
- プロフィール
- 私立大学卒業後、大手電機メーカー系列のグループ会社に入社し、営業職に従事。その後、コンサルタントを志し、中小企業向けコンサルティングファームに転職。経験を積んだ後、中堅企業向けに人事領域のコンサルティングを専門的に行うため、再度転職。さらに、大手企業向けコンサルティングを志望し、リーベルの支援を受けて丸紅グループのドルビックスコンサルティングに入社。
中小企業の経営者に対して助言をして、結果を出し、信頼を得る。営業職とは全く異なる仕事だった。打つ手によっては、その会社が良くも悪くもなる。重圧を感じた。
ただ、自分の助言によって、会社や働く社員を救い、成長させることもできる。やりがいを感じ、少しずつ力を付けていった。
30代半ばになり、ステップアップするために再度転職へ。中堅企業向けに人事領域の助言を行うコンサルタントとして、再スタートを切った。大規模案件やM&A後の人事統合案件も経験し、コンサルタントとしての腕を磨いた。
そして、さらに自分のバリューを高めるため、大企業向けコンサルティングファームを目指し、転職活動に臨んだ。支援を受けたのがリーベル。しかし、中堅企業向けと大企業向けのコンサルタントではレベルが違う。そこには越えがたい“分厚い壁”がある。
そうしたなかでも、リーベルの担当者と面接に向けてしっかりと準備し、面接官を前に持てる力を出し切った。結果、ドルビックスコンサルティングとの縁につながった。
営業職からコンサルタントへ。中小企業向けから、中堅企業向けを経て、大企業向けコンサルタントへ。いくつもの壁をどう突破してきたのか。本人に聞いた。
営業職からコンサルタントへと“最初の壁”を突破して転身
新卒で入社したのは大手電機メーカーのグループ会社。業務は工場向けFA機器のルート営業だった。だが、20代後半で一念発起。営業職から思い切って転身し、コンサルタントの道を歩み始めた。

—— 大学卒業後、仕事として営業職を選んだ理由は。
Oさん:FA機器の専門商社の営業職が面白そうだと思ったのと、大手企業のグループ会社であれば、社会人としての基礎力を身に付けられそうだと感じたからです。同社はルート営業が売上の9割を占めており、直接の顧客は工場ではなく、その手前の販売店や商社でした。仕事は、販売店や商社への売り込みや教育がメイン。親会社である大手電機メーカーの製品担当者とのやり取りも多く、関係各者とのリレーションの構築がキーでした。営業職ならではの飲みや会食の機会も頻繁にあり、いわゆる営業らしい世界に身を置いていました。
—— その後、コンサルタントへの転職を決意されます。
Oさん:20代後半で将来の自分のキャリアを考えた時、顧客により深く踏み込み、問題を解決していくコンサルタントという職種に興味を持ちました。調べてみると、厳しい世界であり、営業しか経験のない自分が果たしてできるのかと思いましたが、20代がコンサルタントに転身できる最後のチャンスではないかと考え、思い切って飛び込みました。
ただ、転職活動はかなり難航しました。転職エージェントの支援を受けながら数社応募したものの、新卒で営業に4年従事した程度の人材を受け入れてくれるコンサルティングファームはなかなか見つからず、書類選考すら通らない状況が続きました。
しかし、そんななかで手を差し伸べてくれたのが、母体が会計事務所で、中小企業向けのコンサルティングを手掛けているファームでした。その会社はコンサルティング未経験者でも採用しており、面接を受け入社に至ったのは私にとって幸運でした。
—— 晴れて、コンサルティングファームの一員になれたわけですね。
Oさん:そうなのですが、そこからも試練が待っていました。まず、入社してから数か月は試用期間で、先輩社員に同行するなかで適性を見極められます。また、経営上の数字を見るスキルが必要なため、簿記2級レベルの知識習得が求められました。そこでコンサルタントとして不適格と見なされたり、簿記の知識が習得できなかったりすると、退職を迫られるという過酷な状況。実際、辞めてしまった同期もいました。私は独学で何とかキャッチアップし、その関門をクリアすることができました。
