COLUMN
コラム:転職の技術
第1040章
2021/09/10

社風を見極める重要性

社風を疎かにしてはいけない

「企業の社風は問いません。どんな社風であっても気にしないので大丈夫です」
転職先の希望を伺うなかで、このように回答される方がいます。

こう言われると、私としてはけっこう困ってしまいます。と言うのも、どんな社風でも良いなんてことはありません。実際のところ、転職先を決める際に社風が理由で決める方がとても多いのです。年収や業務内容ももちろん大事ですが、最後に決めるのは一緒に働く仲間や上司。職場の雰囲気で長く働けそうかを感じ取って決断されています。

ただ、私もこの業界に来たばかりのころは、企業の社風なんて一緒に働いてみないと分からないだろうと思っていました。どんな人と一緒になって働くかは、結局プロジェクト次第。チームが組成されて初めて雰囲気が醸造されるので、企業を選ぶ際に社風はあまり意味がないと考えていたのです。
しかも、エージェントが一番接する機会が多いのは企業の人事。現場のエンジニアと会話する機会ももちろんありますが、人事と会話してその企業の社風を理解するのは無理だろうと高を括っていました。

働きがいの企業ランキングから分かること

「働きがい」をテーマとした企業ランキングが、世に幾つか存在します。在籍社員のアンケートを基にしたランキングとなっていて、特に社内の雰囲気を知るうえで一つの指標となっているようです。業務内容などと違って、社内の雰囲気については求人票だけではなかなか伺い知れません。在籍社員の声が貴重な情報となるのもよく分かります。

実際、上位には誰もが知る大手企業や成長著しいベンチャー企業等が並んでいます。対外的な情報だけでなく、社内の雰囲気やカルチャーも良いことがうかがえます。ですが、こういったランキング上位の企業であっても、一定数の離職者は発生しています。また企業によっては毎年それなりの離職者を出している企業もありました。ランキング上位の企業が、必ずしも全員にマッチする環境とは限らないのです。

同じ価値観で働くこと

同じ価値観を有する人たちにとっては理想の職場・理想の環境なのでしょう。ただ、それも人によって異なります。極端な例ですがワークライフバランスを重視したい人もいれば、思う存分働いて報酬を得たい人もいます。十人十色の価値観がある中で、長く働き続けるためには自分にあった企業を選ぶ必要があります。

「社風の良い企業ランキング」というのはこの世に存在しません。「自社の社風にマッチした従業員が多いランキング」と受け取るべきでしょう。そして、転職活動時にはあなたにとって最適な社風を真剣に考えてみてください

最後は人

この仕事をしていると、企業と一度打合せをするだけで社風がよく分かるようになってきます。会話のスピード感や目線、表情、説明の粒度など、数分話をするだけでその企業がどんなキャラクターの方が多いのか、手に取るように分かります。

「人事は会社の顔」と言われますが、まさにその通り。人事のお人柄が、現場の雰囲気を表していると感じます。同じ企業の人事、現場、役員それぞれと会話することがありますが、人事の印象が現場の雰囲気に繋がっているのです。

転職企業を決める際、皆さん最後は人で選ばれています。自身のパフォーマンスが最大限発揮できる環境を、転職活動でも探していってください。

筆者 鈴木 裕行
コンサルタント実績
  • 紹介求人満足度 個人の部 第2位
    出典元
    株式会社リクルートキャリア リクナビNEXT
    対象期間
    2014年4月1日〜2014年9月30日
    調査名称
    第12回転職エージェントランキング
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