注目企業インタビュー

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日鉄ソリューションズ株式会社

「鉄のDNA」をベースに挑戦を続ける国内有数規模のSIer
事業モデル変革に向け、キャリア人材の積極採用に動く

人事本部
キャリア採用センター所長
岡田 康裕 氏

世界最大級の鉄鋼メーカー・日本製鉄の情報システム部門を前身として、1980年に設立された日鉄ソリューションズ(NSSOL)。24時間365日ノンストップで高品質の製品を生産することを求められる製鉄の現場において、50年以上の長きにわたり高度なシステム開発・運用力を蓄積。それを武器に、製造業のみならず、金融、流通・サービス、公共、通信など幅広い業界・業種に向けてITソリューションを提供し続けてきた。今や売上高2325億円、従業員数5931名(いずれも2017年3月期 連結)を誇る国内有数の規模のSIerとしてIT業界で確固たる存在感を発揮。米国、中国、シンガポール、英国、タイ、インドネシアに現地法人を設置し、6カ国11都市に拠点を設けるなど、グローバル展開も精力的に推し進めている。
そんな日鉄ソリューションズでは、アプリケーション開発を中心としたSI事業モデルをよりいっそう強固にしつつ、事業モデルの変革を進めていくことを目指し、マンパワーの拡大に注力。キャリア人材についても積極的な採用を行っている。同社で仕事をすることにより、どんなやりがいを得られ、いかなる成長が可能なのか? そして、同社が求めるキャリア人材の姿とは? キャリア人材採用のキーマンである、人事本部 キャリア採用センター所長の岡田康裕氏に話を訊いた。

チャレンジこそが「鉄のDNA」

「日鉄ソリューションズというと、『伝統ある親会社を持つ堅そうな会社』というイメージを持つ方もいらっしゃるでしょう。しかし、それは当社のほんの一面にすぎません。我々のルーツである日本製鉄は、100年以上にわたり新商品の開発、生産性の向上、品質の改善にチャレンジし続けてきました。そのチャレンジングスピリットこそが、我々が引き継いできた『鉄のDNA』なのです」。岡田氏はでだしからこのように熱く語る。

そもそも親会社の日本製鉄は、国内有数の大規模先進のITユーザーだ。1950年代からコンピュータを導入し、1968年には早くも製造工程の一貫オンライン操業を実現。以来、50年以上もの間、複雑で厳しい条件下での鉄の生産を、24時間365日ノンストップで、ITによって支え続けてきた。そうした中で蓄積し、磨き上げてきた高度なシステム開発・運用力、コンサルティング力が、日鉄ソリューションズの強みになっている。

また、ユーザー出身であることから「現場や業務を深く理解する」ことにこだわりを持っているのも大きな特長。長年にわたり、業務分析、問題点抽出や対策立案、システム構築、運用というサイクルを繰り返し行うことで、業務の本質をつかみ取る能力を鍛え上げてきた。この点が、同社が製造業以外の顧客からも高い評価を受け、幅広い業界・業種のお客様を獲得できたことにつながっている。
「我々は、他の大手SIerが避けがちな、極めて複雑な金融業のデリバティブ(金融派生商品)のシステム開発にも1990年代初めというかなり早い段階から取り組み、成果をあげてきました。これもまさに業界・業種を超えた『業務の本質を見抜く目』があったからだと考えます」と岡田氏は自信を見せる。

自前のR&D組織で3年先を見越したITの研究を進める

常に最先端に挑み続ける姿勢は、同社が「システム研究開発センター」というR&D組織を持っていることにも現れている。このセンターでは、常に3年先を見越したIT技術の研究を行い、そこで得た知見をシステム開発やプロジェクト開発にフィードバックしている。例えば、最適化技術ソリューションを活用したJリーグの全試合日程の作成や機械学習を活用した入場者数の予測などの多数の実績を生み出している。メーカーではない同社のようなSIerが研究所を持っているケースは極めて珍しい。

