キー・スライド:究極の1枚 | ケンゾウの戦略コンサル物語 | IT転職 エージェント リーベル


ケンゾウの戦略コンサル物語

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筆者プロフィール: ケンゾウ
大学院修了後、メーカーでエンジニアとして勤務。その後、外資系の戦略コンサルティングファームに転職。幾多の苦労を重ねながらも、数年間をそのファームで過ごした後に卒業し、現在は投資ファンドで働いている。

第42話
キー・スライド:究極の1枚

キー・スライドとは

こんにちは、ケンゾウです。今日は、戦略ファームのプロジェクトの報告書について書いてみたいと思います。本当は報告書のサンプルなんかをお見せ出来るとイメージがわいて良いのですが、残念ながら、報告書はクライアント社内でも関係者以外の閲覧を禁じることも多いため、見たことがある方はあまりいらっしゃらないのではないかと思います。

報告書は通常はパワーポイントで作成され、プロジェクトの期間や内容によってかなりのばらつきがありますが、ざっくり言うと、2-3ヶ月のプロジェクトの最終報告書は100ページ前後といったところでしょうか。更に補足資料がつくこともありますが、最終的にはそれなりのボリュームの資料になるわけです。戦略ファームのコンサルタントが3人のチームで2-3ヶ月も作業をすれば、かなりのボリュームの資料が作成できる材料が揃うのですが、最終的には無駄な部分は削ぎ落としていき、最終的な提言を説明するためのストーリーとして必要な部分だけが報告書の本編に記載されることになります。

このとき、最終報告書の中に、「キー・スライド」という1枚のスライドが存在することがあります。では、キー・スライドとは何か?簡単に言うと、その1枚だけで、プロジェクトの結果のほぼ全てを説明できてしまうほど強力な1枚のスライドのことです。

因みに、キー・スライドは報告書の冒頭に付ける1〜2枚のエグゼクティブ・サマリー(要旨)のことではありません。キー・スライドは、報告書の比較的はじめの方に出てくることもあれば、中盤あたりで登場することもあります。内容もいろいろなパターンがあり、分析結果を示すグラフの場合もあれば、問題の根本的な構造を示す図の場合もあります。共通するのは、その1枚を見た瞬間、クライアントが「え、そんな事が起こっていたの!?」「原因はそこにあったの!?」「あ、目指すべきはそこだったの!?」と声を上げてしまうようなスライドです。別の言い方をすると、キー・スライドを見たクライアントは、目から鱗が落ちたり、腹の底から納得したり、場合によっては、「今から直ぐにこのスライドを持って◯◯◯(←重要人物)のところに行ってくる」と言ってしまうようなスライドです。

なぜ1枚に集約できるのか?

しかし、複雑な課題の解決を求められ、膨大な作業を行って苦労して捻出した解決策で、しかも100ページにも及ぶ報告書にまとめる程の内容が、どうしてたった1枚のスライドで説明できてしまうのでしょうか?

それは、キー・スライドが出来たということは、そのプロジェクトで課題の本質を掴むことが出来たということなのだと思います。物事が複雑に見える状況というのは、別の言い方をすれば、その本質が見えていないということなのです。そのため、本来は削ぎ落とすべきノイズが沢山重なって見えてしまうため、何だか凄く複雑な状況に見えてしまうのです。物事の本質さえつかめれば、それ自体はシンプルなものなので、スライド1枚で十分に説明できてしまうものなのです。

これは、自然科学やエンジニアリングにも通じるところがあって、自然科学においては、究極の理論は極めてシンプルな数式で説明できると言われています。有名なところで言うと、難解なアインシュタインの特殊相対性理論は「E=MC2」という単純な数式で説明されています。また、エンジニアリングの世界では「KISSの原則」という有名な言葉があって、「単純な設計にしないと上手くいかないよ」という考え方があります。因みに、KISSはKeep It Simple, Stupid! (単純にしておきなさい、おバカさん!)の略です。

因みに戦略ファームのプロジェクトの現場では、プロジェクトの早い段階でキー・スライドと呼べそうなスライドが作れると、皆で「やった、勝ったぞ!あとは楽勝だ!」と大喜びをします。逆に言うと、プロジェクト終盤までキー・スライドが出来ないと、とってもどんよりとした空気が漂ってしまいます(笑)。

(次回につづく)

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