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第1273章
2026/07/17

リーダー経験がなくても、マネジメント経験はアピールできる

マネジメント経験とは

職務経歴書を拝見していると、開発経験や担当工程は詳しく記載されている一方で、進捗管理や課題管理、顧客や他部署との調整といった経験が、記載されていないことがあります。

詳しくお話を伺うと、実際には担当領域のスケジュールを管理していたり、メンバーの進捗を確認していたり、課題を整理してPMへ報告していたりする方も少なくありません。にもかかわらず、「PMやPL、リーダーを担当したことがないので、マネジメント経験とは言えない」と考え、こうした経験を十分にアピールされていないケースが多くあります。

これは、もったいないことです。

本コラムでは、そもそもマネジメントとは何をすることなのかを整理したうえで、PMやPL、リーダーを経験していなくても、マネジメント経験としてアピールできる可能性があることをお伝えします。

PMやPL、リーダーを経験していないから、自分にはマネジメント経験がない、と考えている方に、ぜひ読んでいただきたい内容です。

そもそも「マネジメント」とは何をすることなのか

マネジメントという言葉を聞いたとき、「部下を管理すること」「チームを率いること」などといった「人の管理」をイメージする方が多いのではないでしょうか。

もちろん、人の管理はマネジメントの重要な要素です。ただ、システム開発において、マネジメントの対象は人だけではありません。

プロジェクトマネジメントとは、一般的には、プロジェクトの目標を達成するために、必要な知識やスキル、ツール、技法などをプロジェクト活動に適用すること、と定義されたりします。

少し堅い表現ですが、要するに、プロジェクトの目標を達成するために、必要なことを管理・調整しながら、プロジェクトを前に進めていくことがプロジェクトマネジメントです。

例えば、進捗に遅れがあれば対応を考える。課題があれば解決に向けて動く。お客様や他部署、協力会社などの関係者と調整する。こうした日々の業務も、プロジェクトを前に進めるためのマネジメント業務なのです。

PM・PL、リーダー経験がない=マネジメント経験がない、ではない

私自身、前職で様々なプロジェクトに関わってきましたが、PMやPL、リーダーといった肩書きの定義自体が、組織やプロジェクトによって異なります(少し話が逸れますが、プロジェクト計画を策定する際には、PMやPL、PMO、担当者がそれぞれ何を担うのか、プロジェクト計画書に役割を記載していました。それくらい、プロジェクトによって役割は異なります)。

例えば、役割上は一担当者でありながら、自身が担当する領域のスケジュールを作成し、複数メンバーの進捗を管理している人がいます。実際、多重請け構造の案件では、一次請け企業の一担当者が、協力会社のメンバーを含めた進捗管理を担っているケースは、よくあることだと思います。

自身の領域で発生した設計課題を一覧化し、担当者や対応期限を確認しながら、PMやPLといった統括陣へ報告している担当者もいるでしょう。お客様と設計および実装との間で、それぞれの主張を把握しながら仕様調整している人もいるでしょう。

こうした方に「マネジメント経験はありますか」と聞くと、「ありません」と回答することがあります。

しかし、進捗を確認し、遅延があれば対策を考えることはスケジュールマネジメントですし、利害が異なる複数の関係者の間に入り、方針を着地させていくことは、ステークホルダーマネジメントの一つです。

もちろん、担当領域の進捗管理を経験した人と、数百名規模のプロジェクト全体を管理するPMのマネジメント経験が同じだと言っているわけではありません。

一つのチームの進捗を管理することと、20チームの進捗を統合してプロジェクト全体を管理することでは、求められるスキルは異なります。課題を一覧化して管理することと、経営判断が必要な重大課題について選択肢を整理し、意思決定を促すことも同じではありません。

ただ、「経験の深さが異なること」と「経験がないこと」は別の話です。

PMやPLという肩書きが付いていなかった。それだけを理由に、自分のマネジメント経験をゼロにしてしまう必要はありません。

肩書きがなくても、こんな経験は「マネジメント経験」になり得る

ここで、ご自身のこれまでのプロジェクトを振り返ってみてください。

メンバーの進捗を確認し、予定より遅れていた場合にタスクの順番を調整したことはないでしょうか。

発生した課題をExcelなどに整理し、担当者や対応期限を記載して、定例会議で状況を確認したことはないでしょうか。

お客様と開発チームで認識が異なった際に、双方の話を聞き、認識を合わせたことはないでしょうか。

これらに該当する業務を担っていたのであれば、それはマネジメント経験の一つです。

特にシステム開発では、経験年数が増えるにつれて、自分のタスクだけを担当するケースは少なくなっていきます。後輩の進捗を確認する。担当領域の課題を取りまとめる。チームを代表して他チームと調整する。PMから依頼されてスケジュールを作成する。

本人にとっては「普段の仕事」なので、特別な経験だと思っていないことが多いのですが、これらもアピール材料になり得ます。

「自分はPMだったか」「リーダーという肩書きがあったか」ではなく、「プロジェクトを前に進めるために、自分は何を管理し、何を調整していたのか」という視点で経験を棚卸ししてみてください。

マネジメントは意外と身近な経験。だからこそ、漏らさず伝えたい。

ここまでの振り返りで、自身が担ってきたマネジメント業務が見えてきたのではないでしょうか。

では、その経験を職務経歴書にどう記載すればよいのでしょうか。

まず、活かせる経験・知識・スキルなどの項目に、「進捗管理」「課題管理」など、自身が経験してきたマネジメント業務を記載しましょう。

さらに、案件ごとの成果や実績を記載する箇所では、実際にどのような状況に対して、何を考え、どう動いたのかを具体的に記載いただければと思います。

例えば、スケジュールマネジメントであれば、「進捗遅延を検知し、原因を分析。作業工数は確保できていたものの、生産性の低下が遅延要因であることを特定。業務効率化ツールの作成により生産性の向上を図るとともに、業務影響が限定的な一部機能については、統括陣を巻き込みながら顧客とリリース時期を調整し、遅延状態を解消」といった粒度での記載であれば、十分なアピールになります。

単に「進捗管理を担当」と書くだけでは、どの程度のマネジメント経験があるのかまでは伝わりません。一方で、遅延をどのように検知し、原因をどう分析したのか。その結果、どのような対策を講じ、誰と調整したのかまで記載すれば、読み手はその人のマネジメントスキルを具体的にイメージできます。

無理に「PM経験あり」「PL経験あり」と書く必要はありません。肩書きを大きく見せるのではなく、自身が実際に担ったマネジメント業務と、その中でどのように考え、行動したのかを職務経歴書に落とし込むことが重要です。

せっかく経験してきたマネジメント業務です。ぜひ、職務経歴書に漏らさず、具体的に記載してみてください。

筆者 山岸 城太郎

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