転職成功者の声

転職を決意したきっかけや入社の決め手、今後のキャリアパスなど、
リーベルの支援で転職を果たした人たちのリアルな声をお届けします。

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PwC Japan有限責任監査法人

A.Tさん

SAP専業ベンダーからPwC Japan有限責任監査法人へ
新卒で就職せず、出遅れたキャリアを巻き返す

プロフィール
北海道小樽市出身。地元の高校から東京大学に進学。卒業後、1年半のアルバイト期間を経て、SAP専業ベンダーに就職し、SAP ERPの運用サポート、設計やテスト、新規導入プロジェクトを経験する。システムの運用やリプレイスを超え、顧客の業務や事業の改善提案に仕事の幅を広げるため、転職を決意。リーベルの支援を受けて転職活動を行い、PwC Japan有限責任監査法人の内定を獲得、入社を果たした。
東京大学経済学部で学び、臨んだ就職活動。しかし、当時は社会人として働いていく強い意志が持てず、アルバイトを続けて何がしたいのかを模索し続けた。
1年半後、気持ちの整理が付き、得意の論理的思考力を活かせるIT業界に進むことを決意。中堅のSAP専業ベンダーで社会への第一歩を踏み出した。
持ち場は、会計領域のコンサルティング。客先に常駐して経理業務とシステム導入を兼務で行う異例の案件に抜てきされ、社内外から高い評価を得た。
そして、入社から2年が経ち、より顧客の業務改善に役立つ仕事がしたいと考えるように。それには、転職して外の世界でチャンスをつかむしかない——。
今回は、同じ大学の出身でリーベル代表取締役の田中祐介が、PwC Japan有限責任監査法人の内定を獲得するまでのいきさつを、対談で直接聞いた。

アルバイト生活に見切りをつけ、SAP専業ベンダーへ

大学を卒業後、アルバイト期間を経て入社したのは、地方を拠点とするSAP専業ベンダー。就職先にIT業界を選んだこと、さらにその会社を選んだ理由は、実に明快な論理から導き出された答えだった。

リーベル代表取締役の田中祐介(以下、田中):大学卒業後、すぐに就職せず、いったんアルバイト生活に入られていますね。

Tさん:就職活動をして入社できる会社もあったのですが、すごくやりたい!と思えるものがまだなく、このまま社会人になって働いてよいのかと思い、就職せずにアルバイトを1年半続けることになりました。その後、気持ちの整理が付き、自分も社会に出ようと思って選んだ会社が地方を拠点とする中堅のSAP専業ベンダーです。IT業界を選んだのは、私が物事を論理的に構築し、検討していくプロセスが得意であり、IT業界の仕事の進め方と親和性が高いと思ったから。加えて、その中堅ベンダーを選んだ理由は、人事と会長による一度だけの面接で採否が決まったことから、物事の進め方や意思決定のスピードが速いと感じたこと。そして、仕事内容がSAPという具体的なスキルを身に付けられるものだったからです。

田中:しっかりと合理的に会社を選んで社会に出られたわけですね。どのような業務を担ったのですか?

Tさん:最初の1年は既存顧客のSAP ERPのサポートとアドオンプログラムの設計、テスト実施など。サポートでは問題発生時に原因と対策を効率的に考えていく処理能力が身に付きました。さらに次の1年は客先に常駐し、SAP ERPを導入するプロジェクトを担当。要件定義をサポートしながら、工場の経理部で経理業務そのものも行う前例のない契約形態の業務を担いました。本来なら3年以上の経験を持つSAPコンサルタントが対応すべき案件でしたが、当時まだ1年程度の経験しかなかった私を社長が抜擢してアサイン。契約は何度も更新されて1年3カ月に及び、自社の上層部や顧客から高く評価されたのです。

田中:顧客の業務を行いながらシステムを構築していく手法は、一部のSIerが取り入れていますね。私も以前、SIerに勤めていた時に経験しています。業務を行いながらの方がシステムに落とし込みやすいことがメリット。ただ、顧客は予算確保、ベンダー側は人材を用意するのが課題になります。Tさんが若くしてその難しいポジションをこなされ、高い金額を払ってでも顧客が契約の継続を希望した点は、人材としてのスキルの高さをうかがわせる話だと思います。

Tさん:経理業務を担う上で顧客から信頼感を得るために、日商簿記検定1級も取得しました。一般的に500〜1000時間の勉強が必要と言われる中、最小の500時間での取得を決意。表計算ソフトで何を何時間勉強したかを記録し、時間をかけた割に理解が足りない場合は、勉強の方法を変えるなど工夫。ほぼ目標時間での合格を果たし、客先からの信頼がより厚くなりました。勉強の成果を活かし、経理業務では工場の工数削減のためのデータをまとめて提供したり、月次決算業務のスピードを高めるためのフォーマットを表計算ソフトで自作して共有したりするなど業務改善にも取り組み、少しでも多く貢献する努力を続けたのです。

