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第1235章
2025/10/10

理性と感性で選ぶ、デジタル時代のキャリア

Webで完結する転職活動

最近では、Web面接が当たり前になりました。
一次面接どころか、最終面接までオンラインで完結し、企業に一度も足を運ばずに入社するケースも増えています。
それは、時間や交通費の面で効率的であり、理性的な選択でもあります。実際、IT業界で働く場面でもWebミーティングが多くなり、仕事も採用もかつてないほどスマートにこなせるようになりました。ただ、そんな時代だからこそ、対面で感じ得るものがあるようにも思います。
オフィスの空気感、社内の雰囲気、行き交う社員の方の印象──。そうした情報に対し、感性が反応する瞬間があるのも事実だと思います。
一方で、かつて主流だった訪問面接が少なくなり、今はそういった判断軸が減ってきたと感じています。

越後妻有の芸術祭より

今年の夏、新潟・越後妻有で開催されている芸術祭に参加して来ました。新潟の十日町を中心として開催されている「大地の芸術祭 越後妻有アートトリエンナーレ」は、新潟県越後妻有地域の広大な里山を舞台に、地域住民とアーティストが共に創り上げる国際的な現代アートの祭典です。芸術祭自体は3年に1度開催されていますが、通年行事としてもプログラムが開催され、廃校や空き家、農地など、地域の暮らしや自然を活かした作品が鑑賞できます。
その一つが清津峡の渓谷トンネル。元は観光用のトンネルだったこの場所は、アーティストの手により、幻想的な水鏡のアート空間へと生まれ変わり、渓谷の風景と合わせて神秘性がありました。また、かつて多くの生徒が通っていた廃校をリノベーションした美術館や、豊かな農地を舞台とした展示物、中越地震に対する鎮魂のアートなど、その土地に根ざした作品が堪能できました。
こういった芸術作品や鑑賞体験は「インスタレーション」と称されています。空間全体を作品として構成し、鑑賞者が体験するタイプのアートとして知られており、その土地その場所でしか味わえないアート体験が特徴とされています。空間芸術は多彩で、訪れる人々は自然の中で五感を使ってアートを体験できます。こうした取り組みは、地方の過疎化対策や観光振興にも寄与し、国内外から多くの注目を集め、多くの学生やボランティアが運営側で参加されるまでに至りました。

インスタレーションの醍醐味

2000年に始まったこの芸術祭、25年経った今では毎回50万人以上が訪れる国際的なイベントに成長したそうです。芸術祭終了後も恒常的に展示される作品や施設が数多く残り、地域の魅力を内外に伝える「資産」として機能しています。後に知ったことなのですが、本芸術祭は地元住民の参加を前提として企画されました。空き家や廃校の再活用、農作業や地域の知恵を生かした作品づくり、地元の方との交流型プロジェクト。これは単なる観光イベントではなく、「地域そのものが作品である」という発想に基づく、アートによる地域プロジェクトです。
当日お会いしたツアーガイドさんも、越後妻有を訪問したことですっかりこの芸術祭が気に入り、毎年ボランティアとして参加していると話していました。作品だけでなく、越後妻有の土地と人が気に入ったとのこと。そういった体験や感性も含めてこの芸術祭の魅力、インスタレーションと言えるのかもしれません。

キャリアの選択における感覚

この芸術祭、決して効率的な鑑賞体験が出来るとは言えず、タイパ的にもコスパ的にもそれなりの負荷が掛かります。ただ、それではければ得られない感覚があるなと、あらためて学びました。仕事を成功させるためには、あらゆる決断を理性的な軸で行う必要があります。ただ逆に、転職というパーソナルな活動だからこそ、理性だけでなく感性も重要だと思っています。
「このチームと働きたいと思った」「この場所でなら続けられそうだと感じた」
あらゆるものが最適化されていく時代だからこそ、そういった感性も重要な判断軸になると思います。
企業によっては対面面接が求められることもあります。調整等で煩わしい面も正直あるとは思うのですが、その場に訪問して初めて感じることがあるかもしれません。
非効率なプロセスと受け取らず、「自分の心が動く瞬間」に気づける場として活用してみてください。
転職は理性だけでは決めきれず、感性だけでは続けられません。その双方を考慮しつつ、自分にとって納得のいく選択キャリアを選択してください。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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