投資型のビジネスに積極的なのも同社ならではだ。例えば、クラウド事業についても、まだ世の中にクラウドという言葉が浸透していない2007年から積極的な先行投資を行ってデータセンターを整備するなどし、業界をリードしてきた。
「鉄を生産するには巨額な設備投資が必要です。だから、我々にとって、事業成長のために投資をするのはごく当たり前のことなのです。他のSIerとは一線を画すところだと思いますね」と事も無げに語る岡田氏。こうした点にも「鉄のDNA」が、遺憾なく発揮されていると言えよう。

「NSSOL 1.0」から「2.0」、「4.0」へと事業モデルの変革を目指す

常にチャレンジを続ける日鉄ソリューションズは、事業モデルの変革にも貪欲だ。従来、同社の売上高の多くはアプリケーションの受託開発が占めており、このSI事業モデルを「NSSOL 1.0」と呼んでいる。今後は、それをさらに強固なものにしつつ、「NSSOL2.0」、「NSSOL4.0」と呼ぶ事業モデルを展開していく構えだ。

「NSSOL2.0」では、顧客企業のビジネスをともに発展させる「ITパートナーモデル」として、特にITインフラのフルアウトソーシング事業に力を入れる。クライアント企業のITインフラを全て同社のデータセンターで預かり、クラウド化できるものはクラウド化して運用していく。すでにいくつかの大手企業で実績を積んでいるが、この際、特徴的なのは、クライアント企業でITインフラ運用にあたっていた人材についても同社に完全移籍している点だ。「これにより、人材のプール化・リソースの拡充も同時に実現できます」と岡田氏。加えて、SEの工数を極力抑えられるサービス型事業へ転身していくことや、ひとつのクライアントにおける顧客内シェアを増やして営業効率を高めていくことも大きなテーマだ。

さらにその先には「NSSOL4.0」として、スマートファクトリーやスマートプロダクトなど、デジタルイノベーションで出現する新たな事業領域を開拓することを視野に入れる。同社ではすでにAI、IoTといった分野の研究開発を精力的に推進。データサイエンスの分野でも、世界的なデータマイニングの大会である「KDDカップ」において同社のチームが世界2位を獲得するなどの実績を挙げている。「このような事業モデルの変革を通じて、社会に貢献し持続的成長を実現したい」と岡田氏は決意を語る。

人材に求めるのは「チャレンジ精神」と「自律的であること」

こうしたビジョンを実現するには、さらなるマンパワーの拡充も不可欠だ。そこで日鉄ソリューションズは2017年4月に新たに「キャリア採用センター」を設置し、キャリア人材の採用をいちだんと活発化している。近年、業績の伸びに比例してキャリア採用数も右肩上がりに増加してきた。今後はそれを上回る数の人材を採用する計画だ。

それでは同社が求めるのはどのような人材なのか? 岡田氏はまず「チャレンジ精神」と「自律的に物事を進められること」を挙げる。
「これから我々が、NSSOL1.0から2.0、さらには4.0へと、事業モデルを変革していくにあたっては、歯車のように言われたことだけをやるのではなく自分からどんどんアイデアを出していくことが求められます。だからこそ、チャレンジ精神や自律的であることは不可欠です」と岡田氏。さらに、「ひとつのことを極めていく」という意欲を持っていることや、同社の事業戦略や将来像に共感してくれることも重視したいと言う。

業務を深く理解することにこだわる同社だけに、様々な業界の業務に強い人材であればもちろんそれに越したことはない。ただし、採用にあたってはむしろ、人柄や自律、自主性といったマインドなどのポテンシャルを重視する。キーとなるのはやはり、これまでの環境の中で、現状をどのようにとらえ、何を考え、どう判断して行動してきたのかだ。
「本当に自ら考えて行動してきたのか? ただ与えられたことをやって時間を重ねてきただけなのに成長したつもりになっていないか? そこをしっかり見たいですね」と岡田氏は語る。

