ケンゾウの戦略コンサル物語

戦略コンサルタントの仕事やふだん考えていることなど、戦略コンサルタントの実態をありのまま綴ったコラム

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筆者プロフィール

ケンゾウ
大学院修了後、メーカーでエンジニアとして勤務。その後、外資系の戦略コンサルティングファームに転職。幾多の苦労を重ねながらも、数年間をそのファームで過ごした後に卒業し、現在は投資ファンドで働いている。
第2話

衝撃の初プロジェクト(その1)

初プロジェクトへのアサイン

ケンゾウが最初のプロジェクトにアサインされたのは、入社して1週間経ったかどうかというタイミングだったと記憶しています。入社後は、オリエンテーションやら研修などがあったのですが、研修と言っても、ちょっとした課題が出されてしばらく放置された後に、自分なりにまとめた資料をベテランの先輩に見せてフィードバックをもらう、というくらいの軽いものでした。

そして、研修が終わるやいなや、初めてのプロジェクトへの参加を告げられました。テーマは業務改革に関するものでした。そのために、全国に散らばるクライアントの支社をまわってインタビューをしまくり、改善策を提案するという内容でした。体制としては、現場のメンバーが私と若手が二人のみで、フルタイムでプロジェクトをリードするマネージャーはいませんでした。あとは、パートナーやプリンシパルと呼ばれる幹部クラスのコンサルタント(私からすると上司にあたります)ですが、彼らは複数のプロジェクトを掛け持ちしているので、パートタイムでしかプロジェクトに関わることはありません。

体制を聞いた段階で、一抹の不安がよぎります。
「んん?いきなりおれがプロジェクトをリードすんの?」
「初プロジェクトでまさかね・・・。きっとプリンシパルがリードしてくれるさ!」
しかし、無情にもこの不安は的中します。

まったくバリューが出せない・・・

今回のプロジェクトでは、全国の支社をまわってインタビューするように強行軍で日程が組まれています。そのため、インタビューは1回勝負。やり直しのチャンスはありません。プリンシパルは、最初の方はインタビューに同席してくれていましたが、直ぐに自分だけでインタビューをしないといけない状況になります。

しかし・・・、情けないことに、インタビューの時間はどんどん過ぎていくのですが、手応えが全く感じられないのです。つまり、アウトプットにつながるようなストーリーが見えてこないのです。それぞれのインタビューで聞いた話がバラバラなピースとして散らかった状況といえばいいのでしょうか。

一方で、私以外の若手二人はどんどん先に進んでいるようでした。二人共、社会人経験二年くらいの若者なのですが、インタビューした内容をもとに、報告書の部品となりそうな資料をどんどんまとめています。一方で私はというと、当時30歳過ぎたくらいで中途入社し、二人よりも明らかにおっさん、当然、タイトルも私の方が上なのですが、パフォーマンスは明らかに二人の半分な状態です。いえ、半分もなかったでしょう・・・。

前職までは、なんだかんだと順調にやってきた私としては、人生初のピンチだったと思います。しかも、半端ないくらいのピンチに感じられました。いやーな汗が流れてきそうな、不思議な感覚でした。時折プロジェクトの様子を見に来る上司にも、その様子は明らかでした。そこから1週間ほどすると、上司から「もうすぐ助っ人が来るから」と励まされ、何とかインタビューや資料作りを継続します。そしてマネージャーがプロジェクトに加わりました。驚いたことに彼は、プロジェクトに參加するやいなや、最初のインタビューからサクサクとこなしていきます。クライアント固有の難解な専門用語が飛び交うなか、まるで1年以上はこのプロジェクトに専念してきたかのごとく馴染んでいるのです。しかも、やはり彼も私より年下でした。(まあ、年齢とか気にしてもしょうがないんですけどね)

そしてマネージャーが加わって1週間ほど経ち、私の方もようやく作業が進みだした頃、上司から思わぬことを告げられます。「急で悪いけど、○○○のプロジェクトが大変そうだから、明日から△△△に行ってくれる?」若干オブラートに包んだ優しい言い方ですが、要するに、私はマネージャーと交代させられたということだったのです。

いきなり使い物にならなかったと宣告されたようなもので、なんともつらいデビュー戦となったのでした。

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