ただし、そこからも厳しい指導は続きます。毎日、コンサルタントとしての知識やマインドを徹底的に叩きこまれました。
—— 営業職からコンサルタントになるのは並大抵のことではないのですね。
Oさん:そうですね。厳しく指導するのは考えてみれば当たり前のことで、もし私が間違った助言や提案をしてしまえば、それが原因で顧客が倒産してしまうこともあるからです。また、そのファームでは入社2年目以降は個々の社員に売上の目標値が設定され、顧客も複数受け持つようになります。目標値が達成されないと給料も下がる仕組みで、成果を出さないと顧客にも自分にも不利益になるため、私は心してコンサルティングという仕事と向き合うようになっていったのです。
—— 実際、成果は出たのでしょうか。
Oさん:徐々にですが、一定の成果を出せるようになっていきました。業績が低迷している企業は、経営上の数字を細かく見ていくと、どこかに改善点があるものです。その数字の見方を学び、悪い点を改善することで経営が上向くケースは多いのです。加えて、支援先の社員と私がうまくコミュニケーションを図れた点も奏功しました。社員は私たちのようなコンサルタントを快く思ってない場合もあり、関係性を円滑にして理解を得ることは、事業や業務を改善する上で不可欠だからです。そうした人間関係の構築には、新卒で勤めた会社の営業の経験が役立ったと考えています。
人事領域に活路を見いだし、「中堅企業向け」にステップアップ
コンサルタントとしてのスキルを少しずつ身に付け、成果を出したことが自信につながっていった。経営全般の支援を行うなか、新たに人事領域のコンサルティングにも注力。そうして人事領域に着眼したことが、その後のキャリアを変えた。
—— 成果を出すことによって自信が芽生え、さらに成果につながる好循環が生まれたようですね。
Oさん:3年目以降は常時10社程度の顧客を担当し、それぞれを毎月訪問し、適切な助言をしながら成果を出していく日々を送りました。「本当にこのやり方で正しいのか」を常に自問自答し、課題を探し続け、改善していく。それを顧客が評価し、契約を続けてもらうことで、最初のコンサルティングフィーの何倍もの売上を積み上げられる。これが最良のパターンで、私もその好循環を回せたと自負しています。
さらに、途中からは人事領域のコンサルティングも行うようになり、顧客企業の人事制度の構築や社員教育にも注力しました。当時いたファームでは人事領域のコンサルタントが少ないなかで、私は組織や人事の問題が改善されて社員が活き活きと働く姿を見るのが好きだったため、自ら手を挙げて携わりました。
—— 人事領域のコンサルティングに幅を広げたことが次へのステップにつながります。
Oさん:はい。コンサルタントとしてステップアップするため、人事領域に対してより専門的に携わることと、顧客の規模感を中堅企業に上げること、さらには毎月の訪問型から案件ごとのプロジェクト型に業務内容を変えることを目指し、再度転職しようと思いました。しかしながら、中小企業への訪問型と中堅企業へのプロジェクト型はコンサルティングのスタイルが全く異なり、この転職も非常に狭き門でした。最初はエージェントを介して複数の企業に応募しましたが、思うようにいかず、仕事も忙しくなったことから活動を中断。その後、自力で転職活動を行い、ようやく決まったのが今回の転職の直前まで勤めていたコンサルティングファームです。
—— 働き始めて違いはありましたか。
Oさん:全く違う仕事のスタイル・環境でした。コンサルティングファーム1社目は基本的に単独行動。身を粉にして働いて、成果を出し続けることが美徳とされていました。しかし、コンサルティングファーム2社目となる前職はチームで案件に対応し、勤怠管理や情報共有システムが整備され、非常にスマートに仕事を行うスタイルでした。コンサル1社目ではなかった「職位」という概念もあり、私はシニアコンサルタントを拝命し、組織で動くことを実感。人事領域のコンサルティングに集中することができ、合理的で非常に働きやすかったです。
—— 転職したことは正解で、有用な経験を積むことができたのですね。