こうした点をクリアしている人材にとって、日鉄ソリューションズは非常に大きなやりがいを感じられる職場となるに違いない。どのような手応えが得られるかは、同社の企業理念である「創造」「信頼」「成長」に凝縮されていると岡田氏は言う。
「先ほども申し上げたように、当社は新しいことに積極的に投資することを厭いません。自ら提案して、様々な創造を自分の手でできるチャンスに溢れているのです。そうした中で、お客様と信頼関係を構築し、お客様と一緒に成長していけます。
  また、当社は、他のSIerと比べて、コンピュータと付き合ってきた歴史の長さが明らかに違う。その中で、他社にはとてもできないような大規模で複雑なシステムを作り込んできた実績があります。そうした仕事に取り組めるのも、当社ならではだと思いますね」

キャリア人材の比率はすでに1割以上。管理職登用率もプロパー社員と同等

日鉄ソリューションズは人材育成に力を入れていることにも定評がある。通常の階層別教育、職種別教育に加えて、2014年からは「NSSOLアカデミー」も開設した。これは、高度な専門性と広い経験、強いリーダーシップを備えた、事業を牽引する中核人材を育てるための育成機関。プロジェクトマネージャー、SE、営業、管理スタッフなどの職種に横串を通して、ワークショップや勉強会などの社内イベントでノウハウや事例を共有し、暗黙知を形式知化することを目指している。年間60回ほどのイベントが開催され、参加人数は延べ約2000人にものぼる。

また、同社はここにきて、「働き方改革」にも熱心に取り組んでいる。社内に役員層からなる「働き方改革推進本部」を設置し、その下の本部長クラスで具体的施策を検討。さらに各事業部にD-HMO(Division – Human-capital Management Office)と呼ばれる担当者を置き、施策の浸透具合をモニタリングして推進本部にフィードバックするといったPDCAサイクルをきっちりと整えているのが特長だ。すでにテレワークやサテライトオフィス、フレックスタイムといった施策を実施しており、22時以降の残業も原則禁止。育児休暇を取得した女性社員の復職率は、ほぼ100%というから驚く。男性の育児休暇取得率も年々増加。今後は女性エンジニアの比率をますます増やしていく方針だ。

冒頭で岡田氏が語ったように、日鉄ソリューションズに「堅そうな会社」というイメージを持っている人もいるだろう。しかし実際は意外なほどフランクな雰囲気。上長にも自由に意見が言える風土が根付いている。また、同社のキャリア採用の比率は全体ですでに1割を超えており、管理職の登用率も新卒社員と全く変わりない。実は岡田氏も、約20年前にベンチャー企業から転職してきたキャリア採用人材だ。
「私自身、より高みを目指して当社へ転職してきた時は、正直、期待よりも不安が大きかったのを覚えています。しかし、信頼のおける上司と切磋琢磨できる同僚に恵まれ、多くのことにチャレンジし、成長できました。当社に対して敷居の高さを感じていらっしゃる方も、入社すればそれが杞憂だったとすぐに思うはずです。ぜひとも思い切ってトライしていただきたいですね」と岡田氏。「鉄のDNA」に共感し、自分の特長を活かしてそれをさらに進化させていきたいという強い意欲を持つ人材に、日鉄ソリューションズは広く門戸を開いている。

ライター プロフィール

荒濱 一(あらはま・はじめ)
1971年、東京生まれ。上智大学文学部教育学科卒。高校教諭、タイ・インドでの広告代理店勤務を経て、1998年からライターとして活動を開始する。現在、ビジネス(特に人材・起業)、IT/デジタル機器、著名人インタビューなど幅広い分野で記事を執筆するほか、広告コピー分野でも活躍。
◇主な著書
『新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(高橋学氏との共著)
『新版 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(高橋学氏との共著)

リーベルコンサルタントから一言

「鉄のDNA」が指す意味は、堅苦しい伝統を守ることにあらず。前人未到のプロジェクトに挑戦し、情熱と工夫で実現してきた先人たちのチャレンジングスピリットにこそ、同社の特徴があります。
母体となる日本製鉄㈱向けの仕事は売り上げ全体の2割にとどまり、製造業以外にも強みを発揮し、流通・サービス、金融、社会公共など様々な事業領域を持っていることが大きな魅力です。挑戦意欲の高い方へ、強くお勧めします。

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