COLUMN
コラム:転職の技術
第125章
2003/09/22

キャリアコンピタンシー

「キャリアコンピタンシー」とは、キャリア開発の分野で著書の多い高橋俊介氏の著書「キャリアショック」(東洋経済新報社)では、『変化の時代には、個人が自分の将来像を明確に描くことは不可能であり、しかもキャリア構築は予定通りにはいかない。であるならば、自分にとってより好ましい変化を仕掛け、キャリアショックに備える行動をとらなければならない。その能力をキャリアコンピタンシーと呼ぶ。』と書かれています。

終身雇用を前提とした過去の雇用関係では、基本的には会社の中でどのように貢献するかを考えるだけでよかった。どのような仕事でもそれで成果を出すことにより、または成果を出さないまでも無難に処理を行い会社に貢献すれば、課長や部長という役職と報酬がある、という前提でした。しかし今はその考えは明らかに崩れてしまいました。そしてこのキャリアショックの影響を悲劇的なまでに受けたのが、現在中高年と言われている方たちです。

変化の激しいIT業界では、現時点で社外で通用すると思われるスキルを身につけても、それがいつ陳腐化するかわからない、だからキャリアコンピタンシーを身につけなさいと言われています。これは、簡単に言うと色々な波が来るので、どのような波でも自分自身でうまくその波に乗りきれる行動特性、思考特性を自立的かつ継続的に身につけなさい、と言うことです。自立的というところが重要です。しかし、これは資格を取るように簡単には身につきません。

今、15年後を予測することは非常に困難でしょう。また逆に、予測を行いそれを信じて突き進むことの方がリスクが高いとも思います。まずできることは、例えば5年後を見据えて、自分のやりたいことを明確に認識し、そしてその方向性の中でキャリアリスクの少ないと思われる選択をしておく事ではないでしょうか。または現在の自分の仕事の中でそちらの割合を増やすことではないかと思います。

もう1つは自分の望む方向の実現の可能性を広げる事でしょう。例えばいつか自分は日本の中だけではなく、世界を相手に活躍できる人材になろう、と考えていたら、今日は必要とされなくとも英語力を磨いておくことでしょう。ある日、突然海外企業との交渉や業務提携の話が入ってくるかもしれません。将来来るかもしれないチャンスを生かせる可能性を広げておくことです。

<コンサルタント TI>

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