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海外で働くエンジニア engineer in overseas

内川 成泰 著者プロフィール

1996年大手ソフトウェア日本法人に入社後、2000年にアメリカ本社開発部隊へ転出。世界各国にいるソフトウェア開発者へソフトウェア国際化のサポートを行なっている。

第6章:マネージャの仕事

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海外で働く場合、国籍や年齢など様々な人が上司となる可能性があります。自分の直属の上司との関係は、気になるところです。第6回目は、海外で働くエンジニアからみたマネージャの仕事ぶりと、そのマネージャとの付き合い方についてお話したいと思います。

私のいるソフトウェア会社では、ある製品をモジュール・機能単位で分け、それぞれを1人か2人のチームで開発しています。開発マネージャの主な仕事は、複数の1〜2人のチームをマネジメントし、他のモジュール・機能ときっちりインテグレーションし製品として仕上げて、顧客にリリースすることとなります。マネージャは、開発エンジニア一人一人に対して、モジュール単位での開発を全て任せます。すなわち、顧客から出てきた要求、アーキテクトが描いたグランドデザインと、社内の開発フレームワークをもとに、開発エンジニアは、調査、基本設計、詳細設計、準備、コーディング、テスト、バグ潰しまでの全ての製品ライフサイクルに対して責任を持つことになります。マネージャは、かなりのスピードで開発が行われる中で、各々のフェーズでのレビューや、開発者の仕事がスムーズにいくように社外、他部署、他チームなどとの折衝を行い、問題があればスムーズに解決できるように目を配ります。

マネージャのタイプは様々です。仕事できっちりと成果を出せば、ほとんど口出しをしないマネージャもいれば、プレイングマネージャのようにひたすら部下の面倒をみながら、自分でも身を粉にして働くマネージャもいます。

ほとんど口出しをしないマネージャの場合、週に1度のステータスミーティングで進捗を報告し、期限のあるものは期限までに提出すればよく、セルフマネジメントの出来る人に取ってみれば、非常に相性が良いタイプのマネージャだと思います。ただし、プロセスに関係なく、結果のみを見てを判断されるので、自分が評価されているのかどうかわからなくなり、モチベーションを保つのが難しいということを他の日本人エンジニアから聞いたことがあります。

逆に、プレイングマネージャタイプのマネージャの下につくと、厳しくプロセスまで管理されます。フェーズごとのレビューは細部まで及び、問題を解決するためにマネージャの部屋に呼び出され、ほぼ缶詰になりながら長時間ディスカッションをすることもあります。モチベーションを高く保つことが出来る一方で、マネージャと衝突することもあるため、英語できっちりと説明する能力がないと、日本人エンジニアの場合厳しいかもしれません。どちらにしても、自分と相性のあうマネージャを探すのは、日本でもアメリカでもなかなか難しいということですね。

マネージャの重要な仕事の一つに、人の雇用と解雇があります。シリコンバレーのほとんどの企業では、部門マネージャが人を雇用したり、逆に人をレイオフしたりする権限が与えられています。私がシリコンバレーで働くことになった時期は、ちょうどITバブル崩壊が進み始めた頃でもあり、多くの人がレイオフされ、辞めて行くのを目にしました。

レイオフ時には、ほとんどのマネージャは非常にシビアな対処をします。例えば、解雇は原則として解雇当日に当人に告げられます。あらかじめ解雇されることがわかっている場合、会社の資産(有形・無形問わず)や備品を持ち帰ろうとする人も多いようなので、これは仕方がないのかもしれません。解雇される人は何も知らずに出社すると、マネージャの部屋に呼び出されます。マネージャと人事担当と5分程度の話をし、資産・備品・社内情報などの持ち出し禁止契約などにサインをし、正式な解雇となります。あっけないので呆然とする人も多いようです。解雇された人は、自分のオフィスの席に戻って荷物を持ち帰ることすら基本的には出来ません。頑丈なガードマンが席の前に立っている場合もあるなんて話も聞いたことがあります。自分で雇いいれた人間を、景気が悪くなったからという理由でレイオフするマネージャの仕事は、かなりドライでないと出来ないかもしれません。

解雇は、個々人の成果や能力などにより行なわれることもありますが、部署や部門など大きな単位で行なわれることもあります。会社の方向性上、必要とされなくなった部門などは、その部門に属する全て人に対して、解雇通知が出されます。この場合は、その人のパフォーマンスが悪かったかどうかなどは全く関係がありません。

逆に雇用機会をうかがっている立場からすると、このような大きな単位でのレイオフが行なわれた場合は、優秀な人材を見つけるチャンスとなります。特に、大きな会社の場合、景気の良い部署と悪い部署がありますので、社内で良い人材の獲得合戦が始まったりもします。社外から人を雇用するよりも社内から人を雇用したほうが、リスクやコストや手間などの面でかなりメリットがあるため、大きなレイオフがあるという情報(噂?)が流れた瞬間に、多くのジョブオポチュニティの情報が社内ネット上に流れるのも、シリコンバレーの会社の大きな特徴なのかもしれません。

最後に、キャリアパスについても少しお話しておきましょう。日本企業の場合、エンジニアでも主任、係長、課長という形で昇進することが考えられますが、アメリカではエンジニアのキャリアパスは1つではありません。これは元々昇進の対象となるマネージャのポジションが非常に少ないのと、あまりエンジニアはマネジメントのポジションに執着していないから、という二つの理由があるからだと思います。

エンジニアの場合は、エンジニアの能力によって等級だけがあがっていくキャリアパスがあります。優秀なエンジニアに対しては、マネージャやディレクター以上に給料を支払う仕組みが提供されています。また、ソフトウェアの上流部分の設計を担当するアーキテクトを目指す人もいるようです。非常に優秀なエンジニアが昇進してマネージャになった瞬間マネジメント能力がないことがわかり、会社に干されてしまうようなことがないため、ありがたいキャリアパスだと考える日本人エンジニアも多いようです。人より迅速かつ高品質なソフトウェア開発を行うことが出来るエンジニアに対しては、それなりの対価を支払うというのは当たり前といえば当たり前ですが、日本の企業ではそのような制度はあまり見かけません。

プログラムを書くのが好きな人は、何年たってもコードを書いている。それがまた楽しくて、報酬もマネージャ同様それ以上きっちりと支払われる。それが、シリコンバレーの働き方なのかもしれません。

さて、次回は、海外で働くエンジニアって英語力は必要?というテーマでお話したいと思います。

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