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戦略コンサルタント | IT業界職種研究

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竹政 昭利 株式会社オージス総研

国立大学大学院(理系)卒業後、大手メーカーに入社。研究所にてネットワークアプリケーション技術の研究開発に従事。その後、外資系コンサルティングファームに転職し、中期経営戦略、マーケティング戦略、新規事業戦略などの戦略策定、及び実行支援を手がける。工学博士。

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第1章 コンサルティングファームとは

1.1. はじめに

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最近は「コンサルタント」という職業が非常に人気があるようで、転職者のみならず、多くの新卒学生がコンサルティングファームに応募してきています。そのためか、コンサルティング業界に関する書籍やネット上の情報もかなり増えてきました。しかし、それらの多くは外部の方々によって書かれているためか、イメージ先行で具体像があまり見えてこないと思われませんか?少なくとも、筆者はコンサルティングファームに入るまではそう思っていました。そこで、このコラムでは、戦略コンサルティングファームで実際に仕事をしている一現役コンサルタントから見た、戦略コンサルティングファーム、コンサルティング業界全体、コンサルタントの仕事等について、できるだけ具体的に書いてみたいと思います。

1.2.コンサルティングファームの分類

世の中には多くのコンサルティングファームがありますが、ここでは企業経営に関するコンサルティングサービスを提供しているファームのみを取り上げることとします。一口に経営に関するコンサルティングサービスといっても、経営戦略、マーケティング、人事、システムなど、テーマは非常に多岐にわたります。そこで、まずは提供しているサービスの種類によってコンサルティングファームを分類してみたいと思います。ただし、実際は下記の分類どおりの仕事しかしていないわけではなく、幅広く仕事をしています。例えば、「戦略」で分類したファームがIT戦略や人事戦略の仕事をすることも多いですし、「IT/システム」に分類しているファームが事業戦略を立案するケースもあります。ですので、下記分類は、あくまでどのサービスを中心に提供しているか、もしくはどのサービスに強みがあるか、といった分類例と捉えてください。

戦略 IT/システム
マッキンゼー アンド カンパニー
ボストン コンサルティング グループ
A.T.カーニー
ブーズアンドカンパニー
アクセンチュア 戦略グループ
アーサー ディー リトル
ローランド ベルガー
コーポレート ディレクション
ドリーム インキュベータ
アクセンチュア
日本IBM(旧:IMBビジネスコンサルティングサービス)
プライスウォーターハウスクーパース
アビームコンサルティング
クニエ
ケンブリッジテクノロジーパートナーズ
フューチャーアーキテクト
スカイライト コンサルティング
人事 財務・金融
マーサージャパン
タワーズワトソン
ヘイコンサルティング
プライスウォーターハウスクーパース
アーンストアンドヤングトランザクションアドバイザリーサービス

2011年改訂

1.2.1. 戦略コンサルティングファーム

戦略コンサルティングファームでは、主に企業戦略、事業戦略、マーケティング戦略、中期計画策定支援、コーポレートビジョン策定支援、組織戦略、M&A、IT戦略、調達戦略などの経営戦略策定、及びそれらの実行支援といったサービスを提供しています。今回の連載は戦略コンサルティングがテーマですので、後ほど戦略コンサルティングファームでの仕事について詳しく述べたいと思います。

1.2.2. ITコンサルティングファーム
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ITコンサルティングファームは、IT戦略、ERP、CRM、SCMの導入コンサルティングなど、システムを絡めたコンサルティングを得意としています。これらのファームには、「Big 5」と呼ばれていた会計事務所を出身母体とするファームが多いのですが、昨今の会計業務とコンサルティング業務の分離圧力や、エンロンショックによるアンダーセンの消滅、IBMによるPwCコンサルティングの買収など、業界再編がようやく一段落したところと言っていいでしょう。顧客層は中堅から大企業まで幅広く、プロジェクトによってはシステムの構築やシステム運用のアウトソーシングまで含むものもあり、数百億円規模になることもあります。

1.2.3.人事コンサルティングファーム

人事コンサルティングファームは、組織や人事制度に特化したファームです。401K導入などの年金制度改革、能力主義をベースとした人事評価・給与制度の設計といった制度設計業務に限らず、年金運用のコンサルティングや、社員の意識変革プロジェクト、給与計算業務のアウトソーシングなど、提供するサービスの幅は広がってきているようです。

