COLUMN
コラム:転職の技術
第752章
2016/06/17

私には何が必要か

— 面接で聞かれる質問「何を勉強していますか?」 —

無知を知ること

面接で聞かれる質問で「今後、勉強をしたいと思っていることを教えてください」「今、興味を持っている技術はありますか」といった、自己学習に関する話があります。

この質問、当たり前ですが付け焼刃で回答出来るほど甘くはありません。面接に向けて準備をしているようでは、正直かなり厳しいでしょう。普段から、自分にとって何が必要で学ぶべき事なのか、客観的かつ主観的に押さえておかなければなりません。

まず学ぶべき事を知るには、自分は何が出来て、何が出来ないかを把握しておく必要があります。中でも「何が出来るか」は分かっても、「何が出来ないのか」は意外と押さえられていないものです。「無知の知」という言葉がありますが、自分が知らない(≒出来ない)という事実にすら気付かず、それに目を背けて生きる事の方が楽なものです。遥か昔の人達もそれを知っていました。ただ目の前の仕事だけを見ていても、危機感は生まれません。

外部の仕事を知ること

無知を知る為には、自分の仕事のレベル感を理解する必要があります。

まず前提として、仕事上求められた技術・知識を身に付けるのは当然です。ゆえに経験してきた仕事内容に囚われず、自分のスキルセットが世の中一般のレベル感と照らし合わせ、どこがプラスでどこがマイナスなのかを理解しなければなりません。
一つのやり方として、廻りの先輩や協力会社の人と自分を比べ、自分と何が違うのかを考えてみる事でしょう。仕事の役割とは関係無く、相手の仕事ぶりに自分のスキルを照らし合わせて、無知を知り、学ぶべき事を学ぶのです。

またもう一つは、自分の廻りではなく外部からの刺激によって無知を知る事です。競合他社ではどんな仕事をしていて、そこで働く社員は何を重視しているのか。そこから自分の現在地をよりフラットに知る事が出来ます。幸い今ではインターネットでどんな情報でも仕入れる事が可能です。プロジェクトの事例、最新のソリューションメニュー、新たな言語や技術など、自分の経験以外の情報を集めれば、俯瞰的に己を理解する事が出来ます。

世界を知る事、そして自分を知る事

ここまでは「今の自分に不足している事」を主眼に置いてきましたが、次は「今後の自分に必要な事」へと学びのポイントに移ります。自分をよりステップアップさせる為の学びです。

これも外部からの情報がインプットになりえますが、よりマクロ的な視点で学ぶべきポイントを見いだす事が肝要だと私は思います。テクノロジーの進化ももちろんですが、経済の変化やユーザーリテラシーの成熟、セキュリティ意識の向上、経営のグローバル化など、あらゆる世の中の変化がエンジニアにとってチャンスでもあり、また脅威でもあります。
世の中が変われば、そこに必ず ITが必要です。開発する人/サービスを使う人/そこにお金を投資する人など、それぞれの意識が変化して、新たなITが生まれ、古いITは廃れていきます。それを押さえるには、絶対に技術だけを追っていてはダメでしょう。広い視点で世の中を知ることです。

そして最後に、自分を知る事です。どんなに良い技術や知識が合っても、持って生まれた自分の良さが生かせていないと意味がありません。また根本的に自分の興味が沸く分野でなければ、学びにも本腰が入らないでしょう。
自分の良さが、世の中の変化へどう繋がるのか。そのストーリーの先に、自分に必要な学びがあると思います。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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