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第1161章
2024/04/05

憧れの社内SE。憧れだけで入社は危険です。

SIerの立場で顧客のシステム開発に携わっている方の中には、漠然と顧客側である社内SEになりたいと思う方も一定数いらっしゃいます。社内SEへの憧れは以前からも話題に出たりしますが、転職しやすくなった現代において、「社内SEに行ったけれどやっぱり違った!」というケースが少し増えてきているように感じています。

社内SEには社内SEの良いところが沢山ありますが、思い違いをして入ってしまうと大きなギャップになってしまいます。今回は、「これを求めて社内SEに行ったのに思ったのと違った!」となるケースをいくつかご紹介しますので、参考にしていただき、業務内容をきちんと理解した上で選択していただけたらと思います。

よくあるケース① 顧客側で管理する側に行けば楽だと思った。

「SIerに指示を出す側になれるから楽になるのかも?」。結構聞くパターンです。が、社内SEは楽ではありません。(もちろん楽に感じる方もいらっしゃると思いますが…。)
例えば、規模の小さな事業会社の場合、役割分けが無く想像の何倍も何でも屋さんにならないといけないケースがあります。アプリエンジニアとして入ったとしても、気付いたらインフラもヘルプデスクも、PC管理もやれば、セキュリティも見なければいけない…など。一人で何役もやらないといけないので残業時間が多くなってしまう場合もあります。

また、障害発生時の対応も大変です。障害発生時の調査をSIerがやるケースも多いので、「社内SEは障害対応しなくて良くて良いよな~」と思われる方もいるかもしれませんが、事業会社の方々も同じように障害対応をしていますし、例え技術的なところをSIerに任せたとしても、最終的に責任を問われるのは事業会社側です。SIerに見えていないところで、経営層への報告など精神的に負担の大きな仕事を担っています。
あとは、一般ユーザー向けにサービスを展開している事業会社であれば土日祝日関係ないことも多いので、その場合はシフト出社になる事もあります。

このような感じで、SIerからは見えていない社内SEの大変さがありますので、漠然と「楽かもな~」と思っている方は再度考えていただいた方が良いです。

よくあるケース② システム企画に携われると思った。

「システム企画、IT戦略に携わりたい!上流がやりたい!」という事で社内SEを志す人もいらっしゃいます。ただ、事業会社はいつでも企画をしているわけでは無いので注意が必要です。
DX企画室のように企画が独立していてそこに配属になれば企画専門でやっていくことができるはずですが、そうではない場合、事業会社は何よりも安定稼働が第一になりますので、想像以上に運用保守が多い場合があります。
特に人数の少ない情シスの場合は、運用でいっぱいいっぱいで実際は企画まで手が回らないという場合も多いため、実際の業務割合がどうなのかというのは確認必須です。

よくあるケース③ 技術力をのばせると思った。

SIerと同じような感じで社内SEでも技術力がのばせるはず!と思っている方もいます。
もちろん内製でやっている事業会社であれば技術力をのばせますが、SIerに任せている場合は、要件定義や運用保守だけでそれ以外の作る部分には関われないとなる可能性もあります。
想像以上に調整ばかりでこんなはずじゃなかったとなるケースもありますので、開発にも関わっていたい方は、どれくらい内製しているのかどこまで技術に関われるのかは必ず確認しましょう。

よくあるケース④ 固定のメンバーで働けるから長期就業がしやすいと思った。

SES契約で数か月で案件を変わってきた方の中には、ずっと同じ場所で働けるからという理由で社内SEを希望される方もいらっしゃいます。
たしかに社内SEになると基本的には同じ場所で働き続けることができるのですが、逆に言えば、SIerやSESと違って環境を変えたいと思っても変われないというリスクがあります。合わない人が居た場合にも、小さな情シスであれば特定の人と働かざるを得ないため、プロジェクトや環境を変えることはできません。
どんな人と働く事になるのか、社風と合いそうか・馴染めそうかは、SIer以上に重要になると思います。

よくあるケース⑤ 顧客対応が無くなりストレスから解放されると思った。

「情シスに行けば顧客対応がなくなりストレスから解放されるのでは?」と思う方もいらっしゃいます。が、間接部門と捉えられるが故の辛さもあります。
事業会社は自社で持っているサービスの成長が第一なので、数字を上げる営業やサービスを作り上げる開発の方々は活躍が見えやすいです。一方で、社内SEは日々のシステム運用を支える縁の下の力持ちになるため中々活躍が見えづらく、評価されづらいという面があります。
DXの重要性が高まっておりIT人材への評価が高まっている企業ももちろん増えてはきていますが、まだまだ社員の意識としてはそこまでという場合も多く、もどかしい想いをする事もあるかもしれません。

社内SEでよく起こりやすいギャップをまとめました。
「やっぱり違った!」とならないよう、社内SEへの漠然とした憧れではなく、どのような業務内容になるのかキャリアがどうなるのか知って考えた上で選んでいただきたいです。

筆者 古川 珠里
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