ケンゾウの戦略コンサル物語

戦略コンサルタントの仕事やふだん考えていることなど、戦略コンサルタントの実態をありのまま綴ったコラム

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筆者プロフィール

ケンゾウ
大学院修了後、メーカーでエンジニアとして勤務。その後、外資系の戦略コンサルティングファームに転職。幾多の苦労を重ねながらも、数年間をそのファームで過ごした後に卒業し、現在は投資ファンドで働いている。
第43話

ホワイトボードを制するものはプロジェクトを制する(その1)

コンサルタントはホワイトボードが大好き

こんにちは、ケンゾウです。皆さんの会社の会議室にはホワイトボードは設置されていますか?おそらく多くの会社で設置されていると思いますが、戦略ファームの社内会議室にも、もちろん設置されています。会議室だけではなく、パートナーの個室にもホワイトボードが設置されています。そう、コンサルタントはホワイトボードが大好きなのです。

以前のコラムにも書きましたが、戦略ファームのプロジェクト期間中は、ブレーンストーミングを始めとした様々な打ち合わせがチーム内で日々行われます。それは、アイディア出しだけでなく、メンバー全員で各自のタスクの進捗を確認したり、今後のタスクを整理したり、報告書の内容を考えたりと、様々なことを議論します。その時に特徴的なのは、議論をリードする人がほぼ間違いなくホワイトボードの前に陣取ることです。

では、なぜコンサルタントはそんなにホワイトボードが好きなんでしょうか?それは、ホワイトボードが短時間で効率的に結論を導くために非常にパワフルなツールだからです。というのは表向きの理由で、実際は単純に会議を仕切りたいからです(笑)。仕切りたいとうのは、自分が必要とする結論に何としても到達したいと思っているからなんですが。

と言うのは、議論をするときに自由闊達に意見を出し過ぎると、話題があちこちに発散したり、どの論点に結論が出てどの論点が未解決なのか曖昧なままになったり、議論が同じ所をグルグルと回ったり、ということに陥りがちです。皆さんも社内会議でそのような経験はありませんか?

コンサルタントという人種は、そういう非効率な議論が最も苦手です。そういう場面に遭遇すると、イライラしてついつい議論を仕切りたくなってしまうのです。これは職業病です(笑)。では、コンサルタントはホワイトボードを使ってどのように議論を進めているのでしょうか。

ホワイトボードを使った議論の進め方

ホワイトボードの前に陣取るということは、その議論をファシリテートするという暗黙の意思表示になるわけですが、ではファシリテーターとして何をするかというと、先ずは議論すべき論点をホワイトボードに書き出します。議論の間はこれらの論点に集中させ、論点以外に話が飛んだら直ぐに話を打ち切らせて論点に引き戻します。

話題が行ったり来たりしないように、今どの論点の議論をしているのかホワイトボードに印をつけて、その論点にメンバーを集中させます。また、結論が出たか否かをホワイトボードに書き込むようにすれば「その結論でOK」という合意がその場で取れます。まだ議論が尽くされていないと感じるメンバーがいれば、ファシリテーターが「解決済み」と書き込むときに異を唱えることが出来ますので。

また、その場で結論が出せないこともあるのですが、ファシリテーターがそう判断した場合、結論を出すために必要な「残された課題」を書き込むようにします。次のアクションを明確にするのです。それが出来たら次の論点に移るのです。結論が出せない論点に必要以上に時間を使わないように留意します。判断材料が揃っていないと、議論が同じ所をグルグルと回ることがよくありますので、そうなったら議論を一旦打ち切って、どんな材料が揃えば議論が回らないかを整理して、残課題としてホワイトボードに書き込むのです。

こう書くと当たり前に聞こえると思うのですが、コンサルタントとしてクライアント企業の社内会議に同席させて頂くと、上記のことをキチンとやれている会社は非常に少ないというのが正直な印象です。これらを実践するだけでも、会議の生産性は劇的に向上すると思います。是非一度、皆さんも社内会議でトライしてみてください。

今回はホワイトボードを使った議論の進め方について書きましたが、次回は個別の論点を議論するためにホワイトボードをどう使っているかについても書いてみたいと思います。

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