1.2.4.財務・金融系コンサルティングファーム

財務・金融のコンサルティングファームでは、事業価値評価、リスク評価やリスク管理、資産運用、M&Aアドバイザリー、M&A後の企業統合(PMI)支援、プロジェクトファイナンスといったサービスを提供しています。最近は、事業再生に関連する案件も増えているようです。

1.2.5. その他(シンクタンク、ITベンダー)

他にもコンサルティングファームではありませんが、シンクタンクやITベンダー等にもコンサルティング部門があります。例えば、野村総合研究所には、マクロ経済等のリサーチ業務をベースとしたコンサルティングとは別にITコンサルティングを専門とする部門も持っており、1つの独立したIT系ファーム並みの活動を行っています。ITベンダーでは、IBMやHP(ヒューレットパッカード)のようなSIerのITコンサルティング部門やSAP、オラクルといったソフトウェアベンダーのITコンサルティング部門がありますが、それぞれ自社のソリューションやソフトウェアの導入コンサルティングを中心に行っているようです。

1.3. 戦略コンサルティングファームの組織

戦略コンサルティングファームはコンサルタント数が数十人から多くても百数十人程度と、会社としての規模は非常に小さいところがほとんどです。そのため、パートナーと呼ばれる経営陣の下に、マネジャーやコンサルタントが存在するという極めてシンプルなものです。ファームによってはIT戦略やM&A戦略の様な専門性が高い分野を担当するグループを独立させているところもありますが、基本的には事業会社でいう部署のような明確な分け方はしていないところがほとんどです。そのため戦略コンサルタントには、いわゆる直属の上司がいません。ですので、ファーム内でのキャリアや、専門領域の確立などは、全てコンサルタント本人が自分の意思で確立していかなければなりません。

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また、IT/システム系のコンサルティングファームと異なり、金融業や製造業といったクライアントの業界毎に組織が分かれていないため、戦略コンサルティングファームのコンサルタントは、様々な業界の仕事をすることができます。この仕組みのよい面は、多くの業界を経験することができるため、戦略コンサルタントとしての知識や経験の幅が広がることです。そのため、例えば製造業で使われているコンセプトを金融業に持ち込むなど、他業界での経験を生かしたコンサルティングを行うことができます。しかし、そういったメリットがあるところには必ずその対価としての苦労が伴うわけで、未経験の業界の仕事をする場合は多かれ少なかれ苦労をすることが多いものです。プロジェクトがはじまる前に、その業界の主な企業の情報を詰め込んだり、業界構造を把握するために業界本を読んだりといったことをしますが、クライアントはその業界一筋何十年というベテランで、しかもその業界の代表企業の経営陣であることが多いわけです。そのため、付け焼刃で業界知識をつけたところで、所詮、知識面ではクライアントに勝つことはできません。ではどうやってクライアントに満足してもらうのか?そのためには、「知識」で勝負するのではなく、「知恵」で勝負する必要があります。つまり、社内外から集めたデータを整理・分類してクライアントに見せて知識で勝負しても、付加価値はほとんどないのです(なぜなら、彼らにとってNothing newですから)。それらのデータを新たな視点で分析するなどして、そこから新たな「事実」を浮き彫りにし、本質的に何が問題なのか、何に対処すればこの問題は解決するのか、といった点を明示し、そこから戦略としての打ち手を導き出すことが必要なのです。

1.4.まとめ

以上、コンサルティングファームの分類や、戦略コンサルティングファームの組織について、私の知る範囲で書いてみました。この業界では、他のファームへの転職なども結構頻繁にあるため、基本的にはファーム間の違いよりも共通部分の方が多いと思います。ただし、そうは言ってもファームによってカルチャーや提供するサービスに多少の違いはありますので、転職を希望される場合は、複数のファームに応募して直接現役コンサルタントから話を聞くことをお勧めします。

次回は、戦略コンサルタントは日々どんな仕事を行っているのか、また戦略コンサルタントに求められる資質などについてお話したいと思います。

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