ケンゾウの戦略コンサル物語

戦略コンサルタントの仕事やふだん考えていることなど、戦略コンサルタントの実態をありのまま綴ったコラム

筆者プロフィール

ケンゾウ
大学院修了後、メーカーでエンジニアとして勤務。その後、外資系の戦略コンサルティングファームに転職。幾多の苦労を重ねながらも、数年間をそのファームで過ごした後に卒業し、現在は投資ファンドで働いている。
第27話

上司のマネジメント

パートナーによって仕事のスタイルは様々

こんにちは、ケンゾウです。戦略ファームのパートナーには、いろいろなタイプの人がいます。昔は、戦略ファームのパートナーには、地頭だけはむちゃくちゃいいけど、かなりエキセントリックな人も多かったと聞くのですが、私が戦略ファームにいた頃は、確かに個性的な人は多かったですが、そこまで変わった人は少なかったです。

ただ、どのパートナーにも共通していたのは、プロジェクトでバリューが出ているか、アウトプットの品質が十分かという点に関しては、一切の妥協を許さない厳しさがありました。しかも、各パートナーには自分のスタイルというか、好みというか、こだわりがあって、その指向性はパートナーによって、驚くほど異なります(笑)。まあ、パートナーの個性がそのまま現れている感じです。

具体的なスタイルについては、いろんなパターンがあるのですが、仮説をベースに分析・検証をきっちり行い、積み上げ型でプロジェクト遂行するのを好むパートナーもいれば、極力先入観をもたず、プロジェクト開始後にわかった事柄をベースに常にゼロベースで考え直し、プロジェクト期間中に方向性や作業内容をどんどん変更していくことを厭わないパートナーもいます。

上司をマネジメントする

ここで重要になってくるのが、「上司のマネジメント」という考え方です。これは主に現場を取り仕切るマネージャーの仕事なのですが、マネージャークラスになると、自分なりのスタイルが確立してきます。そのため、どのパートナーと仕事をするかによって、スタイルの合う/合わないというのが出てきます。ここで、パートナーのスタイルに合わせるのか、自分のスタイルを貫くのか、という問題が出てきます。キチンとバリューが出ているのであれば、パートナーとしても、ある程度はマネージャーのスタイルを容認してくれることが多いのですが、それでも許容範囲というものがあるようです。

そのため、特に初めて一緒に仕事をするパートナーとは、早い段階で進め方やアウトプットイメージを擦り合わせておかないと、プロジェクト終盤になってパートナーに「こんな方向性で報告書をまとめようと思っている」と持っていった途端、パートナーが「なんじゃこりゃ〜!!」と切れて、ちゃぶ台をひっくり返すという最悪なパターンに陥ってしまうことがあります。こうなるともう悲惨で、最終報告まで1週間しか無いのに、提言内容は大幅に変更となり、作業も大部分がやりなおし、報告書はもちろんゼロから書き直しとなり、眠れない一週間が続くことになるのです。

そうならないためにも、マネージャーは早い段階でパートナーをプロジェクトに引きずり込んで、現状の仮説や作業方針、提言内容の方向性をすり合わせておき、方針転換をするのであれば、出来るだけ早い段階で転換をし、難しい部分があるのであればパートナーにも知恵を出させて一緒に考えるということをしておく必要があるのです。

これは、自分自身やプロジェクトメンバーを守る上でも極めて重要なことです。このようにマネージャーは、部下である若手のマネジメントや、クライアントへの対応に加え、上司であるパートナーやプリンシパルのマネジメントにもエネルギーを注ぐ必要があり、非常に大変なポジションなのです(一方で、現場リーダーでやれるので最も楽しい時期でもあると思うのですが)。

まあ、プロジェクト現場への関与に積極的なパートナーもいますので、そういうタイプであれば、そもそも上記のような問題は起きないわけですが。あくまで「人」対「人」の仕事なので、パートナーの個性を尊重しつつも上手くやっていくコミュニケーション力が重要なのは間違いありません。

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