注目企業インタビュー

リーベルが探る、注目企業の強みと求める人材像。採用現場の生の声をお届けします。

SCデジタル株式会社

住友商事グループという確かな背景と、DXでマーケティングを革新する先進性。“マーケットを知るエンジニア”に成長できる舞台がここにある。

上席執行役員
CMO/データマーケティングビジネスユニット統括
村角 忠政 氏
SCデジタルは、住友商事のグループ企業の一つで、マーケティングの最適化・効率化を目的としたデジタルトランスフォーメーション (以下マーケティングDX)や、そのコンサルティングに携わっている。効果的なマーケティングは業態業種によって異なるため、SCデジタルはそれに合わせてソリューションを開発、実行し、効果を上げている。同社の村角忠政氏(上席執行役員、CMO/データマーケティングビジネスユニット統括)と佐藤道人氏(人事部)に、事業や人材について考え方を聞いた。

多種多様な事業会社のマーケティングDXを支援

SCデジタルの、SCとはSumitomo Corporationの頭文字。SCデジタルは総合商社である住友商事グループのIT系企業である。

総合商社と言えば、世界の隅々まで社員を送り出し、日本の輸出入を担う存在というのがひと昔前のイメージだった。「しかし、今はそうした貿易業務からの利益は全体の一部。大半の利益は住友商事が出資した事業会社から得ています」と、SCデジタル執行役員・CMOの村角忠政氏は語る。

事業会社は合わせて900社にもおよび、出資比率、企業規模、業種業態などはさまざまだ。一般的な知名度の高い企業としては、例えば、JCOM(ケーブルテレビ、インターネット)、サミット(食品スーパー)、トモズ(ドラッグストア)などがある。

DXによる変革の重要性を意識した住友商事グループは、本体の住友商事にDXセンターを2018年に設置した。SCデジタルはもともとはその機能の一部としてスタートし、現在、グループ企業のマーケティングDXを支援する専門企業として事業を推進している。

「千差万別とも言える事業会社に対し、マーケティングDXの戦略や手法を提供しています。またそこで得た知見を活用し、グループ外の企業へもサービスを提供しています」(村角氏)。マーケティングにもさまざまな側面があるが、SCデジタルの場合は、BtoC、つまりクライアント企業のその先にいる最終消費者を分析、判断してデジタル戦略を立案、実践できる点が強みである。

具体的な事業としては次がある。

まず、DXコンサルティングだ。マーケティング領域を軸として、クライアントの目的に応じた手法やデジタル技術を採用することで、最適なマーケティングDXの企画提案を行っている。

また、それらマーケティングDXに必要なシステムの導入・構築も合わせて行っている。クライアント企業に合わせてSalesforceやTreasure Dataなどの有力なプラットフォームを扱っているのに加え、スマホアプリの開発にも注力している。今やスマホは顧客との非常に重要なタッチポイントになっているからだ。

更には、マーケティングの運用、支援までも手がけているのが大きな特徴で、動画などのコンテンツの制作もしている。社内にはスタジオがあり、制作スタッフを置いて、撮影から運用まで行っている。「コンサルティングからコンテンツまで、一気通貫にできるのが強みだと思います」(同)

最近では業容を広げ、業務改革、BPR、BPOなどにも積極的に取り組んでいる。SCデジタルは住友商事の広報部門に社員を常駐させ、住友商事傘下の事業会社の広報業務の支援、ウェブサイトや映像の制作などを手がける。

変化する購買行動をDXで把握し、施策に反映させる

なぜ今、マーケティングDXが重要度を増しているのか。

「近年、エンドユーザー、消費者の購買行動が変わり、従来のマーケティング理論では解明できなくなっていることが大きいですね」(同)。SNS、リモートワーク、ECサイトなどが普及し、人々の購買行動が変化してきた。経済、社会の変容、技術の発展によってここからさらに変わっていくことも必然だろう。

ところが、従来型のマーケティングではどうしても人間の経験や感覚に頼って購買を判断しがちになる。そこをさまざまな手段で詳細なデータを収集、分析、判断して施策につなげていくのがマーケティングDXの真骨頂である。

また、クライアントは同業界の競合他社を意識していることも考えなくてはならない。メガバンクなら競合するメガバンクを、生活用品メーカーなら競合する生活用品メーカーを見ながら、事業戦略を立案しているため、各業界の横への視点も必要となる。

