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第1036章
2021/08/06

Q. 応募企業から内定を得るためには? A.「全力を出せ!」

転職活動においてのゴールは「志望企業から内定をもらうこと」です。

もちろんそれだけが目的でないという場合もあるでしょうし、実は第三志望だったという企業に入社し成功している方も数多くいらっしゃいますが、「せっかく受けるのであれば全社受かった方が良い」のは当然だと思います。事実私は「私から受けてくれたなら、受からせることが至上命題である」と大げさではなく各候補者様にも言っています。

では内定をもらうために何が大切かというと、答えはシンプルに「受かるために全力を出す」ことです。ただ一口に全力を出すと言っても、間違った方向に全力を出してしまっては内定を勝ち取れません、あくまで「転職活動に」全力を出す必要があります。今回はこの意味に関して2つの例を元に説明いたします。

1. 資格勉強に熱心なAさんの例

Aさんは、業務としてはアプリケーション開発を主にされている方だったのですが、とある事情からインフラエンジニアになりたいということで相談を受けた方でした。
Aさんは日常的に資格勉強をされ、プライベートの時間も惜しまず研鑽を続けられており、CCNAやAWS 認定ソリューションアーキテクト – アソシエイトなどを既に持たれていました。
第二新卒クラスでもありましたし、「この研鑽があれば十分に挑戦が可能」として希望のSIer群を5社受けることになりました。

書類選考は無事全社通過。順当に行けば複数内定を勝ち取れるだろう、と私自身も経験から思っていたのですが、結果としてはなんと5社とも面接にてお見送り…
各社のお見送り理由をまとめると

  • 深堀したところ今一歩が足りない
  • 筆記試験結果が基準に足りなかった

と言ったものでした。
原因は明らかでした。
Aさんは「資格勉強に全力を出しており転職活動対策を疎かにしていた」のです。
Aさんは「インフラエンジニアになるためにはサーバー知見も必須なはずなので今度はLPICを取る」「CCNAが取れたからCCNPも目指す、次のNWスペシャリストも取りたいため自宅に環境を構築して検証している」と言ったことを最初の面談時に仰っており、そのこと自体は自己研鑽としては素晴らしいのですが、目的と手段が逆になってしまっていたと言えます。
「受け始めたのですから資格勉強は一旦止めて、転職活動に集中しましょう」と何度か申し上げていたのですが、5社の面接を控えている中でも「来週資格を受ける」「NWスペシャリストを取るにはこういうスケジュールで勉強をしなければいけないためこれだけはやらないと」ということを仰っていました。
その結果、もう一歩踏み込んだ回答ができれば受かっていたであろう技術質問に答えられずお見送りになってしまった企業が3社。
残り2社についてはなんと「面接は通過」していた企業にも関わらずSPIの結果がふるわずお見送り、となってしまったのです。

「そもそも転職活動において資格の意味はあるのか?」という議論もありますが、資格取得に意味はありますし取って無駄な資格など私は無いと思っています。
ただし、こと転職活動に限定するならば「書類選考が通過したのであれば資格は無くても合否に大差はない」と私は言い切っています。
資格勉強はあくまで実際に何かしらの行動をしているかどうかを証明するためのものであり、事実未経験分野に資格を一つも持たずに挑戦し成功した方も数多くサポートしています。
むしろ、資格を取っているにも関わらず面接にて「その資格を取っているならば答えられるであろう質問」に答えられなかった場合「あ、資格を取ることが目的になっていて中身が無いな」と一刀両断したくなる気持ちもエンジニア経験者として良くわかります。

Aさんの場合、既に持っているCCNA等の資格は十分評価されており、5社の書類は通過していました。
そうであればさらなる資格取得を目指すのではなく「目の前の面接や筆記試験に全力を出すべき」だったと言えます。
資格試験に受かる実力を持っているAさんであれば、一般的な筆記試験対策についても普通に行えば通過するはずですし、しっかりと検証等も行っていたのですから技術的な復習をすればもう一歩の深堀質問にも回答ができたはず…と、私もうまく志向を変えられず非常に悔しい思いをしたことを今でも鮮明に覚えています。

2. 離職中かつ未経験で挑むBさんの例

次にBさんです。この方はとある事情で数年離職している方でした。
「過去経験されていたアプリケーション開発を生かす道なら可能性はある」として面談時にキャリアを提示させて頂いたのですが、なんと未経験分野であるセキュリティに挑戦したいということでした。
セキュリティは私も実際にエンジニアとして経験を積んできた分野ですから得意領域であるのは確かですが「さすがに未経験かつ離職している状況から挑戦するのは厳しい」と言わざるを得ず、正直にその旨Bさんに伝えました。
しかしBさんの意志は固く、「一度挑んでダメなら諦める。年収や商流なども気にしないし、努力は惜しまないため挑戦させて欲しい」という強い思いを持たれていました。
それならば、と私も「だったら離職中で焦るのはわかるけど、1か月かけてこの努力をしよう、でなければ今受けても書類で確実に落ちてしまう」と伝え一歩ずつ進めていくこととなりました。
Bさんの最大の武器は「素直さ」でした。私が伝えたこと以上の自己研鑽を行い、書類修正も手を抜かず最速で実施している姿勢から「Bさんは本気だ」と(正直当初本気度を疑っていましたが)私も全身全霊をかけることにしたのです。

とはいえやはり離職中かつ未経験の壁は厚く、書類については8社中6社落ちてしまい、面接に入ったのは2社のみとなりました。
ただBさんはそこからが違いました。技術的な深堀想定はもちろんとして、各社の調査、アウトプットの練習なども恐らく寝る間も惜しんで行われ、2社から出された技術試験も無事にパスし、2社とも内定を勝ち取ることができたのです。

3. まとめ

AさんとBさんとの差は明白です。
「転職活動に全力を出したかどうか」です。
Aさんの場合にはそもそも転職をするかどうかについても迷いがあったのかもしれません。
資格や研鑽を活かせる環境で、かつその行動を評価してくれるところであれば、インフラエンジニアになれなくても良かったのではないかと今にしては思います。
転職はしなければしないに越したことはないためそれも一つの道ですし、転職活動をするかどうかについてはいくらでも悩んで良いと思っています。
ただし、転職活動をすると決めたのであれば、受け始めたのであれば、迷いを捨てて転職活動に「全力を出せ!」—転職活動を始めた方への私からのメッセージです。

<ジャパ>

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