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第1279章
2026/09/04

ITコンサルティングファームとSIerの違い

「ITコンサルファームは、経営・業務課題を起点にIT戦略やシステム化構想などの上流を担い、SIerは、その構想や要求をもとにシステムを設計・開発する」

転職活動をご支援するなかで、ITコンサルファームとSIerの違いについて、このように捉えられている方にしばしばお会いします。

もちろん、大きな区分けとして間違っているわけではありません。ただ、実際のIT業界を見ると、両者の仕事内容はそれほどきれいに分かれていません。
企業によっては、ある情報サイトでは「ITコンサルファーム」に分類されている一方で、別の情報サイトでは「SIer」に分類されていることもあります。「結局どちらなのか」と疑問に思われた経験がある方もいるのではないでしょうか。

それだけ、現在のIT業界ではITコンサルファームとSIerの境界が曖昧になっています。

そこで本コラムでは、一般的に捉えられている両者の違いを整理したうえで、実際の業務内容やその境界についてお伝えしていきます。

一般的に持たれているITコンサルティングファームとSIerのイメージ

まずは、一般的に持たれている両者のイメージから整理してみます。

ITコンサルファームは、企業の経営課題や業務課題を起点として、IT戦略やDX構想、システム化構想・計画などを考える。
一方、SIerは、企業の要求をもとに、要件定義からリリース、保守・運用といった工程を担い、実際にシステムを作り、動かしていく。

このようなイメージを持たれている方が多いのではないでしょうか。

また、ITコンサルファームについては、アクセンチュアやアビームコンサルティングなどに代表されるように、構想策定からリリース、保守・運用まで、SIerよりも広いスコープを一気通貫で担うというイメージを持たれている方もいると思います。

ITコンサルファームのイメージを2パターンご紹介しましたが、共通しているのは、ITコンサルファームは経営・業務課題を起点としてSIerよりも上流から携わり、SIerはシステム開発を中心に担う、という捉え方です。

これが、多くの方が持たれているITコンサルファームとSIerのイメージのように思います。

ITコンサルティングファームが多重請けSIerのような仕事をしていることもある

ところが、実際の仕事を見ていくと、この境界線はかなり曖昧です。

私はIT業界に15年ほど身を置き、現職で各企業の求人や業務内容を知る中で、「〇〇コンサルティング」といった名称の企業でも、一次請けSIerのもとで、プロジェクトの進捗管理や、設計・開発支援などをメインの業務としている会社を多く見てきました。

ITコンサルファームを謳っている企業の業務が、実態としてITコンサルではない、と言いたいわけではありません。

ここでお伝えしたいのは、ITコンサルファームと呼ばれる企業であっても、その会社の業務領域や、プロジェクトの中でどのような役割を担っているのかはさまざまだということです。

一方、SIerがITコンサルティングファームのような仕事をしていることもある

逆のケースもあります。
NTTデータやNRI(エンジニア部門)などの大手SIerでは、要件定義から参画するプロジェクトばかりではありません。顧客が何を実現したいのか、どのような業務課題を解決したいのか、そのためにITをどう活用するのか、といったところから入り、システム化構想、システム化計画など、要件定義より前の工程から関与するケースも多くあります。

そう考えると、「SIerはクライアントから要求されたシステムを作る会社」と一括りにすることも、実態とは少し違います。

「あれ、ITコンサルファームとSIerが逆転していないか?」

はい。私自身、IT業界に身を置きながら、そう感じてきました。

会社単位で見れば、一般的に持たれているITコンサルファームとSIerのイメージが逆転していることもあるのです。

企業選びでは「ITコンサルティングファーム」「SIer」という分類だけで判断しない

これらを踏まえ、転職先を選ぶ際には、「ITコンサルファーム」「SIer」という業界分類や、求人票の職種名だけで判断しないことが大切です。

会社名に「コンサルティング」が入っている。求人票の職種名が「ITコンサルタント」になっている。それだけで、「顧客の経営・業務課題を整理し、ITやDXによる解決策を考える仕事ができる」と判断するのは危険です。反対に、「SIerだから上流の仕事はできない」と決めつける必要もありません。

ここまでお伝えしてきたように、ITコンサルファームにもSIerにも、さまざまな会社があります。経営課題の整理や構想策定から入る会社もあれば、プロジェクト管理を強みとする会社もあり、システム開発を強みとする会社もあります。

  • 契約先は、発注元の事業会社なのか、一次請けの他ファームやSIerなのか。
  • 契約形態は、派遣なのか、準委任なのか、請負なのか。
  • システム開発の受注なのか、コンサル支援や技術支援としての参画なのか。
  • プロジェクトのどの工程から参画し、自社がどこまでを担当するのか。
  • 自社が担当する範囲のなかで、協力会社へ委託する領域はあるのか。

こうした点を確認することで、実際の役割や業務が見えてくると思います。
そのうえで、IT戦略やシステム化構想を考えたいのか。要件定義から開発まで一気通貫で経験したいのか。あるいは、大規模なシステム開発のプロジェクトマネジメントをしたいのか。自分がやりたい仕事と照らし合わせて、企業を選んでいくことをおすすめします。

企業を選択するときには、ぜひそこまで踏み込んで検討いただきたいと思います。せっかく時間と労力をかけて転職したにもかかわらず、「思っていた仕事と違った」とならないためにも。

筆者 山岸 城太郎

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