をしたい」という機能の方向性を汲んでくれて、画面デザインをしてもらっています。これは今のベンダーさんの姿勢が大きいと思うのですが、発注者としては思いつかないような画面構成やボタン配置、デザインなどを提案してきてくれます。モダンなイメージも多く、弊社が考えたものより格段に操作しやすそうなのです。
こういった提案はありがたいです。提案というとコンサルが行う大規模なものをイメージしがちですが、画面レベルでの小さな提案が今のプロジェクトを支えてくれています。

アジャイルのマネジメントとリスク

私も前職ではPMPを持っていたのですが、アジャイルでも基本的なマネジメントは変わらないと思っています。スケジュール等の抑えるべき数値は違うのですが、開発する上でのリスク管理という意味では同じだと思っています。そこも新たな発見でした。

一方で、横断的なシステム仕様が分からなくなったり、仕様をどこまでシステムに反映されたのか見失うこともありました。要求仕様が曖昧になりやすく、弊社内でもそれを見失ってしまうことが何度かあります。このようなアジャイル開発のリスクは、まだ顕在化しているものが多いと思っています。ここまでは順調でしたが、まだまだ気が抜けません。

エンドユーザーを意識した開発

10年前に私が開発をしていた際には、ウォーターフォールが主流でした。顧客と要件を決めて、機能と画面と帳票を決めて、その機能実現に向けて開発を行っていました。このウォーターフォールのかっちりとした仕事の進め方に、ベンダーとしてのある種の正しさ、プロセスとしての正当性を私自身感じていたのかもしれません。それによって、お客との関係構築をしていました。

一方で、アジャイルはエンドユーザーを意識した開発スタイルだと感じています。システムをどう作るかより、どう使われるかという視点が強いように感じていて、そこに発注者側のメリットがあると思っています。
それだけに、こちらの担う役割も多くなってくるので大変でもあります。質問や問い合わせもSlackベースで飛んで来るのですが、このスピード感もアジャイルの鍵なんだなと実感しています。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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