具体例を挙げてみよう。

首都圏中心に250店舗以上を展開するドラッグストアチェーンのトモズでは、3年ほど前までポイントカードが来店客情報を獲得する手段だった。しかし、来店客の属性については、お客様の任意入力だったため、取り切れていなかった。

「そこに対応するために、トモズがスマホアプリを導入して以降、One to Oneでお客様の行動がわかるようになりました。これを活用して、お客様の特性に合わせてメールでクーポンを送る、メーカーとともにキャンペーンを実施するなど施策も拡充。マーケティングが非常に効率化され、業績向上につながりました」(同)。

Tシャツなどの衣料品に留まらず、バッグなどファッション雑貨や、ホームグッズ、アウトドアグッズなど、様々なグラフィックアイテムの販売をおこなうグラニフは国内に100店舗近いオフライン店舗とECサイトを運営している。この会社に対してはECサイト内で複数のデジタルツールを組み合わせて使うことで販促効果を高めた。「これにより、デジタル提供のクーポン利用率が前年と比べて10倍くらいになりました」(同)。

こうした成果を上げるために、SCデジタルは各クライアントに合わせた緻密なUI、UX、CXなどを実現し、収益につなげることをねらう。情報の更新や配信のタイミングを考え、「受け手にとって抵抗感がなく、おトク感を得られる」内容やデザインなど、実態に即した施策を打っている。村角氏によれば、認知の領域でもPDCAサイクルを回すことはできるという。

「購買行動は感情という側面が大きい。購買者がどう感じるか、その心理を理解する必要があります。システムによって、感情とデジタルをつなぐ。私たちが手がけているのはこのことです」。

マーケティングにはさまざまな要素が影響するため、クライアント企業をどのような形で支援するかはケース・バイ・ケースとなる。「単なる外注先と見られてしまうとバリューを上げることはむずかしい。ですから、いかにお客様と一体化して取り組めるかを追求しています」(同)。

マーケターとのチームワークの中でエンジニアも成長

こうしたマーケティングDXの礎となる技術を担っているのが同社のエンジニアだ。その果たす役割は大きい。

村角氏は外資系IT企業のデータ・AI部門の要職にあった経験を持つ。SCデジタルに移ってからまず、さまざまな事業会社のマーケターだった人材を20人ほど採用した。そこに営業、エンジニア、アナリストなどの力を結集し、先進的なマーケティングDXを実現している。

「仕事は必ずチーム制で実施します。1チームは3人から10人くらいの編成。逆に言うと一人の社員が複数の案件に関わるようにしています。これによってマーケティングについてよく知らなかったエンジニアでも、マーケターと一緒に仕事をし、議論を重ねているうちに知見を蓄積できるという効果があります」(同)。技術とマーケティングのチームワークは人材育成にもつながっているのである。

村角氏は、SIerなどにいたエンジニアが、こうした企業に移るととまどうことがあるのは、SoR(System of Records)とSoE(System of Engagement)では、働き方や発想がまったく異なるためだと指摘する。

「SIerのシステムはSoRが主流でデリバリーのときの稼働率はほぼ100%です。しかし当社で扱うシステムはSoEなので、稼働率も段階的であることが珍しくありません。当社の仕事では、システムは完成した時点は終着点ではなく、出発点なのです」(同)。つまり、いかにマーケティングに効果を出せるシステムかどうかが問われる。そうした点に関心のあるエンジニアにとってSCデジタルは非常にやりがいのある場と言えるだろう。

また、SIerなどでずっと同じようなソリューションを扱ってきたエンジニアにとっては成長速度も魅力である。「当社ではクライアントの規模も業種も課題もさまざま。製品も次々に変わります。そのマーケティング施策を考え、他社と戦わなくてはならないので、同じ会社で同じことを続けているのと比べて、人の成長速度が圧倒的に速いのです」(同)。

SCデジタルの市場の実態に即したマーケティングDXは企業としての競争力につながっている。「大規模コンサルティングファームでも机上の空論に走っているケースはあって、我々が一からやり直したりする場合もあります。LTV(Life Time Value 顧客生涯価値)を高め、最終消費者やクライアントのロイヤリティを高める知見やノウハウはどこにも負けないと自負しています」(同)。

組織という点から見ると、住友商事グループに属しているだけに抜群の安定感があり、大企業から転職してくる人材もいる。安定的基盤と意思決定の速さ、チャレンジスピリットなど、ベンチャー的長所を両立している企業とも言えるだろう。

