注目企業インタビュー

リーベルが探る、注目企業の強みと求める人材像。採用現場の生の声をお届けします。

株式会社TRAILBLAZER

DXを活用した新時代のJR西日本の事業を支援・推進。
コンサルタント、データサイエンティスト、エンジニアなど多彩な人材を集め、人々の生活や移動の革新を実現。

データコンサルティング事業部 部長
三浦 敏郎 氏
ソリューション事業部 部長
直井 和久 氏
撮影場所:WeWork KDX虎ノ門一丁目 内
JR西日本グループを中心にデジタル戦略を支援・推進する企業として設立されたのがTRAILBLAZERだ。全体的な戦略の立案やコンサルティングから、鉄道利用、旅行、宿泊、ショッピングなどの多彩なサービス構築まで携わり、DX時代ならではの利便性を提供している。

DXという潮流はあるゆる産業に影響を与えている。鉄道会社も例外ではなく、従来の事業モデルや経営手法を見直すきっかけとなっている。
JR西日本グループでは2021年頃からデジタル技術、データサイエンスを利用し、中核である大量輸送の効率化はもちろん、事業の相乗効果、新事業の創出などを生み出す戦略を策定し、実現に向けて歩み出している。
これを支援すべく2023年、設立されたのがTRAILBLAZERだ。西日本旅客鉄道(以下、JR西日本)グループを中心クライアントとして、そのデジタル戦略の支援・推進を専門とする企業である。デジタル戦略についてのコンサルティングやマーケティングからコンシューマーサービスの開発まで、幅広く手がける。同社のデータコンサルティング事業部の三浦敏郎氏、ソリューション事業部の直井和久氏に、同社の特色や強み、業務の実際、求める人材などについて聞いた。

※法人名、組織名、役職およびインタビュー内容は取材当時のものです。

リアルなアセットの可能性をデジタル技術で開く

「JR西日本のデジタル戦略の更なる加速のため、外部から専門的な知見を持った仲間が集まり、TRAILBLAZERは設立されました」と三浦氏は語る。
社外から高度な知見を持つ人材を集め、初期には10名ほどだった組織は現在100名を越えた。TRAILBLAZERにとってJR西日本はクライアントかつ親会社だが、デジタル戦略を牽引する役割を期待されている。TRAILBLAZERとJR西日本は同じ目標をめざすパートナー的関係にあると言えるだろう。
鉄道とその関連事業は公共性が高く、身近な生活や地域に貢献するという特色がある

現在、TRAILBLAZERのデータコンサルティング事業部に所属する三浦敏郎氏は、2008年にJR西日本に新卒で入社。大学時代は安全分野の研究をし、JR西日本でも安全関連の仕事に多く携わっていく中でデータサイエンスに関心を抱いた。
2023年、設立されたばかりのTRAILBLAZERに出向した。「JR西日本時代に北陸新幹線敦賀駅の設備設計を担当したのが強く印象に残っています。世の中に役立つ仕事、地図に残る仕事を体感できるおもしろさを感じました。TRAILBLAZERではそうした仕事にデジタル面から携わることができます」(三浦氏)。

ソリューション事業部の直井和久氏は、SIerのSEとしてキャリアをスタート。大手ECサイト運営企業にアプリケーションエンジニアとして転職し、トラベルサービスや公営競技サービスのシステム開発などを経験した後、TRAILBLAZERに転職してきた。
「入社したときは、組織が立ち上がったばかりでしたので、そうした環境の中でプロダクトを内製する開発体制を構築するのは想像以上にチャレンジングな仕事でした」。前職でデジタルツーリズムに携わった経験から、「旅の楽しさを支援すること、人を動かし、地域に貢献する手触り感のあるプロジェクトを経験できるのはこの仕事の魅力」と語る。
近年、JR西日本、TRAILBLAZERでは、増大するインバウンド(来日旅行客)へのアプローチ、対応も重要な課題となっている。「数1000万人の来日観光客に西日本エリアの魅力を伝え、訪問先として選んでいただき、良い旅行体験をしていただく。それが地域の活性化にもつながると感じています」(三浦氏)。

