COLUMN
コラム:転職の技術
第755章
2016/07/08

見送りや辞退の影響

— 未来の可能性を閉ざしてしまわないように —

見送りや辞退は未来に影を落とす

転職活動において、企業とのご縁がなかったパターンとしては、見送りと辞退の2つがあります。

転職活動を進める際、この2つの後々への影響を考えていらっしゃる方はそれほど多くはないようです。今回縁がなくてもまた数年後に応募すればいいやと楽観的に考えている方が大半であり、後年になって応募してみたら全然選考が通過せず、愕然とするというケースが見られます。

確かに、受験や資格試験であれば、また次の機会に頑張れば結果に繋がることもあります。しかし、選考、特に面接は、受験などの様に点数で合否を判定するものではないため、そう簡単にはいきません。

選考の結果は詳細に記録され、それが参考情報として企業内に残り続けます。その内容が悪いと、次に応募した時にも悪影響を及ぼしてしまい、せっかく前回の応募時よりも良い経験を積み上げてきたとしても、書類選考が通過しなかったり、面接で落ちたりしてしまいます。

見送りが選考に影響を与えたケース

ここで、過去の見送りが後年に影響を与えたケースをご紹介します。

数年前に某大手企業の選考を受け、その時は見送りとなってしまった方がいらっしゃいました。

その企業を受けたのは、当時の転職活動の中でも初期の頃で、余り企業調査をせず、キャリアプランも曖昧なまま面接に臨み、一次面接で見送りになったとのことでした。

それから3~4年ほど経ち、当時はなかったPM経験も積んだ上で再度その企業にチャレンジしたのですが、当時の一次面接での評価が非常に悪く、書類選考すら通過しませんでした。

その企業からは元々、再応募は可能で、3~4年経って良い経験をしていればむしろ再応募は大歓迎と言われていましたし、実際に再応募して入社に至ったケースもありました。

ただ、人事の方が仰るには、現場の面接官も過去の記録を見て面接に臨むわけで、その内容が酷いと『何でこの人の書類選考を通したの?』『人事は何をやっているのだ』という話になってしまうので、記録内容が酷い場合は人事の責任で通すことは出来ないとのことでした。

この企業とは別の企業ですが、10年も前の選考記録を見て、評価がよくないので見送りの判断をした企業もありました。採用記録が紙で管理されていた時代であれば、検索性が低いので見過ごされることもありましたし、一定の保存期間が過ぎたら廃棄されるため、時効になることもありました。ただ、現在ではほとんどの企業が採用記録をデータベースで管理していますので、半永久的に選考記録が残り続けるものと思われます。

辞退が選考に影響を与えたケース

次に、過去の辞退が後年に影響を与えたケースをご紹介します。

1年前に某ベンチャー企業を受けて内定を貰ったものの、内定を辞退して別の企業に転職した方がいらっしゃいました。しかし、入社した企業は事前の話とは異なっており、それでも一年我慢したものの、これ以上いると益々自分がやりたいこと、なりたい姿からの乖離が大きくなってしまうため、再度転職活動をし、以前内定を貰ったベンチャー企業に再度応募しました。

その方は書類選考が通過し、最終面接まで進んだものの、最終的には見送りとなりました。理由としては、一年経ったけど余り新たな経験がないとか、そもそも見通しが甘いんじゃないの?といったこともあったのですが、一番の理由は、そうは言っても一度辞退しているので、いい求人があったらきっと転職をしてしまうだろう(強い思い入れがない)、という懸念でした。

他にも、以前の辞退の理由が納得できない内容であったり、酷い理由だったりしたために、書類選考すら通過しなかった例もあります。

俗っぽい言い方をすれば、一度浮気した人は、口ではもうしませんと言っていてもまた浮気をするだろうというのが、企業側の判断となります。ましてや別れ方がまずいと、企業も二度と振り向いてくれなくなります。

未来を閉ざさないために

そうは言っても、応募したからには見送られることもありますし、内定が複数社から出た場合は、いずれかの内定を辞退しなくてはいけません。そういった現実がある中で、自分の未来を閉ざさないようにするにはどうしたらいいでしょうか。

これは、とある大手企業の人事の方が仰っていたのですが、『いい別れ方』が必要と考えています。いい見送り、いい辞退なんてあるのか?と思われるかもしれませんが、実際にそれはあると思います。

見送りになるにしても、例えば応募企業のことをしっかり調べており、志望動機も明確で、ただ、その時点で企業側が求めているスキルに満たない、といった場合は、企業側も「ああ、タイミングさえ良ければ!」「もっとスキルがあったら!」など、惜しいなという気持ちを持ちます。

選考記録には、悪いことだけでなく、そういった面接官の所感も書かれます。この様な、見送ったけど前向きに検討したという記録は、実力をつけて何年もの後に応募する時にプラスに働きます。

そのため、準備不足であったり、乗り気じゃない状態で選考を進めることは出来るだけ避け、面接に向けて気持ちが乗るような企業を受けて頂きたいと思います。

また、辞退をするにしても、「あっちの方が待遇が良かった」といった打算的と受け取られかねない理由や「向こうの社員の方の人柄が良く話が合った」といった感情的な理由はお勧め出来ません。

もちろん、現実的にはそういった点が最終的な決め手になるものではありますが、仮にそうだったとしても、あくまでキャリア面であったり仕事面での判断であることを辞退理由として企業に伝えて頂きたいと思っています。

見送りも辞退も、転職活動をすれば現実的に起こり得る話です。でも、それを恐れていては開ける道も開けません。そのため、結果を恐れず、自身のキャリアアップのために挑戦をして頂きたいのですが、なんとなく行動してしまうと、その結果が自らの未来を閉ざしてしまいかねないため、応募企業の選定も、面接時の応対も、そして辞退時の対応も、真剣かつ慎重に行って頂きたいと思います。

筆者 田中 祐介
コンサルタント実績
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