求めるのは、技術力とコミュニケーション力、そして新しいことへの関心

SCデジタルはエンジニア系人材に、どのような経験、資質を求めているのだろうか。

まず当然だが技術の知識、経験である。データベース、データ分析、クラウド、フロントエンド技術、スマホのアプリケーション開発などだ。「一般に、エンジニアでマーケティングの経験や知識を持つ方は、ほとんどいないと思います。ですから業種に関係なく、専門のITスキルをしっかり磨いてきた方であれば歓迎です」(同)。

次に、良い人間関係を築けるコミュニケーション力である。クライアントとの関係はもちろんだが、コンサルタント、マーケター、アナリストなど社内のメンバーとの関係も大切だ。「この仕事では、収集したデータを分析した数字から何を読み解くかが重要です。そのときに欠かせないのも、他のメンバーとのコミュニケーションです」(同)。

三番目が成長力だ。リスクを把握しつつ、やったことのないことをやろうとチャレンジする意欲。言わば「リスクあるチャレンジ」を楽しめる精神があることだ。

「当社では、初動のスピード感を非常に重視しています。だから完全主義になり過ぎて出遅れるよりも、70%の段階でも飛び出せるような起動力を大切にしたいですね」(同)。ただこのことは不完全主義とは異なる。一流商社の信用という点からも、SCデジタルは成果物には極めて厳格な品質管理をしている。またコンプライアンス、コーポレートガバナンスも非常にしっかりとしている。その安定感があるうえで、即断即決のスピードも活かせる組織と言える。

現在の体制になったのが2020年4月からで中途採用人材が大多数という企業なので、オンボーディングに慣れていることも、これから入社する人にとって助けになるだろう。

中途入社した社員は当初は、前職のバックグラウンドを活かせそうな分野から入ってもらい、そこを固めてから、徐々にチャレンジングな分野にアサインするようにしている。キャリアチェンジ志向のある人も歓迎だ。

「このようにOJTでの育成のほか、2週間に一回のペースで各種の勉強会を開催して学んでもらっています。テーマはプロジェクトに関係するナレッジ、社会の動向、海外の最新状況など多岐に渡ります」(同)。

業務は現在、リモートワークが主体だが、リアルなコミュニケーションの機会も設けている。

「新入社員のために、会社のオープンスペースを使ってちょっとしたウェルカムパーティを実施しています。またチームビルディングのための補助費として年間一人5万円を給付しています。使い道は自由でちょっとした飲み会やチーム旅行などに使えます」と人事部の佐藤道人氏。人事制度では、職種ごとにスキル、ケイパビリティの要件を明確に定め、それに則って、キャリアアップや方向性を決めている。

人事評価は、パフォーマンス評価とコンピテンシー評価の二軸でバランスを取って行っている。パフォーマンスは、規模、稼働率、収益など数字に見えやすい要素、コンピテンシーは、迅速さ、信頼度、チャレンジ精神など数字に見えにくい要素である。

「今、デジタルマーケティングに求められている潮流としてさらに進化したOne to Oneの追求があります。これまで実施されてきたOne to Oneマーケティングはまだ解像度が十分とは言えず、本当にリアルタイムに一人ひとりを追いかけることはできていませんでした。しかし生成AIなどの技術の発展もあってそれが可能になってきました。今後は、そうしたチャレンジも増やしていきたいですね」(村角氏)。

ここにはITエンジニアにとって、これまでにない、刺激ある舞台が広がっていると言えそうだ。

ライター プロフィール

織田 孝一(おだ・こういち)
1959年生まれ。学習院大学法学部政治学科卒業後、広告制作会社および人材採用サービス会社の制作ディレクターを経て、1989年にライターとして独立。ビジネス誌などの他、企業広報・採用関連の執筆も多い。現在注力しているジャンルは、科学技術、IT、人材戦略、農学、デザインなど。

リーベルコンサルタントから一言

お話を聞けば聞くほど、ユニークな立ち位置の企業だと感じます。
商社というバックボーンをフル活用しつつ、最先端のデジタルマーケティングを一気通貫で提供されているのは他社とは違った特徴です。関わるチャンスも多く、マーケティングDXには、コンサルティングファームや広告代理店など多様なプレイヤーが参入しているホットな業界です。
この成長領域で、エッジの立った明確な強みを有する同社。ご興味のある方は、是非一度お話を伺ってみてください。

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