コンシューマーに便利さ、オトク感を提供

データコンサルティング事業部 部長
三浦 敏郎 氏

「TRAILBLAZERの強みは、『JR西日本への理解の深さ』、『グループ企業だからこその柔軟性、迅速性』、『提案から実装まで手がけられる総合力』、『JR西日本を俯瞰して見ることのできる客観的な視野』だと思います。デジタル戦略に関しては、JR西日本グループがまず最初に相談できる相手になりたいと考えています」(三浦氏)。この強みを活かすうえで、強力な武器となるのが、リアルな事業を推進する中で蓄積された豊富なデータと、そのデータを活用できる多様なフィールドがあることだ。
めざすのは、「JR西日本グループの顧客(コンシューマー)一人ひとりに、従来とは段違いに便利で、おトクで、楽しい体験を提供すること」(三浦氏)である。
具体的なコンシューマーサービスに関する仕事としては以下がある。①コンシューマーがJR西日本にアクセスし、そこを起点に行動するときのアプリ(WESTERやtabiwa)の利便性や機能の向上。②実際にサービスを利用・購入する際に 使われる三つの決済サービス(J-WESTカード、ICOCA、Wesmo!)の利便性や機能の向上、③鉄道だけでなく、旅行、ホテル、不動産、コンビニなどの各事業におけるサービスの磨き上げ、④①~③を束ねるWESTERポイントの魅力向上 、の四つだ。
これらをどのように実現していくかはJR西日本本体の各担当部署と議論しながら進めている。

データ分析・利活用、プロダクト開発を担う二つの事業部

TRAILBLAZERの事業部門としてはデータコンサルティング事業部、ソリューション事業部の二つがある。
データコンサルティング事業部では、コンサルタント、データサイエンティストを擁し、事業戦略の企画立案・推進、マーケティング施策の検討・推進を行っている。そのほか組織改革や業務生産性向上 にも関わっている。
データコンサルティング事業部は戦略を推進するとともに、JR西日本が主体的に動けるようにデジタル分野における判断力や分析力を養成する役割も担っている。
ソリューション事業部は主にプロダクト開発を担っている。要件を決め、JR西日本の内部に入り、伴走型でプロダクトを開発する。この仕事は一つの案件にかなり長く関わるのが特徴で、これはシステム開発にもつながっている。この事業部の大切なミッションはプロダクトの内製化率を高めることだ。そのため、部署単独でプロダクト開発を実現できる人材を積極的に採用してきた。中心はプロダクトマネージャーと、フロントエンド、バックエンド、モバイル3分野についてのエンジニアである。
プロダクトは、事業戦略まで含めての開発が必要になる場合もある。そうした案件では、データコンサルティング事業部と連携することもある。
両事業部のメンバーが参加する案件も少なくない。「二つの事業部はまだ別々に動くことが多いですが、今後、一緒に取り組む領域を増やしていきたいと考えています」(三浦氏)。

プロダクトの内製化率を高めたい

TRAILBLAZERでは今、どのような人材を求めているのだろうか。
データコンサルティング事業部では、エンジニア、コンサルタント、データサイエンティストなど複数の経験をバランスよく持つ人材が理想だ。特にDXの時代を迎え、分野を横断的に知る人の価値は高まっている。「ありがたいことにJR西日本は拡大基調にあり、今後、どのような仕事が来るかわからないくらいの状況。ですから個別サービスやプロダクトに特化している人も大切ですが、色々な課題に対応できるユーティリティプレーヤー的な人材が必要なのです。」(三浦氏)。

同事業部ではプロジェクトの8割がデータと関係している。従ってデータサイエンティストの拡充は必須である。「一般に“データサイエンティスト”と聞くと、極めて高度なアルゴリズムや知識が必要だという印象を持たれがちですが、当社が求めるのは、もう少し現実との橋渡しに近い形でデータを扱う力。施策の前段階の意思決定などのためビジネスとデータを橋渡し、事業課題の解決・推進できる人財も強く求めています。ハードスキルを高めることに加えて、データサイエンスという手段を用いてビジネス課題を解決することを志向される方ですね。 」(三浦氏)。

ソリューション事業部 部長
直井 和久 氏

ソリューション事業部では、プロダクトマネージャーやエンジニアを必要としている。そのほか、データエンジニア、デザイナー、SREがなどを求めている。
「特に内製化率を高めるのに必要なのは技術に強いバックエンドエンジニアです。加えて、SIerにいるようなプロジェクトリーダー・マネージャー的な働きができるバックエンドエンジニアがいればうれしいところです」(直井氏)。
TRAILBLAZERが、JR西日本が主導権を持ってプロジェクトなどを推進できるようにJR西日本の人材養成にも関わっていることは前述したが、具体的にはPRD(プロダクト要求仕様書)を作り込み、ドキュメントベースでJR西日本の担当者と議論できる体制を整えている。まだまだJR西日本が外部へ業務委託することも多いので、TRAILBLAZERにはステークホールダーと意見を交わしながら仕事を推進できるプロジェクトリーダー・マネージャーが求められている。

やや違った観点から直井氏はTRAILBLAZERに向く人材をこう語る。「自分もそうでしたが、前職で一度、仕事をやり切って、その延長ではなく、まったく異なるジャンルでのチャレンジを探している人は向いていると思います。良い意味で企業に過度の期待をせず、新たな刺激、挑戦を求めている人ですね」。