離職して臨んだ転職活動で、なぜリーベルを選んだのか

2年でSAPの保守運用から導入コンサルティングまでを経験し、スペシャリストとしての道も見えてきた。しかし、決断したのは転職によるキャリアチェンジ。入社して2年で、どのような心境の変化が起こったのだろうか。

田中:入社して2年、25歳の若さで転職を考えるようになりました。きっかけは何でしょう。

Tさん:私が携わったプロジェクトは既存のシステムのリプレイスがメインです。顧客側にはそもそも改善につなげていく思惑がなく、私の思いとは合致しない案件でした。その中でも何とか少しでも業務改善に役立てばと、自分なりに動いてみましたが、リプレイスがメインのプロジェクトの中では限界があります。このまま導入コンサルティングを続け、SAPのスペシャリストになるのが私のやりたいことなのか。改めて考えた時、答えはノーでした。もっと業務や事業を改善する、難易度の高い仕事に携わり、顧客への貢献を実感したい。そう考えて、プロジェクトが終了するタイミングで、会社を辞めたのです。

田中:在職中に転職活動を行う方が大半の中、思い切った決断です。

Tさん:次のプロジェクトにアサインされると、転職先が決まった場合、途中で抜けるか、しばらく辞められなくなってしまいます。また、当時の勤務地が地方で、東京など大都市への出張がない中、転職活動に支障をきたすと考えたことも離職した理由です。

田中:転職活動では数々のエージェントからリーベルを支援先に選んでくださいましたね。

Tさん:転職サイトに登録すると、さまざまなエージェントから案件が送られてきます。私の前職に絡め、ほとんどがSAP関連の求人案件でした。そうした中、リーベルだけはSAPではなく、一定のシステム導入に依存しないコンサルティング会社の求人案件を提案してきたので、思わず目にとどまったのです。スカウトメールの内容も、職務経歴書を読み込んだ跡がうかがえ、各プロジェクトで私が考えていたこと、今思っていることを、的確に分析している文面でした。ここまで自分の心を見透かせるエージェントなら頼りにできる。それが、支援を依頼することに決めた理由です。

田中:SAP案件は他のエージェントから数多く届いていることが目に見えていました。ですから、私はTさんの立場になって考え、SAPとは違う道もあることを提案したかったのです。他の人材紹介会社と差別化するという意味合いもありましたが。

Tさん:そして、実際にリーベルの担当者(田中)と会って面談した時に感じたのは、ヒアリングで応募者の思いを引き出すのに長けていることです。転職して何をしたいのか、どうなりたいのかは、応募者が必ずしも全て見えているわけではありません。自分でも気づいていないことも多々あるわけです。その潜在的な深層心理をヒアリングの中で引き出しいく点は、お世辞抜きで、他のエージェントより優れていると思います。

田中:そこは私たちにとっても難しく、いつも苦労する点。ご本人が考えてきたことや結論は基本的に尊重したいと思っています。ただ、応募者の方々は限られた情報の中で、ひとまず結論を出されていることが多いのも事実です。私たちが本当の思いを引き出したり、情報を多く提供したりすれば、考える幅が広がり、選択肢も多くなります。その中で改めて考えていただくのがエージェントの役割です。
求人の提案幅を広げるにあたっても、何を大切にしているのか、どのような性格なのか、といったことを加味するようにしています。求人は山ほどあり、どれもこれも全て受けてみてくださいというのが一番簡単なやり方。けれど、それではエージェントの価値はないでしょう。

Tさん:とりあえず全て応募してくださいというエージェントも確かにありました。逆にリーベルは、勧めてくれますが、「受けてください」とは言わない。最終的には本人が決めるべきという、自分にとってやりやすいスタンスでした。

面接の失敗を次に生かし、希望のキャリアをつかみとる

本人の思いを引き出すヒアリングと求人案件のマッチングで応募先は4社に絞られた。書類選考が通り、面接に挑んだが、最初の面接で不採用の結果が出てしまう。だが、そこからが始まり。見事リカバリーし、PwC Japan有限責任監査法人の内定をつかみとった。

田中:最終的に応募先を、PwC Japan有限責任監査法人を含む監査法人系と、会計・経理が得意なITベンダーの会社など4社に絞りました。監査法人系で強みを活かしつつ仕事の幅を広げていくか、あるいは会計・経理×ITでスペシャリティを深めていくか。2つのキャリアを見据え、面接を行っていく中で答えを出していく戦略でした。

Tさん:しかし、最初の会計系ITベンダーの面接で東大時代のことを聞かれ、答えに詰まってしどろもどろになってしまったのです。緊張していたこと、大学時代のことは整理できておらず答えを用意していなかったことが原因。そのつまずきから、全体的にも失敗面接になり、落ちてしまいました。
ただし、その日の夜に反省。大学時代は文科三類(文学部、教育学部系)から、数学好きと論理的に物事を構築する能力を活かすためにあえて経済学部に進み、自分の性格に合う学部を選んだ話を軸にエピソードをインプット。結果、後日行われたPwC Japan有限責任監査法人の面接で同じ質問を聞かれ、落ち着いて回答することができたのです。

田中:ご自身で修正する能力が高いですね。経理での業務改善の話や簿記の勉強のプロセスにも表れていると思います。転職活動でも失敗は付きもの。実は、それを生かすかどうかが勝負の分かれ目で、失敗を生かせる方が、自分が求めるキャリアをつかめるのです。最終的にPwC Japan有限責任監査法人からは内定が出ましたが、どの点が評価されたと聞いていますか?

