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コラム:転職の技術
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第649章
2014/05/09

一度は身に着けた鎧を捨ててみる

先日、異業界にいる友人から転職相談を受けました。

元々は、本当にやりたいことをするために転職活動を始めたとのこと。
しかし、苦戦をしつつ苦労して内定を勝ち取ったものの、やりたいことからは相変わらず遠く、その会社に行くべきかどうか悩んでいるとのことでした。

なぜやりたい事から遠いのに応募したかと聞くと、以下の回答がきました。

  • いまより会社規模が大きい
  • いまより仕事で動かせる金額が大きい
  • いまより事業安定度が高い
  • いまよりネームバリューがある
  • いまより年収が高い
  • いまより忙しくない
  • いまより人が良さそう

贅沢な悩みだなあと正直思ったのですが、それはさておき、やりたいことから遠いという状況は変わらないことから、その友人はどうすべきかを真剣に悩んでいました。

本当にやりたいことをするためには、時には何かを捨てなければなりません。
例えば、年収や安心感、ステータスや見栄など様々です。

しかし、一度持ってしまったものは重い鎧の様なもので、身に着けていると動き辛いので捨てたいけれど、身に付けていれば安全・安心なので、簡単には手放すことができません。
ぱっと脱ぎ捨ててしまえば楽だと頭では思うのですが、せっかくの財産を道端に捨てる様な気がしてしまい、つい着込んだままにしてしまいがちです。

さっさと鎧を脱ぎすてるのが良いか、それとも着込んだままの方が良いのか、どちらがいいかは答えはありません。
鎧を着込み続けて苦しい人生を送っている人もいれば、満足度の高い人生を送っている人もいますし、鎧を捨てて自由に生きられるようになった人もいれば、失敗して後悔している人もいるからです。

ではどうすればよいかですが、私は、後悔しない方を選択すればよいと思っています。

どういう選択をしたとしても、未来は誰にも分かりませんので、成功するか失敗するかは正直なところ「運」です。
そうであるならば、人生は一回しかありませんし、覚悟を決めて、どういう未来がきても後悔しない様な選択をして頂ければと思っています。

そして、その手段の一つとして、一度は身に着けた鎧をぱっと捨ててみるということもしてみて頂きたいと思っています。
そうすれば、それが本当に大事なものだったかどうかが分かるからです。
必要ではなかったと分かれば新しい世界が開けますし、大事だと分かれば取り戻しにかかれば良いと思います。(とはいえ、後者はなかなか難しいため、出来ればこういったチャレンジは、万一失敗をしたとしてもリカバリーできるような時期にして頂くのがベターかと思います。)

ちなみに、私の友人は結局内定を貰った会社に行くことになりました。
友人の「やりたいこと」を全くゼロの状態から始めるのはリスクが高すぎたためです。時間とお金と心に余裕が出来る分を将来の投資に回し、ゼロを1に、1を2に進めていき、機が熟したらやりたいことに全力を投じようという結論になりました。

その友人は、いまはまだ鎧を重ね着し続けていて辛そうですが、それをぱっと脱ぎ捨てて自由な心になれるその日まで長い目で見守っていきたいと思います。

<田中 祐介>

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