COLUMN
コラム:転職の技術
第1216章
2025/05/23

言葉の大切さ

自ら発した言葉というものは二度と取り返しはつきませんよね。今週も政治家が発した言葉が世間をにぎわせていますが、我々の日常でも言葉の大切さは同じで、たとえ家族であっても自分の発した言葉に責任と信頼がなければ関係が崩れてしまう可能性があります。

よく注意された「思います」という言葉

私が学生時代にアルバイトをしていた際に「だと思います」「したいと思います」という私の言葉を「思うって何?」と注意する社員の方がいました。当時は「細かいことを指摘してくる人だな…」とあまり好きではなかったのですが、社会人になり徐々に仕事での責任を持つ様になってくると、注意されていた意味が理解できました。

とある本で「冷暖自知」(れいだんじち)という禅語を以前知ったのですが、この言葉の意味は「冷たいか暖かいかは自分で体験しなければ知ることができない」という意味です。自分が触れば「これは冷たい」「これは暖かい」と断定できます。ところが、触らずに目視だけで判断しようとすると「冷たいと思う」「暖かいと思う」と断定まではできない言葉になります。

つまり、普段何気なく使っている「思う」という言葉を深く考えてみると、頭の中だけで想像やシミュレーションをしていることや、そこまで確信や責任が持てない場合などに「思う」が使われることになります。

となると、断定できる物事に対して「思う」を使うことは正しい使い方ではないため、アルバイトの時に注意されていた意味が理解できました。また、単に言葉の使い方の注意だけではなく「断定ができないなら自分で体験するなり試すなりしなさい」という意味も込められていたと今では理解できます。

転職活動における言葉の大切さ

言葉は日常であっても常に大切なのですが、転職活動でも当然大切で、履歴書や職務経歴書に記載している言葉に「思っています」という様な表現を多用していないか、断定できることや自ら体験したことに対しても「思っています」を使っていないか、誤字や脱字はないかなど、書類上の言葉に注意する必要があります。

また、面接においても「だと思います」「できると思います」などの言葉を多用したがために評価が分かれる場合もあります。断定するには自信と勇気が必要で、リスクを考えて「思う」という表現を戦略的に使う場面は確かにありますが、終始「思う」という様な言葉だけしか使わなかった人を採用するのは、実際に採用面接を経験している私も慎重になる場合があります。

ロジカルに自分の考えをまとめて説明ができ、環境が変わっても一定以上の確率で再現できることに関しては勇気を持って断定の言葉を使いましょう。面接が苦手な人や通過率が悪いという人は、もしかしたらこの様に言葉の大切さを意識し、発する言葉を少し変えてみるだけでも結果が変わる可能性がありますので試してみる価値は充分にあります。

筆者 南條 充
#関連記事

関連記事

注目のキーワード: