ケンゾウの戦略コンサル物語

戦略コンサルタントの仕事やふだん考えていることなど、戦略コンサルタントの実態をありのまま綴ったコラム

筆者プロフィール

ケンゾウ
大学院修了後、メーカーでエンジニアとして勤務。その後、外資系の戦略コンサルティングファームに転職。幾多の苦労を重ねながらも、数年間をそのファームで過ごした後に卒業し、現在は投資ファンドで働いている。
第20話

オープンすぎる職場環境

戦略ファームはとてもオープンな環境

こんにちは、ケンゾウです。今回は、戦略ファームの職場環境について書いてみたいと思います。職場環境と言っても幅広いので、今回は戦略ファームが非常にオープンな環境だということにフォーカスしたいと思います。

では、私がオープンな環境だなあと思う根拠を、つらつらと書いていきたいと思います。

まずは「給与の話についてオープン」です。戦略ファームの中では、誰が幾らもらっているかというのが、おおよそ分かることもあってか、給与の話がオープンに語られます。なぜ他人の給与がわかるかというと、戦略ファームは階層が少なく、かつランク毎のベース給を皆が知っています。昇給幅もだいたいの目安があるため、ランクとそのランクの滞在期間がわかれば、ほぼ当たりがつくのです。そのため、通常の会社ではあり得ないほど、同僚間で給与の話がオープンに語られます。ただし、パートナーの給与は売上によって決まる部分が大きいようで、ここだけは若干謎な部分もあるのですが、いろいろな噂で、なりたてのパートナーは幾らだとか、シニア・パートナーの◯◯◯さんは幾ららしい、といった情報が耳に入ってきます(笑)。

キャリアについてもオープン

次に驚きなのが、キャリアについても非常にオープンな社風です。これは、戦略ファームが終身雇用をとっておらず、パートナーまで登り詰めることを目指す極一部の方を除くと、殆どのコンサルタントが「いずれ転職する」という前提で働いていることが影響しているのかもしれません。

そのため、転職活動については社内でオープンに語られており、人材紹介会社のどのエージェントさんが良かったかだとか、どんな求人案件があったかなど、社員同士で積極的に情報交換されています(もちろん、わざわざパートナーにそんな話をする若手はいませんので、ランクが近い社員同士でという意味です)。また「◯◯◯さんはそろそろ卒業を考えているようだ」というのもよく聞く話です(コンサル会社では、退社することを「卒業する」といいます)。

また、いわゆる「出戻り」についてもオープンなところがあって、一度退社して他社に転職したコンサルタントが再び戻ってくることも良くあります。更に驚きなのは、転職先が競合の戦略ファームであった人ですら、出戻ってくることがあるのです。日本企業の中には「出戻りは一切受け入れない」という会社もあると聞きますが、彼らの感覚からすると、かなりあり得ない話だと思います。まあ、即戦力である卒業生というのは、特にファームが好調で人手不足なときには喉から手が出るほど欲しくなるでしょうから、合理的に考えれば出戻りを受け入れない理由はないということなのでしょう。

ついでに書くと、戦略ファームには「アルムナイ」と呼ばれる退社した社員のネットワークがあり、定期的にアルムナイ同士の交流会が開催されます。この交流会は、戦略ファームが主催しており、現役社員が卒業生(OB/OG)を招待するという建て付けなのですが、そこには、競合に移って現役でコンサルタントをしている卒業生も招待されるのです。通常であれば、競合の現役社員を呼ぶなんて考えられないと思うのですが、やはりそこでもオープンなんですよね。この感覚、皆さんはどう思われますか?

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