斬新な勤務体制で、多様な人材が力を発揮

TRAILBLAZERは、JR西日本とは社風や制度も大きく異なる。圧倒的なスピード、自由さ、変化への積極性などがあり、それは同社のミッション「GO WILD WEST!」、ビジョン「日本はいつも西から変わる」、バリュー「伸びしろしかない 西からいこう はよやろう」という斬新な表現からも垣間見える。
制度の例として、ここでは二つを上げよう。
一つは『フルリモート勤務』だ。「私自身、前職ではロンドン、サンフランシスコと連絡を取り合い、エンジニアは東南アジア、中近東にいる、といった環境で仕事をしてきました。今のメンバーもリモートに慣れている人がほとんどなのでリモート勤務はごく自然なことでした」(直井氏)。しかし対面勤務も必要に応じて利用する。「実際に対面で仕事をした方が良いと判断すれば、出社します。手段として効果的かどうかによって、リモートと出勤を使い分けるやりかたを取っています」。
また一部の開発チームを除き、フルフレックス制を取っている。時間で評価するのではなく、どのくらいのアウトプットをしたか、パフォーマンスで評価するやりかたである。「ワークライフバランスの点でも優れていると思います。ある社員はお子さんを抱っこして会議に出ていましたね。そういうスタイルに違和感のない企業です」(直井氏)。
こうした場所、時間を選ばない勤務体制も奏功して、TRAILBLAZERの社員の半数以上が、オフィスのある大阪以外に在住している。首都圏のみならず、全国の都市に社員がいて活躍中である。

もう一つは、『リアルタイムプロモーション制度』だ。これは毎月、昇進や昇給のチャンスがあるという制度である。「よくある半年、一年に一回昇給・昇進をおこなうというやりかたではありません。評価会議は月に一回ですが、プロモーションに手を挙げることはいつでもできます。これは本人から申告することもできますし、上長からの推薦という場合もあります」(三浦氏)。
目標に向けて成果を上げたときを機に評価を受け、昇給などが決まる。そのために評価基準を明確にし、オープンにしている。成果についても偶然性の高いものではなく、再現性のある、ある程度継続性のあるものが求められる。
このほか、TRAILBLAZERの風土を表すものとして、副業の自由がある。同社の社員には大学の講師などを務める人もいる。

さまざまな状況に挑戦することを楽しみにする人を

このように、鉄道会社の極めて広範な、公共性が高く影響力の大きい事業と、デジタル、DXを結ぶTRAILBLAZERは、ユニーク、大規模で、しかも身近な生活を変える仕事ができる場と言えよう。
また組織として若く、今後、拡大、変革していく段階にあり、新しい人材が組織と共に成長できるのは大きな魅力と言えそうだ。
三浦氏、直井氏はこれから入る人材に対し、こうエールを送る。
「不測の場合も含めてさまざまな状況の中で仕事をしなくてはなりませんが、それを楽しんでチャレンジできる人、そういう強さを持った人をお待ちしています」(直井氏)。
「まさに、バリューで掲げる『伸びしろしかない』企業です。スピード感のある、しかし良い意味で不確実な状況の中で、責任を持って仕事を完遂することにやりがいを感じられる方、そんな方なら楽しさを味わえる会社です」(三浦氏)。

ライター プロフィール

織田 孝一(おだ・こういち)
1959年生まれ。学習院大学法学部政治学科卒業後、広告制作会社および人材採用サービス会社の制作ディレクターを経て、1989年にライターとして独立。ビジネス誌などの他、企業広報・採用関連の執筆も多い。現在注力しているジャンルは、科学技術、IT、人材戦略、農学、デザインなど。

リーベルコンサルタントから一言

TRAILBLAZERという言葉は「先駆者」という意味を持ちます。通常、事業会社のDX戦略企業というものは、ある程度組織が大きくなってから独立し設立されることが多いのですが、TRAILBLAZERはベンチャーとして数名で立ち上げられています。
JR西日本グループの中でも類を見ないアグレッシブさとスピード感で立ち上がり、設立から数年で数多くの実績を出しいるという、まさに「先駆者」たるにふさわしい会社であると言えます。

そして、DXとして手掛ける領域が多岐にわたることも特徴的です。通常、DXに関わると言っても、顧客接点系、基幹系、市民開発系など領域が分かれ、手掛けられる領域も所属組織により限定されていたりします。
この点、TRAILBLAZERでは、データ活用という文脈で様々な案件に関わることができます。マーケティング系、業務改革系、コールセンター系、IoT系など、事業に関連するあらゆる領域でデータ活用を進めていくことが可能です。

多くの会社が出社回帰に移行する中、フルリモートを貫いており、関西の企業であるにもかかわらず、関東圏を中心に全国各地から優秀な人材が集まっています。
関西の方はもちろん、関西以外の地域に住んでおられる方も、ぜひTRAILBLAZERをご検討ください。

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