Oさん:大規模な案件やM&A後の人事統合など、望んでいたプロジェクトに携わることができ、非常に有意義でした。顧客の企業規模が大きくなり、自分が行った人事制度の改善が多くの従業員に好影響を与え、ひいては社会にも役立っていることを実感できました。
—— 同社には2年弱在籍した後、再度転職を決意されます。きっかけは何でしょう。
Oさん:先輩のコンサルタントからの助言です。その方は、今は独立してコンサルティングファームを経営していますが、それまでに何度も転職している方でした。たまたま情報交換する機会があり、その際、転職によるステップアップの話を聞き、「大企業向けコンサルティングファームで自分を成長させたい」と考えるようになりました。当時は30代後半。私はコンサルタントとしてのキャリアに磨きをかけるため、再度転職活動を行う決心を固めたのです。

リーベルからの面接対策は「できるだけ適度な議論をすること」
3度目の転職活動。外資系大手コンサルティングファームなどに応募したものの、書類選考や面接で苦戦を強いられた。先行きに漂う不透明感。そんな時、一通の連絡が届く。リーベルからのスカウトメールだった。
—— 当初、外資系大手などに応募したものの、進展がなかったようですね。
Oさん:あるエージェントの勧めで応募してみましたが、結果は出ませんでした。そうしたなか、届いたのがリーベルからのメールです。文面には他のエージェントで提示されなかった初見の求人票の提案もあり、そのうちの一社が今回内定を獲得したドルビックスコンサルティングでした。「現職の人事領域におけるこういう経験が求人の条件にマッチしているためチャンスがある」と具体的な提案理由も書かれており、この担当者であれば信用できると考え、支援を依頼することにしました。
—— 求人票の提示に加えてどのような支援が役立ちましたか。
Oさん:面接対策として細やかな相談や助言を行ってくれたことです。そのなかでも印象に残っているのは、面接ではできるだけ議論につなげるよう意識するという助言。コンサルタントは日々意見をぶつけ合ったり、ディスカッションをしたりするのが仕事の一部だから、議論向きか否かは面接で評価されているというのがその理由でした。
例えば、「Oさんはコンサルティングを行うなかで、クライアントにどのような人だと思われていたか」と聞かれた場合です。経営者はコンサルタントの人物評価をあまり行わないため、「言われたことがないのでわからない」と答えることもできます。ただ、そう答えてしまったら議論になりません。そこで、「実際に言われたことはないが、自分はこういう風に対応してきたので、このように評価されている可能性がある」と、自分を客観視して回答することで、相手との議論が深まっていくわけです。
—— なるほど。今回は中堅企業向けから大企業向けコンサルティングファームへのステップアップですから、大企業向けの経験がないなか、何をアピールするかが重要ですね。
Oさん:そうです。私はコンサルタントとしての実績はありますが、あくまで中小・中堅企業向けがメインのため、その点では不利でした。何らかのアピール材料が必要であり、リーベルの担当者の助言通り「議論ができる」素養を訴求することが、多少なりともプラスに働くと思いました。
—— 実際、ドルビックスコンサルティングの面接はどうでしたか。
Oさん:リーベルの担当者がいうように、「ディスカッションをしてみましょう」と告げられ、面接官がその場で出したテーマに基づき、議論する機会がありました。テーマは「当社に入社したとして、自社の利益を数年間で1.5倍にするためにはどうすればよいか」というもの。私は、前職の会社では中小企業向けの広告宣伝費を多くかけていたこと、現職の会社ではさまざまな企業とパイプを構築して協業先を増やし、合同セミナーを行って契約数の増加を図ったことなどを例示。営業しなければ仕事が取れないなかで、苦労して案件を獲得してきた経験を話し、「そうした手法を応用すれば、売上や利益増大に寄与できる」と、自分なりの見解を示しました。
—— 実体験を交えて議論できたことは有効でしたね。
Oさん:私の回答が必ずしも正解ではないことは分かっています。中小・中堅企業向けの手法がそのまま大企業向けで通用するとも思っていません。ただ、突然出されたテーマに対して議論ができることを示せたのは、一定の評価につながったと考えています。