Tさん:面接官が特に注意深く見ていたのは、瞬発力。とっさの質問に瞬間的に考えて答える能力です。面接では私が関わったプロジェクトについて、SAPの導入以外で顧客の課題を解決するとしたら、どのように提案するかを、深く突っ込んで聞かれました。予想していなかった質問でしたが、その場で考えて回答。面接官はその答え方を見て、「会計もITの能力も突出しているわけではないが、“総合力”がある」と判断。それが採用を決めたポイントだと後日説明を受けました。

田中:Tさんは、瞬発力に加え、論理的思考力、コミュニケーション力というコンサルタントに必要な3つの要素を兼ね備えています。実績やスキルが飛びぬけていなくても、総合的に高いポテンシャルがある点が評価されたわけですね。

Tさん:社会人経験は2年と浅い今、「PwC Japan有限責任監査法人の一員になって、今後何をしていくか見定めた上で、そこに注力していけばあなたは伸びる」とも言われました。一方で、「早く注力する分野を決めないと、能力が埋もれてしまうリスクがある」とも。人物に対してもプラス面とマイナス面の評価ができるこの会社はすごい。ここで働けば自分の将来が見えてくるに違いない。そう実感し、PwC Japan有限責任監査法人への入社を決めたのです。

キャリア形成で重要な仕事の“意味付け”

卒業後、一時はアルバイト生活でモラトリアムな時間を過ごしたが、そこからはい上がり、今はトップクラスの企業でハイキャリアを積もうとしている。自身のこれまでを振り返って、何を思うのか。最後に率直な気持ちを語っていただいた。

田中:会社を辞めて臨んだ転職活動ですが、結果的にご自身が望む会社に進むことができたと思います。

Tさん:辞めてからの転職はリスクがあり、賛否両論があると思います。ですが、自分に合ったエージェントを選んだことで、活路を開くことができたと考えています。特に良かったことは、自分の経歴の棚卸しができたこと。各プロジェクトで何を考え、どう行動して成果を生んだのか、もしくは失敗したのか。整理すると、それぞれの仕事の“意味付け”ができ、自分の強みや足りない点、理想のキャリアを積むには今後どうしていくべきかが、クリアになります。これは転職をするにしろ、しないにしろ、定期的に行っていくことが、キャリアを形成していくうえで不可欠だと、今は痛感しています。

田中:転職をご支援する時は、ご自身がやってきた仕事にはどういう意味があるのか、強みな何なのかを棚卸ししていただくことを、私も面談では意識して促しています。願わくば、この棚卸しの経験をその後の転職先でも生かしてほしいですね。転職活動をきっかけとして、仕事の価値や意義などを問う癖が付き、自分自身の力でキャリアを作れるようになることは、転職活動の利点の1つかもしれません。

Tさん:ところで、もし私が辞める前にリーベルに相談に来ていたら、どのようなアドバイスをいただけたでしょうか。

田中:まず「本当に辞めなければならないのか」と聞きます。Tさんは、システム導入と経理業務を兼務する、稀有な形態の仕事を任されており、会社からの期待も大きかったと推察します。会社には大小さまざまなプロジェクトがあるでしょうし、残って成長する道もあると考えるからです。ただし、質問を重ねた結果、残る道がなく、辞める意志も固いと分かれば、全力で転職を支援します。ご本人にとってどのようなキャリアが最善なのか。それを常に考えてサポートするのが、私たちの役目です。
では、最後に転職を考えている方たちへ、エールをお願いします。

Tさん:一般的に新卒の就職は有利であり、いわゆる“新卒カード”は最強という意見がネット上では多く聞かれます。私はその機会を逃してしまいましたが、一念発起して就職した会社で、顧客に貢献することを第一に考えて仕事に打ち込んだ結果、評価も得られ、自分の進むべき道を切り拓くことができました。ですから、社会人としてのスタートがうまく切れなくても、決してあきらめないでほしい。転職活動の面接でもモラトリアム期間について、突っ込んで聞いたり、批判的だったりする企業はなく、不利になることはありませんでした。私にとって必要な時間だった。今ではそう思います。

田中:実体験からの貴重なアドバイスですね。Tさんの言葉に背中を押される方も多いと思います。ありがとうございました。

ライター プロフィール

高橋 学(たかはし・まなぶ)
1969年東京生まれ。幼少期は社会主義全盛のロシアで過ごす。中央大学商学部経営学科卒業後、1994年からフリーライターに。近年注力するジャンルは、ビジネス、キャリア、アート、消費トレンドなど。現在は日経トレンディや日経ビジネスムック、ダイヤモンドオンラインなどで執筆。
◇主な著書
『新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『新版 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『「場回し」の技術』(光文社)など。
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