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第1258章
2026/03/27

面接で「あなたにとってのリーダーシップは?」と聞かれたら

リーダーを経験されてきた方は、転職後もリーダーとしての活躍を期待されるため、面接でリーダーシップを発揮したエピソードを聞かれることがあります。その場合は、経験されてきたことを具体的に話せばよいのですが、時に以下のような質問をされることがあります。

「あなたにとってのリーダーシップとはどういうものですか?」

質問の仕方としてはシンプルですが、意外にぱっと回答をすることが難しい質問ではないでしょうか。

「意思決定を主導し、方向性を明確にすること」と答えるべきでしょうか。それとも、「メンバーの意見に親身に耳を傾け、尊重しながら進めること」と答えるべきでしょうか。

何を答えれば面接官に評価されるのかが分かりにくい質問の一つのため、このコラムではリーダーシップ像を問われたときの回答の方向性についてお伝えいたします。

そもそもリーダーシップにはどんな類型があるのか

リーダーシップは、それだけで一つの学問が成り立つくらい、古くから研究をされてきた分野です。PM理論やSL理論をはじめ、リーダーシップに関する理論は多数ありますし、リーダーの類型としても、指示型、自由放任型、サーバントリーダー、変革型、カリスマ型など、リーダーシップを表す言葉もかなりの数があります。しかも、それぞれがまったく別物というよりは、似たような考え方を違う言葉で表現していることも少なくありません。

私は前職にて10数年、システム開発の現場に身を置いてきました。その中で、たくさんのリーダーやプロジェクトマネージャーを見てきましたし、自らも大規模プロジェクトのプロジェクトマネージャーを経験してきたのですが、その中で、リーダーシップは大きく3つに分けられると整理しています。

  1. 意思決定を主導し、方向性を明確にする(指示型)
  2. 一緒に考える(関与型)
  3. 支える(支援型)

以下、それぞれのリーダーシップについて簡単に説明します。

1. 思決定を主導し、方向性を明確にする-指示型
状況を踏まえてリーダーが判断を下し、優先順位や進め方を明確に示してチームを動かす関わり方

2. 一緒に考える-関与型
メンバーの意見や知見を引き出しながら、議論を通じて方向性を定めていく関わり方

3. 支える-支援型
メンバーが力を発揮できるよう環境や状況を整え、主体的な動きを後押しする関わり方

さて、リーダーシップを3つに類型化したとして、この3つのリーダーシップのいずれかに当てはまっていれば、それがその人にとっての正解なのでしょうか。

例えば、解決が最優先の障害対応の場合はどうでしょう。リーダーとメンバーで悠長に解決策を議論している余裕はありません。リーダーは迅速に状況を理解し、何をすべきかを判断し、優先順位を示しながらメンバーを適切に動かして復旧作業を進めていく必要があります。この場合は②や③よりも①のリーダーシップが有効でしょう。

一方で、大規模プロジェクトなど、リーダーよりもメンバーの方が高い業務専門性や技術専門性を持っているケースではどうでしょうか。リーダーが全てを指示することが現実的に難しいため、リーダーがメンバーから意見を引き出しながら進めた方が良い結果になることが多いです。この場合は①よりも②や③のリーダーシップが有効です。

つまり、どれか一つが正解、というものではなく、場面により使い分けるもの、というのが私の長年のプロジェクトマネージャー経験から得た一つの解です。

印象的なリーダーシップの実例

それでは、「あなたにとってのリーダーシップとは?」と問われたときに、何を答えるのが正解なのでしょうか。類型化したのにどれか一つが正解というわけではない、となると、ますます混乱してしまいますよね。

回答のヒントとして、ここでひとつ、前職で印象に残っている実体験をご紹介します。

入社後に配属されたチームで、タスクを抱え込みがちなリーダーがいました。メンバーに仕事を振るのが余り得意ではなく、自分で何とかしようとするタイプの方です。決してリーダーとして理想的な振る舞いとは言えず、むしろアンチパターンの典型例です。実際、タスクが遅れることも少なくありませんでしたし、個人としてもチームとしても効率が良いとは言えませんでした。

では、そのチームはうまくいかなかったのでしょうか。いいえ、むしろ逆でした。

リーダーが着任した初期はうまく機能していない部分もありましたが、時間が経つにつれて、メンバーが「その仕事、自分がやります!」と手を挙げるようになったのです。なぜかと言いますと、リーダーは、とにかくメンバーを気遣っていたのです。メンバーに無理をさせたくない、大変な思いをさせたくない。その姿勢が、チーム全体に伝わっていたのです。結果として、メンバー全員の心の中に「このリーダーを助けたい」と思う気持ちが芽生え、各メンバーが主体的に動くチームになったわけです。

このケース、お手本とすべきリーダーシップではないかもしれません。ただ、確実にこのチームは機能していました。これもまた、理論で類型化はされていないものの、「チームメンバーを思いやることでチームが当事者意識を持って自律的に動けるようになる」という、リーダーシップの一つの形といえるのではないでしょうか。

もちろん、「自分でタスクを抱え、他人に助けてもらうことが私のリーダーシップです」と面接で答えることはできません。言えば確実に落とされるでしょう。ここで言いたかったことは、答えは一つではなく、類型化されたものが正解であるわけでもなく、様々なリーダーシップがあり、その人なりのリーダーシップがある、ということです。

面接でのリーダーシップ質問に対する回答は?

面接では、自分の実体験や観察をベースに回答をすることが重要です。自分がリーダーとして関わった場面で、どのような考えから、どういったリーダーシップを発揮し、結果、チームがどう動いたのか。あるいは、組織をうまくまとめあげたリーダーが、どういったリーダーシップを発揮し、何故自分たちの組織はうまく動いたのか。これらの内容を思い出し、整理したうえで説明することが求められます。

では、自分が発揮したリーダーシップ、あるいは見てきたリーダーシップであれば何でも良いのか。ここまでお伝えしてきた通り、「これが正解」というものはありません。

ですが、1つだけ明確な基準があります。それは、「メンバーがついてきたか」「このリーダーを担ぎたいと思われていたか」です。

どれだけ適切に判断し、迅速に指示を出していたとしても、メンバーが納得しておらず、動かないのであれば、そのリーダーシップは機能しているとは言えません。一方で、一見それってリーダーシップなのか?と思われるような振る舞いであっても、メンバーが納得し、同じ方向を向いて主体的に動いているのであれば、それは一般的に認知されているリーダーシップ像とは異なるかもしれませんが、立派に機能しているリーダーシップといえるのです。

そんな立派なリーダーシップなんて自分にはないよ・・・と思われる方もいるかもしれませんが、もし自分がリーダーをしてうまくいったプロジェクトがあるなら、類型化されているリーダーシップ像には当てはまらなくても、あなたならではのリーダーシップを発揮している可能性が高いです。それを言語化するのは難しいかもしれませんが、それこそが、実体験をベースにした、リーダーシップに関する質問への納得度の高い回答となり得るのです。

ご自身のこれまでの経験を、多少時間をかけてでも振り返りながら、ぜひ自分なりのリーダーシップを言語化してみてください。それが必ず、あなたのリーダーとしての強みとして伝わっていくはずです。

あなたの成功、心より願ってます。

筆者 山岸 城太郎

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