—— 逆に質問する機会があったとも聞いています。
Oさん:私からは、中小・中堅企業向けと大企業向けでは、コンサルティングの手法にどのような違いがあるのかと聞きました。面接官は、「人事制度の改善であれば、特に中小企業向けではカウンターパートが経営者になることが多いが、大企業向けでは人事担当者とやり取りして成果物を納品することになる」としたうえで、「成果物はその場にいない上層部も納得できるように、調査に基づいた根拠があるなど説得力のある納品物にする必要がある」と話されていました。私はその話に大いに共感し、「自分も中小企業から中堅企業へと顧客が変わる経験をしており、規模が違うと手法が異なることは実感している」と応対。そこでも活発な議論ができました。議論ができることもさることながら、顧客の規模が変わる経験があり、キャッチアップできたことも、「違う世界に飛び込んでも対応できそうな人物」といった面接官の評価につながったのではないかと思っています。
面接でも普段の仕事でも必要なのは「熱意」
ドルビックスコンサルティングの一員になることが決まった。面接は自己アピールの場となると同時に、企業と候補者が認識をすり合わせる機会にもなり、互いに納得したうえでの入社となった。大企業向けコンサルティングファームへの道を切り拓いた要因をどう考えるか。

—— 今回、希望していたキャリアを実現できた要因は。
Oさん:リーベルの担当者のアドバイス通り、面接でしっかり議論して自分の意見を伝えられたことであるのは前述の通り。それに加えて挙げるとすれば、私自身の熱意だと思います。最初に中小企業向けコンサルティングファームに入社した時も、「何が何でも一人前のコンサルタントになる」と心に決めて、日々の業務に取り組んでいました。今回、ドルビックスコンサルティングの面接でも「大企業向けコンサルティングという新しい領域に挑戦したい」という気持ちを前面に出し、自分の熱意を伝えることに力を注ぎました。もちろん、それは本心です。本心であるからこそ、面接官にも伝わったのではないかと思います。
—— 純粋な熱意や一生懸命に取り組むことは、シンプルですが大切ですね。
Oさん:これは仕事にも共通することかもしれませんが、私は、顧客のためを思って一生懸命頑張って成果を出すコンサルタントほど、顧客からの信頼が厚く、継続して色々なことを相談されると思うのです。基礎的な知識やスキルなど下地は必要ですが、そのうえで熱意を持っているか否かが顧客に好かれるどうかを左右するのではないかと。そうした熱意や人間力もコンサルタントとして重要な要素ではないでしょうか。
—— では、最後に同じように営業職からコンサルタント、あるいは、中小企業向けから大企業向けの案件に携わるコンサルタントを志望する方々へメッセージを。
Oさん:コンサルタントになりたいと思った原点は、実際に苦労している顧客の経営者や社員の方々を見て、何とか力になりたいと思ったことです。もし、そんな風にコンサルタントとして経営者を助けたい、会社の力になりたいという気持ちがあるなら、後は、本気で情報収集し、面接対策をしっかり行うだけです。そうすれば、希望は拓けるのではないかと思います。
—— 何のためにコンサルタントになりたいのか、自分の心に問うことが重要ですね。そして、本気で目指すならエージェント選びも含めて、それが実現できる態勢を組み、万全の準備をすること。貴重な体験と考えをお話しいただき、ありがとうございました。
ライター プロフィール
- 高橋 学(たかはし・まなぶ)
- 1969年東京生まれ。幼少期は社会主義全盛のロシアで過ごす。中央大学商学部経営学科卒業後、1994年からフリーライターに。近年注力するジャンルは、ビジネス、キャリア、アート、消費トレンドなど。現在は日経トレンディや日経ビジネスムック、ダイヤモンドオンラインなどで執筆。
- ◇主な著書
- 『新版 結局「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『新版 やっぱり「仕組み」を作った人が勝っている』(光文社)(荒濱一氏との共著)
『「場回し」の技術』(光文社)など。

